09
幸せいっぱい。
幸せいっぱい。
幸せいっぱい。
そんな日が永遠に続くんだ。
そう思っていた。
だけど……
現実は、甘くない。
現実はいつも残酷で、しあわせよりも絶望することの方が多いんだ。
異変が起きたのは、私の誕生日から半年後のことだった。
ママが、いつになくお化粧して綺麗になっていた。
「ママ、何処かに行くの?」
「うん」
ママは、嬉しそうに頷く。
「ママは、同窓会に行くんだ」
パパが、笑顔で答える。
「どうそうかい?」
私は、首を傾げる。
「ああ、高校の同窓会だよ」
「こうこう?どうそうかい?」
私には、何のことかさっぱりわからない。
「お友達に会いに行くんだよ」
「ママのお友達?」
「ああ。
そうだよ」
パパが、そう言って私の頭を撫でる。
「私も行くー」
「ダメだ」
パパの一言で、私は泣きたくなった。
「ママはいつも家のことで忙しいだろ?」
「うん」
「今日は、ママへのご褒美の日だ。
だから今日はパパとふたりで遊ばないかい??」
「わかった。
私、パパと遊ぶ」
私は、涙をこらえて頷いた。
「あとで、一緒にファミレスに行こうな?
お子様ランチ頼んでいいから……」
「お子様ランチ?」
私の涙が一気に引いた。
自分でも思う。
私は、まだまだ子供なんだなって……