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それから、2年が過ぎた。
何も出来なかった理香が、自分でご飯を食べ。
自分でトイレも出来るようになり……
そして、少しだけど言葉も覚えた。
理香もいい子で、英雄さんも優しい。
私は、とっても幸せでした。
「ママ―!」
理香が、私の胸の中に飛び込んできた。
ここは、私たちが住むマンションの公園。
「理香、上手に走れたね」
私は、そう言って理香を抱きしめる。
「うん!」
私は、理香が愛おしくて愛おしくて理香を抱きしめた。
ただ、それだけで私は幸せだった。
「今日はね、パパが早く帰ってくるのよ」
「ホントに?」
理香が、嬉しそうに笑う。
この頃、英雄さんは、仕事で忙しい。
だから、理香とは、もう一週間も会っていない。
「うん。
お仕事早く終わるんだって。
帰りにケーキを買って来てくれるんだって!」
「ケーキ?」
「そう、あまくてふわふわするケーキ」
理香は、それを聞いて嬉しそうに笑った。
理香は、ケーキが大好き。
何よりも一番大好きな食べ物。
「私の分もある?」
理香は、何を言っているのだろう。
今日の主役は、理香なのに……
でも、たぶん、理香は気付いているんだろうな……