2話 初能力ファイトは命がけ
2-1 「会社に行きたくない」
あの測定もとい検査から数日がたった。
今日は月曜日で出勤日なのだが、俺は風邪をひいたと仮病を使い会社をずる休みしたのである。
本来なら寝るかゲームかネットをして1日をだらだらと過ごそうといつもの俺なら考えると思うはずだが、今日の俺はいつもと違うことを考えていた。
ふとこの前の能力検査の終わりに貰ったある物を気にかけていた。
「そういえば、あれは何なんだろう……」
この変な形をしている端末は何かしらの歪な感じというわけなのか、もしくはただの見かけ倒しの物なのかは今の俺には到底わからないものだった。
ということで、今のそれに対する疑問を解決するため、あの部屋の隅っこに無造作に放置されている端末を調べることにした――
――少しばかりいじってみたが、特に不振な点は見つからなかった。
時刻は昼の11時を回ったところで、少し小腹が空いてきたが、俺は飯の用意より目の前の機械に熱中していた。
少しばかり俺の遊び心と言う名の燃料が俺の興味心にスイッチを入れてしまったのである。
まずはこの縦約15センチメートル、横8センチメートルほどの端末機の画面の下の3つのボタンのうち一番左を押したが
<<クイックサーチ>>
と出ただけで何も起こらない、まあいいやと次は一番右のボタンを押すと、
<<マイリサーチ>>
と出た。
『あなたの能力の情報を取得しています、しばらくお待ち下さい』
突然声がこの情報端末らしき物から発声されていた。
いきなり音声が出るなら、先に言っておけよと文句を言いたいが今は黙っておこう。
そしてしばらくしたらどうやら情報の取得が終わったらしく、取得完了と画面に表示された。
なにやら、色々な用語が出てきたがだいたい理解したと思う。
つまりこのランクは俺の能力を表しているらしい。
腕力、守り、敏捷、器用、頭脳、スタミナ、PE(サイキックエナジー)、幸運、闘志の九つの項目がある。
これらの項目は全てランクがあり、上からEX S+ S A+ A B C D E Fの十段階にランクが分れるようだ。
なになに、俺のそれぞれのランクは
腕力:D 守り:C 敏捷:S 器用:D 頭脳:B スタミナ:A+ PE:B 幸運:C 闘志:EX
腕力は低いのか……でも他のランクはまあまあ高いな特に闘志がEXじゃないかこれはどういうやつなんだろ?
しかも敏捷もSだからかなり高いよなつまり逃げることが得意だからか?
確か俺は高校の時50メートル走では7.5秒ぐらいだったような……遅くもないが、速くもない一般的高校生なら普通のタイムだったと今でも思う。
まあいいか、それより一番肝心な真ん中のボタンを押してない。
なんだか少し他のボタンより装飾とかしてるし、なんか押したら凄そうなことが起きそうだなと思えるほど凝ったデザインのボタンである。
まるで鳳凰をモデルに刻印したと思えるボタンだ。
俺は全く迷わず真ん中のボタンを押した。
なんか表示が出た
『未登録です、貴方はこの能力ファイトゲームに参加されますか?』
なんぞそれは能力ファイトゲーム?今まで和洋様々なゲームをプレイしてきた、俺ですら知らないゲームだと……!? もちろん参加するに決まっているだろ。
ポチっとな。
そして俺はパンドラの箱を開けたことにあとになって気づくのである。
2-2「それは妖精の声だった」
『ご参加してくださり、ありがとうございます』
『では、あなた様の情報を登録させて頂きますが、よろしいですね?』
先ほどの電子音声とは違ってかなり人間っぽい女性……というより女の子の声になった。
しかもかなりかわいい声だと俺は感じた。
俺は「はい」と選んだ。
『登録させてもらいました。これで貴方も能力者ファイターの仲間入りです!』
「えっ?」
『それではまず、初心者能力者ファイターであるあなた様に私から能力者ファイターとしての知識を与えますので、聞きたいことがあるならなんでも聞いてください、のでよろしくお願いしますです』
いきなりそんなこと言われても困るがまあいいとりあえず俺はいろいろ聞いてみた。
「操作方法を教えて」→『詳しくはヘルプを見て下さい』
「何ステージまであるの?」→『自分で考えて下さい;』
「ゲーム開始方法を教えて」→『あなた様が外に出れば対戦相手に会えます』
『では私はそろそろ失礼します。困ったことがあればメニューのヘルプを押してもらえば直ぐに解説いたします。自立型解説ソフトナンバー123819番でした。今後ともよろしくお願いしますです』
そう言ってかわいらしい声は止みホーム画面らしき物に切り替わった。
まあでもしっかり説明?したようだしいつでも呼べるようだしまあいいだろう。
ところで……能力者ファイターって何?
2-3「初試合いや初死合」
俺はゲームだと思って軽い気持ちで参加したんだ。そんなわけで俺は悪くない……悪くないのだ。
ネットで事前に調べなかったの?とか言われても俺のせいじゃない!
全ては説明不足のこの端末機が悪いんだ。ヘルプ?そんなの見るタイプの性格じゃないです。俺みたいなめんどくさがりが。
とにかく、今路上で俺と同じ端末機を持っている不良に絡まれていて
「オレとファイトしねぇか? 初心者みたいだしオレが手取り足取り戦い方を教えてやるからな。いいだろ?」
とか物騒なことを言う、髪は金髪で目つきは鋭くないがツンツン頭であるどうみても不良だ。
危なそうな野郎に目をつけられました。
ちなみに時刻はさっき端末機の説明が終わって、ちょうど買い出しのココアが切れたので歩いて10分もしない総合スーパーに行こうとしていた時でだいたい12時半ぐらいである。
昼飯もついでに買おうと思っていた矢先にこの不良は絡んで来たのだ。
しかし、能力ファイトゲーム……つまり能力者通しが闘うゲームのことだったのか
普通よく考えなくても気づけよ俺!
どんだけアホなのかバカなのか、ゲームと付くと正常な判断能力がなくなるのが俺の悪い癖に違いない。
よく考えなくても気づく簡単な事項に今さら気づいた俺は内心腹が減っているせいかイラついていた。
ところで、あの不良は一体どうやって俺が能力者だとわかったのか気になるが……ちょっと聞いてみよう。
「なんで俺が能力者かつ能力ファイトゲーム参加者だとわかった?」
「え? 何をやぶから棒に言ってんだ? つうかほんと、あんたは超初心者なんだな、あ~わかっているよ能力者ファイターとして大先輩のオレことシオウが教えてあげようじゃないか。」
シオウと名乗った奴は不良っぽい見た目に相反して、以外と親切に初心者としての自分に能力ファイトゲームの仕組みを説明してくれた。
まずそもそもレーダー機能がついていると指摘を受け、そういえばこの端末は対戦者捜索装置と言う俗称だと俺は思い出した。
能力者が近くにいて、クイックサーチを押すとどの方角に能力者ファイターがいるか反応するらしい。
そしてそれらしき人物に話しかけて、確かめるらしい。
だから俺が能力者だと推定していたし、同時に能力者ファイターであることが推定されていたのか。間違えた場合はどうするんだろう。恥を掻きそうだけどな。
そしてこの能力ファイトゲームはゲームと言ってもただのゲームではないらしい。
まず期間を十ヶ月に決めその間に勝負をしてポイントを稼ぐ。
勝負に勝ったら1P稼ぐことができ、さらに相手の強さによりボーナスポイントが付く。例えばレベル1がレベル2を倒した時、ボーナスで2Pつまり合計3P貰える。
レベル1がレベル3を倒した時は差が2なのでそれに2をかけて4Pで合計5Pだ、逆にレベル2がレベル1を倒すと合計2Pに、レベル3がレベル1だとボーナスは無しで1Pしかポイントが貰えない。
さらにレベル差が3つまりレベル1とレベル4が闘ってレベル1が勝ったら、差が3なのでかける2かと思いきやかける3になりボーナスは9ポイントで合計10P貰える。
レベル1とレベル5の場合だとレベル1が勝った場合ボーナスは30ポイントで合計31P貰える。
どうも複雑だな……とりあえず勝てばいいんだろ?俺は複雑なポイントのルールをいったん引出しに仕舞い込んだ。
まあ能力ファイトゲームはこのポイント獲得に向け熾烈な争いが繰り広げられる。
なぜなら1ヶ月ごとにポイント集計があり本人の獲得ポイントに応じて賞金が貰えるのだ。
獲得ポイント×千円が1ヶ月ごとの賞金になるこの×お金はレベル1の数値で、レベルが上がると高くなるらしいシオウはレベル3なので×三千円だと言う。
聞いてて、なんだかああ俺会社員やってて初めて良かったとしみじみと感じた。
まさかこんなことで生計立てている人もいるなんて普通は考えないからね。
「そして説明はほぼ終了だ……」
そうして大抵の疑問に答えたと思ったのかシオウと名乗った男は本来の容姿の振る舞いを見せた。
「よくわかっただろ?オレたちファイターがどれだけ必死か?もうだいたいわかるだろ……つ・ま・り……オレに素直にやられてオレに勝たせろってわけだ!!」
本音がやっぱりそれかと思った俺は自分でも信じられない発言をする。
「俺はただ負けるのは嫌ですっ!!(え~何こんな時につまらないプライド出しちゃってるの)」
「お~お~虚勢ぐらいは張れるのか、ますます倒しがいがあるぜ!行くぞ……能力ファイト開始だ!!」
そう言って相手は端末機の有機デバイス製の3次元空間表示タッチ式ヴィジョンを操作して試合開始の承認を申請した。
俺もしぶしぶだが、もうどうにでもなれといった感じで試合開始の承認ボタンを押した。
話しながら歩いていたせいか、いつの間にかどこかの広い河川敷に移動していた。
誘導されていたと言う方が正しいかもな。
俺は人生初の能力を使った試合――いや死合をやらされる羽目になった。
俺……生きて帰れるよね?
2-4「飛ぶ斬撃は聞いたことあるけどさあ……」
試合開始の合図が俺の端末からも鳴り響く。画面をチラ見すると制限時間は五分と出ていた。
相手が何をしてくるかわからない以上、こちらから相手に接近戦を挑むのはあまりにも愚かだ。
ならばまず距離をとり相手の出方を見るのが定石だ……。
しかし、そんな甘い作戦に乗るほど相手はお人好しではなかった。
なにかが俺の横を通過するのが少し感じられた。
そして俺から見て左斜め後方から水しぶきが上がった。
後ろのかなり先のほうが河なのだが、突然のことなのでつい振り返ってその河のほうを見に行った。
相手は何故か待ってくれる、後ろから撃ち抜く趣味が無いのか……
そうして、上昇した河の水が河に吸い込まれるように戻っていったのを見たので、俺は相手からダッシュで逃亡することにした。
もちろん相手も逃がさまいと追いかけて来る、こちらはとにかく全力で逃げている。
しかし俺の足ではやはり限界があるらしく、さらに相手は走りなれているのか全然勢いが落ちない。
そして俺は逃げ場の無い壁際に追い詰められた。
「さあて、これで逃げ場が無いわけで……つまりお前の命運もここで尽きるわけだ」
ヤバイやられる。
嫌だ、負けたくないし、怪我もしたくない!
「喰らいやがれ!!」
そういって相手は中指を親指につけて、鳴いっぱい力を込めて弾いた。
その刹那、バシュウンという音がとっさにかわした真後ろからわずかに聞こえた。
そこを見てみるとドリルで穴でも開けたのかのようなめり込んだあとが見えた。
こんなもの当たっていたら今ごろ俺の体は……
「ちっ… 外したか……だが、次は外さねーからな!喰らえ!」
またしても、相手は中指を親指に当て力を最大限上げるかのようにして指を弾いてきた。
間違いない、あれはいわゆるデコピンだ。しかし、デコピンを使う超能力者なんているとは……
確かにテレビに出ているへんてこな能力者だと木の葉を大量に出すとか
不味い料理を美味しくするとかツッコミがかなり強いなどへんてこな能力者を見てきたが、デコピンって……
しかも普通に威力がある。
これは逃げても許される、怪我したくないからなあ。
とりあえず俺は全力で敵の攻撃を避けながら逃げ続けていた。
このとき試合の制限時間は残り3分を切っていた。
2-5「力が欲しい、だが貰えるとは限らない」
俺は何も力が無いのか、相手は俺から見たら絶大な力がある……
この世界は常に公平なんかじゃない。
生まれつき力を有する者もいる中、何の力も無いまま一生を終える者もいる。
それが普通なんだ、だからいくら努力しても報われない。
俺はそういう考え方になっていた。
シオウが何か叫んでいる。
「ジ・エンドだ!」
前方から何かが勢いよく飛んで来る、敵の攻撃だ。
俺はとっさに躱す。
丸腰の俺は躱すのがやっとだ。
このままだと時間切れで一方的にダメージを受けているので負けてしまう。
丸腰……? よく考えたら俺が丸腰なら相手も丸腰じゃないか!
能力があるけど相手は何も武器になるものがない!
ならば条件は一緒じゃないか……勝てるこの勝負勝てる。
俺はそんなどう考えても無謀な虚勢をもってしまった。
だがなんとしても勝たないといけない。
しかし、相手のデコピン弾(勝手に命名)はほとんど当たらないな。
いくら逃げ回りながらとはいえ普通もっと当たりそうなんだけどな。
もしかすると、俺の能力逃げることが得意?が関係していたりして。
そんなこんなあって制限時間が後1分に迫っていた。
2-6「決着」
職業は現役のサラリーマンこと本編主人公のはずなのである竹谷竹男(たけやたけお)が必死に能力ファイトの相手飛ぶデコピン使いことシオウとかなりの苦戦を強いられていた。
よく見なくても、わかるがタケオは丸腰で闘っている。
まあシオウもだけどなと言いたくなるけど。
なんせ能力ファイトなんだから能力を使った闘いになると思いきや
タケオにいたってはファイト向けの能力ではなかったらしく
防戦どころか一発でも相手の攻撃が当たったら致命傷は避けられそうはない。
くそおおおおと心の中で俺は叫んだ。
なぜ叫んだかってなかなか隙がないからだあのシオウという男はなんなんだまったく……ぜんぜん近づけないぞ。
そんなこと考えている間もシオウのデコピン弾が飛んで来る。
俺は回避するのが精一杯だ。
「どうしたどうした、さっきから全く物影から動いてないぞまさか諦めてタイムアップ狙ってないよなてめえ」
いや、普通にお前の攻撃が激しすぎで近づけないだけだから。
「そっちが攻める気がないなら……オレが貴様にけじめをつけてやる!」
なんて言った矢先にシオウの奴は中指を天に向けて
俺を挑発するかのように笑って次にその中指を親指でぐっと抑える。
いわゆる普通のデコピンの向きとは逆さまの向きの構えをとった。
そして左手でその構えている右手を抑え、重心を少し落として安定したフォームをとった。
「何してんだあいつは?いつもなら直ぐ打ってくるのに……」
俺が疑問に思っている時奴は動いた。
「はーーーあーーー………………」
「シ オ ウ 砲 弾 !!!」
その大きな見えない動きのあるものは俺の隣に見える雑草を呑み込んだ。
そして少し時間を置いて後方遠くからとんでもない大きな音がこの河川敷一体に響きわたる。
「嘘だろ……」
思わず口走った。
なぜならば後ろは確かに今まで雑草がぼうぼうと生えていた場所が無いのである、綺麗に舗装された道路のように、そこだけただの土色になっていたのである。
「こんなの無理に決まってるだろ……というか初見殺しも大概にしてくれよ!」
俺はとっさにまだ生き残っている長い雑草達の中に隠れた。
俺は少しだけ考えた。
しかしどうする?トラップでも仕掛けるか?むりむり、技能もないし道具もない。
ならばどうする……うん駄目だ思いつかないもうこうなったら一か八か賭けに出るか。
俺はシオウの前に姿を現した。
「やっと出てきたか……時間稼ぎでもしているのかと思ってたぜ!」
「お前を倒す算段ができただけだ……」
「ほぉ……それはおもしろいな、やってみやがれってんだ!この今までに戦った中で一番弱いと感じたてめえがか!?」
俺ははったりに賭けた、相手が深読みしてくれることに。
そして俺は相手めがけて少しフェイントを入れるように突進した。
俺は声にならない叫びを上げながら、必ず勝ってみせるぞと心中に決めて、敵に特攻していくのであった――
しかしやはりそれは甘かった。
「いまや! シオウ瞬撃弾!!」
シオウ砲弾よりも素早い弾が俺の胸辺りにぶち当たった。
そのまま俺は膝から崩れて、地面に倒れこむ。
そのまま気を失いそうになる。
そこで俺は……声が聞こえた何かの誰かの声が。
『どれ我が代わりに闘ってやるとしようか……仕方ないやつだなお前は』
誰だ……お前は……どこから話しかけてやがる……俺はその後の記憶はここで途切れた。
目が覚めたときはシオウが地面に大の字になって気絶していた。
服はボロボロになっていて見るも無残な姿だった。
どうやら俺がやったらしいが……もちろん記憶にない。
何が何やら……どうなってやがるんだ?
俺は疑問に思いながらシオウを起こして(なお暫く起きなかった)家に帰宅した。
Side Stage JK?
明くる日私は嘆いていた。全ては私たちの企みによって決まるそう私はそう教えられた……
――昨日の夕方――
これは私の昨日の体験であると、宣言しておく。
私はいつもどおりにいつもの場所河川敷に来ていた。
そう言って私は腰かけて、昼寝を開始する開始してまもなく10分して時間が過ぎてしまいそれならば最初に子守唄でも歌っておけば良かったと思いながら、時間通りに間もなくして時間が過ぎた――かなと思ったが霧がとても深くまるで朝焼けのように明るく見える夕方とは思えない景色が見えている。
そうしていたら、二人の男が能力ファイトをしているところであった。
とても壮絶な戦いに見えた、少しして、攻撃がやんだ。
私は目視していると不良の男がスーツ姿の男に近づいていく。どうしたのだろうか……?スーツ姿の男はうずくまっているのだ……たぶん勝負に負けてしまったショックで立ち上がれないのかな?
その後突然信じられない光景が目に飛び込んできた。
スーツ姿の男が獣のような体制になったと思ったら、そのまま不意打ちで学生服の不良の男に突進した。
そして強烈なパンチを繰り出して学生服の不良を遥か後方に吹っ飛ばした。
人間の出せるパンチ力ではなかった。
そうまさに化け物のごとき腕力だった。
だが、不良男はそれに動じず、なんとか地面に叩きつけられるのを防いで応戦した。
だが、その後の攻防は一方的だった。
スーツ姿の男が右手を何かよくわからないが爪が伸びていてそれで一方的に不良男を蹂躙した。
不良男はやられていく中体を防御態勢を取りなんとか致命傷は避けようとしていたが、無駄に終わった。
そしてボロボロになった不良男に最後の止めと言ったところか、スーツ姿の男が手を前に構えて、何やら言葉を発していたら右手の前に大きい暗黒色の光球が生み出された。
そしてそれが放たれ、不良男は避けようとするが追尾され強烈な光と共に拡散して土煙をあげた。
その後に残っていたのは白目を剥いて倒れている不良男だった。
服はほとんど破れていて上半身が見えている。
もうとてもじゃないが、怪我をしているとしか思えないほどボロボロだった。
なんなのあのスーツ姿の男は……いったい何者なの??
なんとかしないと……先輩に報告しないとダメかなと私は考えます。いやダメだこんなこと言っても信じてくれないよ…………どうすればいいの……私……………………。