第一話「俺さ、ダンマス辞めたら、ロリ少女ハーレム作るんだ……。」③
殺風景な拷問室に、突如現れたメイド服の幼女。
次は何が起こるのかと警戒していた幼女たちも、自分たちと似たような背格好の相手が出てきたことで、少しは警戒を解いたようだった。
それにしてもこの二人、良く見れば顔立ちもよく似ている……たぶん、姉妹か何かなのだろう。
黒い方が少し前に出ている様子から、こっちの方がお姉ちゃんなのだろう……健気だ。
おじさん、少し視界が霞んできたよ。
「……二人共、警戒しないで……私はロゼ。
この迷宮の主の忠実なるメイド……君達をどうこうする気はない。
うん……とりあえず、困ったことになってるみたいだから、着替えようか……それが済んだら、食事の支度をしよう。
少し話を聞かせてもらうだけだから、安心して……。」
柔らかな笑顔のロゼの優しげな声でようやく安心したのか、安堵のため息を吐く幼女たち。
ロゼ激ナイス、俺ではこうは行かなかった。
三分間で作った即席メイドのくせによくやった……あとで、たっぷり褒めてやる。
色々触ったり、あれやこれやするのは駄目かなぁ……強権発動すれば……あるいは?
いやいや、無理やりとか駄目だろ……何と言うか人としてダメだ。
とりあえず、二人を着替えさせるべくローブを脱がしかけたところで、ロゼに付けていた飛天の眼にバサッと布切れが被せられる。
「おい待て! ロゼ! 何してくれてんだゴルァッ!
幼女の着替えだぞ? ちょっとくらい見てたっていいじゃないか!」
正座待機でスタンバってた俺の期待を真っ向から裏切るその行いに、思わずモニターにかぶりついて、怒鳴り散らす。
次の瞬間、ロゼの顔が大写しになる。
なんと言うか……その魂を射抜くかのような鋭すぎる眼光とゴミを見るかのような冷めきった視線。
その無言のプレッシャーに思わず目を逸らす。
ロゼ! コワイヨー! コワイヨーッ!
おまけに、室内に結界まで張ったようで、一切俺が干渉できなくなってしまった!
「……こ、このやろう……迷宮の王たるマスターを何だと思ってるんだ! ふざけるなぁああっ!」
血の涙を流さんばかりの俺の魂の絶叫。
そんな物はお構いなしで……ロゼは手早く二人の着替えを済ませたようで、やがて布切れが取り払われる。
二人は俺の選んだ白と黒の丈の短いローブ風ワンピース姿になっていた。
一生懸命、裾を伸ばそうとするその仕草と、ちらりと覗く太ももが眩しい……あれにスリスリとかしたいなぁ……ああ、こんな感情久しぶり。
だが……オレの期待を裏切ったロゼは後でお仕置きだ……どうしてくれようぞ?
あんな事やこんな事をして、泣かせてやる!
何と言っても、立場と言うものを一度解らせてやらねばなるまい。
ガツンと行くぞ! ガツンと!
「くらぁっ! ロゼ……貴様、何してくれてるんじゃ!
せっかくの幼女のコスチェンシーンがオールカットとはどういう了見だ!」
ロゼが結界を解いたらしく、室内への干渉が出来るようになった……早速、ロゼに念話で怒鳴りつける!
(うっさい、この女の敵! こんな娘達の着替え見てどうするんだっての!)
「いや、せめて……チラリとくらい見たかったんだけど……だって、生幼女の生着替えよ?
俺氏、ビキニアーマーのお姉ちゃんとか興味ナッシングだけど、生幼女とかもう夢よ? 浪漫!
だから見たい……それもスゴく! 拝むからさー、ロゼでも良いから生視替えっ! 生着替えっ!」
(マスター、それ以上アホ言うと怒りますよ……と言うか、今のマスターはただの変態です。
不潔です……この異常性欲者! 敢えて言わせてもらうと、ゴキブリ以下のダニです! ダニッ!
決定! マスターのことはもうダニオと呼びます!)
な……なん……だと。
ロリコン呼ばわりは許すが、ダ、ダニ……だ……と?
顕微鏡サイズの害虫とかさすがに嫌だ……ましてや、異常性欲者とかなんて最低な言われようだ!
う、うわぁあああああんっ!
刹那、俺氏、シャットダウン。
……俺が衝撃を受けてフリーズしている間に、二人の生着替えタイムは完全に終了していた。
ロゼはテーブルと椅子を用意し、パンやらスープやらを並べて、二人に食事を振る舞っているところだった。
せ、せめて靴下履くとこくらい、見せてくれたっていいじゃないか……靴下ァッ!。
……そんな俺のことは完全に無視して、ロゼは安心させるつもりなのか、自分も同じようにテーブルについて、一緒に食事を始めていた。
この俺に対して、ダニだの異常性欲者呼ばわりする非道の冷血ようじょロゼ。
コイツの本性というものを俺は深く理解した。
……だがしかし、そんな俺への態度がウソのように慈愛に満ちた微笑みとか浮かべてる。
つか、誰だ? コイツ。
しっかし、この光景いいなぁ……幼女三人でキャッキャウフフとお食事タイム。
背景もなんかキラッキラしてるよ?
俺も……俺もっ! そこ行きたい!
……でも、出来ないんだよな……ちくしょうっ! ちくしょうっ! 何故なんだァっ!
「……なるほど、白い方はリアン……黒い方はルーシュか。
クラスはプリーストとソーサラー? なんだそれは……しかも、レベル1とか弱すぎるだろう。
そんなので、いきなり迷宮に挑むとか……死にたいのか?」
ロゼ優秀……あっさり、名前を聞き出したらしい。
とにかく、二人の名前は解った。
名前さえ知れれば、ステータススキャンが使える。
ロリ少女たちのすべてを余すとこなく俺は識るっ!
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名前:りあん・ふりむでぃあ
年齢:8歳
クラス:プリースト
レベル:1
最大 HP:20
最大 MP:15
攻撃力 :12+5
防御力 :12+2
魔法力 :13+2
魔法防御:15+2
敏捷性 :10
運 :2
武器:ハンマーロッド+1 AT+5 MG+2
防具:ローブ DF+2 MDF+2
魔法:ヒール1
スキル:ハンマー1 防御1 治癒術1
備考:ようじょ。
名前:るーしゅ・ふりむでぃあ
年齢:9歳
クラス:ソーサラー
レベル:1
最大 HP:10
最大 MP:20
攻撃力 :3+2
防御力 :10+2
魔法力 :17+5
魔法防御:15+2
敏捷性 :12
運 :3
武器:ワンド+1 AT+2 MG+5
防具:ローブ DF+2 MDF+2
魔法:アイスショット1
スキル:元素魔術(氷)1
備考:ようじょ、ボクっ娘。
おねぇちゃんだぞー!
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二人のステータスを見て、さすがに固まる。
思った以上に……クッソ弱かった。
能力値にしても、並の冒険者の半分程度の能力値……なにこれ? 幼女補正? 誰得なの?
しかも、年齢も見た目通り……小学生低学年、ランドセルがお似合いのまさにようじょオブようじょ。
これでは、一層のスライム相手も怪しい。
そもそも、どちらもいわゆる後衛職……これで迷宮攻略とか無茶だった。
……うん、こりゃほっとくと勝手に死んじゃう。
せめて、仲間を……とか言っても、他の冒険者とか凶暴そうなのとか、臭そうなのとかそんなんばっかりだし。
野獣の檻に、ウサギを放り込むようなものだ……絶対、酷い目に遭う。
……ここは、色々言いくるめて、手土産でも持たせて親元にでも帰ってもらうしかないかなー。