初めて知る自分の正体
その日、急いで家に帰った俺は、今の自分の家の隣。祖父母の家に入る。鍵は、リビングに置いてあったものを失敬した。部屋は全部で5部屋。8畳の和室が2室。6畳の和室が2室。10畳の和室が1室だ。俺は手始めに玄関から一番近い、10畳の部屋、居間に入った。居間には、ソファが置いてあり、古いTVが置いてある。天井まで届きそうな本棚には、本が一冊も入っていない。暫く探して、何もないと思い、8畳の和室のほうに向かう。俺は、部屋に入る。8畳の和室は2部屋とも連なっており、一気に捜索ができる。古いノートPCが文机に置かれている。俺はそれを起動しようと電源ボタンを押す。何かあるのではないかと思ったからだ。ところが、PCは起動しない。大分長い事使われていなかったので、駄目になったのだろうか。ふと、文机の上を見渡すと、よくわからない機械が置いてある。大きさは俺のスマートフォンくらい。これがヒントなのではないかと、俺はそれとノートPCを手に取り、部屋を出た。
夜、自室。俺は、隣の祖父母の昔の家から持ってきた古いノートPCと、謎の機械を見ていた。PCの方は、バッテリパックを交換して、起動できるようにした。まだインターネット接続は切れていなかった。まあインターネット接続はどうでもいい。問題は携帯端末型のなにかである。これはなんだろうか?一応スマホのlightningコネクタに対応しているようだ。俺は古い充電器を机の引き出しから出し、端末に端子を挿し込む。USB部分をデスクトップPCに挿し込む。すると端末の画面が光る。表示されているのは普通にスマホの画面だ。iOS6ぽい画面だ。ということは・・・。
結果:何も発見できなかった。
翌日、絵菜を伴い祖父母の旧宅に入る。絵菜が言う。
「昨日は何も見つからなかったんですか?」
俺は言った。
「いや。パソコンと古いスマホが見つかった。パソコンはパスワードが分からんからデータを見れないんだ」
絵菜が言う。
「なんで私を呼んだんですか?」
俺は言った。
「俺たち相棒だろ」
なんかかっこいい台詞言っちゃった!やだなんか・・・なんかなんなんだろう?
「・・・相棒だなんて・・・」
なんか絵菜がなんか言ってた。よく聞こえなかったが。昨日スマホとパソコンを見つけた部屋に迷いなく入る。昨日は気がつかなかったが、床の間に小型金庫がある。ダイヤル式だった。俺は金庫の前にしゃがみ込んだ。絵菜が俺の真横で同じようにしゃがみ込んだ。近い。俺は言った。
「ダイヤル式だな」
絵菜が言う。
「そうですね」
パスワードとなる数字が分からんことには開けられんな。さあてどないしよか?
なんも浮かばん。金庫の裏やらをまさぐってもパスワードが書かれた紙は見つからない。俺は言った。
「万策尽きた」
絵菜が言う。
「そいやさ」
俺は言った。
「一世風○セピア?古過ぎんだろ」
絵菜が言う。
「?なんですかそれ。ところで鍵に貼ってあるシールに書いてある数字なんですか?」
数字?たしかに『1945』と書いてあるシールが貼ってあるが?あ、これか?試しにダイヤルを回して見る。すると解錠音がガチャリと鳴る。金庫を開けると、中には古いメモ帳があった。メモ帳を開いてみると、パソコンのパスワードや親類の住所がメモされていた。
ところ変わって俺の部屋。パソコンにパスワードを打ち込むと、デスクトップ画面が表示された。画面上に配置されているファイルのうち、俺の名前がタイトルとなっているファイルをクリックした。すると、『平成17年度北宮家に関する報告書』というタイトルの文書が保存されていた。
平成17年度北宮家に関する報告書
北宮明里、北宮健輔との間に誕生した北宮光尚は、母親同様体内で刀剣深山桜を生成する能力があり、さらに戦闘能力もあるだろう。
序盤だけ目を通してみると、こんなことが書かれていた。気になる一文が真ん中の方にあった。
なお、北宮家は、亜人に近い存在である。
俺が亜人?亜人・・・人間に近い容姿をした伝説の生物。
俺が亜人ね。到底信じられんな