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「さて、ビジネスの時間だ」
ひとりの男がそういってビルから外を眺める。
外は焼け野原。
しかし、そのビルは無事だった。
「社長。
道将校が到着しました」
秘書がそういってメガネをクイッとうえに上げる。
「通してくれ」
男の名前は馬神 森夜。
馬神 焔の父親だ。
「かしこまりました」
秘書が扉を開ける。
するとそこには道長が立っていた。
道 道長。
国際連合軍COOKの将校だ。
「……言いたいことはわかるな?」
「相変わらず上から目線だな。
お前は……」
森夜がそういって笑う。
「単刀直入に言おう。
お前のところのドールとウチの学園の生徒に使わせろ」
「面白いことをいうね。
話を聞こうじゃないか」
森夜がそういってうなずく。
こうしてエレメント学園と馬神コーポレーションの取り引きが行われた。
道長は、エレメント・ドールの適正がない生徒にもドールを乗らせ壁にする計画だった。
森夜は、薄々そのことに気づいていたがどうでもよかった。
取り引きのあとのことなどどうでもいい。
それが森夜という男なのだ。