01
暗い世界。
明るい世界。
そのどっちでもない。
今、私が居るのは、狭い場所。
温かくて気持ちよくてふわふわしている。
そして、私は、そこから何かの力によって押される。
「嫌だ!出たくない!」
私は、そう叫んだ。
だけど、それは誰にも届かない。
誰も居ない空間に、それでも私は叫んだ。
でも、その力に圧倒されるように私は引き出される。
私の体を眩しい光が包み込む。
眩しい。
寒い。
苦しい。
私は、大きな声をあげた。
「おめでとうございます。
元気な女の子ですよ」
知らないおばさんがそういった。
でも、私には何を言っているかわからない。
私は、不安で不安で仕方がない。
だから泣いた。
いっぱい泣いた。
そんな私を温かい誰かが包み込んだ。
懐かしい匂い。
優しい匂い。
温かい香り。
それらが私を包み込む。
私はすぐにわかった。
この人が、私のママなんだと。
その後に現れた優しい声……
これは、きっとパパの声だ。
落ち着く空間。
安らぎのひと時。
でも、私は不安でいっぱいだった。