01-[プロローグ]
「ねえねえ、母様―!私もウィルみたいに魔法を使いたいー!そしたら私も強くなって立派な星の守護者になれるのにー!」
少女は不満そうに自分の母親に駄々をこねていた。こうしたことはよくあるのか少女の母親も慣れたように少女を宥めていた。
「無理を言うんじゃありません。魔法なんて誰でも使えるわけではないんですよ?ウィルは星神様のご加護を受けた特別な存在なのですから。」
「えー、ウィルばっかりずるいー!私も使いたいー!」
ただ、少女の不満はなかなか収まらないようだった。
「アヤメは”気”が使えるんだからいいじゃないか。俺なんてこれっぽっちも使えないのに」
「うー・・・でもこんなんじゃ母様もウィルもこの星も護れないよー」
どうやら少女は強くなれないことに不満があるわけではなく、このままでは誰かを護れずに失ってしまうのではないかという漠然とした不安を解消できないことに不満があるようだ。その不安を解消してあげるために少年は言った。
「大丈夫だよ、みんなも、アヤメも何があっても絶対に俺が護るから!」
少年のその言葉に少女は上目遣いで本当に?と問いかけた。少年は少女の問いかけに本当だ、と答えた。
「えへへ、約束だよ!」
少年の言葉が嬉しかったのか少女は照れくさそう後ろに手を組んで微笑んだ。