第二話 「突然ですがお金が無いようです」
「どこにあるんだ?」
『ご主人から見て右の方角にある。』
「そうか! ありがとう! やっと街に行ける!」
『いいってもんよ。』
スライムって優秀だな。
というか呼び名が欲しいな、ブルースライムだと長いし
そうだ、せっかくだし名前つけるか。
「なぁなぁ」
『何だ?』
「お前の名前をつけていいか?」
『いいぜ』
何にしようか、スラちゃん、ブルすら、イムさん
どれもしっくりこないなぁ
分かりやすいのがいいなぁ
そうだ!ブルさんにしよう!
「ブルさんなんてどうだ? ブルースライムのブルでブルさん」
『ブルさんか、いいんじゃないか? なら俺はご主人と呼ぼう。』
ブルさん少し嬉しそうだな
「じゃあ、これからよろしく! ブルさん!」
『おうよ! ご主人!』
「じゃあ行くか、ブルさん」
『おう』
「というか、頭に乗る?」
『いいのか?』
「いいよ」
ピョンとブルさんが頭に乗った。
気持ちいい冷たさで思わず声がでた。
「つめたぁ」
とても気持ち良い
「ブルさん、スライムって家族とかいるの?」
『もちろんいるぞ』
「そうなの!?」
『母に父に妹もいるぞ、しかも俺は父さんに似て男前なんだぜ!』
ブルさんが自慢げに言った。
「スライムに男前とかあるのか? 俺にはみんな一緒に見えるぞ?」
『失礼な、みんな一人一人違うんだぞ、俺は肌のツルツル具合が…』
≪大都市アビラト≫
世界中の冒険者が集まる国
ここにはギルドがあり、ほぼ全ての冒険者はギルドに属している
ギルドに入ることでダンジョンや冒険者用施設を利用できるようになる
「ついたー!」
はぁ~、疲れたぁ、ここにくるまで長かったぁ
歩いても歩いても平原だったし、ブルさんのおかげでやっとだ。
あれだな腹が減ったなぁ、何か飯食べれる所でもないかなぁ?
「ブルさん、何か食べよっか。」
『そうだな』
ん?待てよ、俺、お金持ってないじゃん!?
何が「何か食べよっか。」だよ、お金持ってないから食べれないよ!
ブルさんに言わないと
「ブルさん、俺、お金持ってない」
『まじかよ…』
「ブルさん、お金ってどう稼ぐの?」
『知らん、スライムは金使わないし』
どうしよう腹減った。
何かお金稼ぎできる場所はないのか?
ん?あれは
≪ギルド本部≫
おぉ、ゲームではクエストをこなしてお金を手に入れるわけだが、この世界でもそうなのか?
ゲームでは可愛らしい女の子が受付しているがこここではどうなんだろ
とりあえず入ってみよう。
「入るぞ、ブルさん」
『おうよ』
ガチャ
中は冒険者らしき人で賑わっている
ムキムキなおっさん達や可愛らしい女の子など様々な冒険者らしき人でワイワイしているようだ
このギルドには酒場もあり、そこでおっさん達が大量のお酒を飲んでいる。
少しお酒臭い
「こちらへどうぞ」
突然受付らしき女性に話しかけられカウンターまで案内された。
「ギルドのご利用は初めてですか?」
「はい」
この人綺麗だな、20前半ぐらいか?
「ではギルドカードを作りますので、名前と年齢を教えていただけますか?」
「楠木創士 20歳です。」
「フフッ、不思議な名前ですね」
笑顔も綺麗だなぁ
「そうですか?」
「では、こちらでよろしいですか?」
【クスノキ・ソウシ 20】
漢字がないからカタカナなのか。
「はい」
「では最後に、ランク付けをしますので、能力値を計測しますね。」
「ランク付けってなんですか?」
「ランク付けはその人の能力値の高さによって決まります。ランクはSABCDがありランクが高いほど受けられるクエストが増えます。」
「なるほど、そうなんですか。」
「まぁ、能力値は生まれながらなので、クエストのクリア数によってもランクは上がりますよ。」
「では、この本に手をかざしてください。」
「わかりました。」
緑色の光が本に吸い込まれていく
「えっ!?」
受付女性が突然叫び、驚いた顔をしている
それに反応した冒険者達がこちらを見て言った。
「どうした姉ちゃん!?」
「すみません! なんでもないです!」
受付女性は言った
「あのー、何かありました?」
なにがあったんだろ?
「今すぐギルドオーナーを呼びますのでお待ち下さい」
焦った様に受付女性は言った。
「え?」