最終章 長崎の竹蜻蛉(たけとんぼ)は誰よりも天(そら)高く
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小気味よい小刀の音とぱりっとした鹿威(ししおど)しのぶつかる音が重なった。鍬(くわ)次郎(じろう)は満面の笑みで竹蜻蛉を朝陽に翳(かざ)して頷いたところだった。
(うん、いい出来や)
津国出立の前日の夜。
寝付けなくて、何となく彦馬に渡そうと、久方ぶりに竹削りして、そうなると凝り性のお陰で、羽が上手くできれば、今度は竹(たけ)籤(ひご)のバランスが気になったりして。結局、一晩ずっと胡座をかいて、小刀を握っていた。
――知らんで。己。船酔いすんで。最悪や……いや、でも素晴らしい出来(でき)映(ば)え!
「堀江鍬次郎」数年が経っても呼び方の変わらない長崎奉行こと駿河守が、朝方、鍬次郎の前に姿を見せた。数人の役人と共に、座敷に胡座を掻いた。
「竹屑はごみ箱へ」にやりとしながら言われ、鍬次郎は胡座を掻いて、頭を下げた。
様々な想いが脳裏を過ぎる。最初は駿河守が苦手だった。だが、高猷とは違っても、息子のように、家族のように、家臣のように、鍬次郎を扱ってくれた。筆舌(ひつぜつ)に尽くしがたい感謝と、寂寥感(せきりょうかん)で胸がはち切れんばかりだ。頭を下げ、動作を止めた後、しっかりと背筋を伸ばして、姿勢を正し、顔を上げた。
「世話ンなりました。ほんま、ずっと置いて貰えたからこそ、成果を出せました。恩義、感じております」
蛇顔をにまりとさせて、駿河(するが)守(かみ)はスイと和紙に包んだ壺を差し出した。
「ご苦労だった。持っていけ。長崎の地酒だ。津の主君に立派な姿を見せるに相応しい土産だろうと調達した。……いつ、発つ。船は手配したのか? 八沢」
「本日の正午。何しろ、長崎の伝習生として、立派に役目を果たした男の船出やからね。一番安全な海路を用意したのに、こいつ、断りよった。船酔いで帰るがよかですよ」
「津の奇跡の渦が、まだ残ってるか……残っていたら、和泉守様に報告しよと思いまして」
八沢が「腰抜けずんだれが偉くなったもんだ!」と頭をぐしゃりとやった。
荷はすでに船着き場に送ってあるので、身の回りの小物と、着替えを風呂敷に纏(まと)めて、肩に縛った。
津から来た時と同じ格好だが、中身は違う。飛び込んで、溺れて、泳ぎを覚えた。今度は、どこででも泳いで、勝手気儘に生きて行ける。命の砂が残っている限りは大丈夫。
(蘭学の端くれやで。……自分の命の際限くらい、感じておる。間に合えば良いが。たった一人で戦っている腐れ国主のケツを蹴っ飛ばすくらいの元気はまだある)
「そろそろ、行くか」と駿河守が立ち上がった。掃除のばあさんも、玄関に出て来た。
その他の役人に丁寧に頭を下げ、鍬次郎は八沢と、駿河守に挟まれて長崎港に急いだ。
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「上野彦馬の姿が見えぬが……」
船着き場で駿河守は首を傾げていたが、やにわに頭を下げ始めた。
「とうとう、刀泥棒をしょっぴくは叶わなかった。当たってはみたが……そなたの刀も、見つからず仕舞い。この駿河守、深く陳謝の意を」
「それはいいです。きっと、長崎の鬼が、黄泉からやって来たんですよ。ほら、精霊流しの夜だったでしょう。親父には、謝りますし、新しい刀は自分で決めるつもりです」
「侍に戻るのか」問いに首を振った。
「まだ、わかりません。ただ、恐らくそうならざるを得ない。和泉(いずみ)守(かみ)という竹蜻蛉(たけとんぼ)は、己が高く飛ばさなければ飛ばんのです」
――しかし、彦馬はどこへ行った。昨日、出立を知らせたが、置いていくと告げた機具イジリに夢中で、話なんぞ聞いてはいなかった。餞別(せんべつ)の竹蜻蛉が無駄になる。
(最後まで掴み所がない男や。もうええ、これ、海に捨ててまうで!)
「鍬次郎」声に振り返れば、軍医たちだ。ヨハネス軍医は、にこやかに本を差し出した。
「私のお師匠の記した、長崎伝習所の伝記ですよ。お持ちなさい。世界に一つしかない。餞別に。恐らく必要になるでしょうからね……」
カレフ軍医は何やらそわそわと船を見やっていた。
「彦馬は立派な写真家になると思いますが、性格がアレなので、助けたってください」
「お、おう」と兵器学では散々ぶん殴った手をひらりと振って、カレフ軍医はまた、そわそわした。
「きみは……落ち着きなさいよ」とヨハネス軍医に窘(たしな)められ、踵を打ち合わせた。
「彦馬は腹が痛いそうでね。見送れなくて済まないと言って……」
船の蒸気がモウモウと上がっている。出港の準備の合間に、汽笛が鳴った。
――いよいよ、長崎とさよぉならや。
(しかし、彦馬! めっちゃ冷淡な男やな。何が腹痛や。見送りにも来ないとは。ちゃんと言えず仕舞い……待ってみるかな)
「鍬次郎。そろそろ……」八沢が声を掛けた。鍬次郎は苛々(いらいら)しながらも、いつ、彦馬が姿を現しても見えるよう、唐人屋敷の方面を睨んでいた。
とうとう出港間近になり、鍬次郎は爪先を船に向けた。船代は不要らしく、すんなりと乗れた。荷送りした荷物を確認して、命綱を受け取る。
――どうせ、遊郭やろ。親友の見送りにも来ないで、次の女遊びかい。それとも、またハタ作りか。いいですね、長崎のお坊ちゃまは!
船室に行くと、彦馬に託したはずの機具があった。(突っ返して来たのか)と空しさを噛み締めた。と荷物がモソ、と動いた。
ぎくりとした鍬次郎の前で、「いててててて」と現れたのは、まさに彦馬だった。
「な……っ?」亡霊を見るような気分の鍬次郎にはお構いなしで、彦馬はふんぞり返った。
「吾も行くで。津の国。食い物、美味しかったし、そっちで写真やればええやん。カレフの野郎! 思いっきり突き飛ばして縛りやがって。あのクソ軍医、いつか、しばいたる!」
呆気に取られた鍬次郎の前で、彦馬は伸びた。
「吾の船代は気にせんでよか。機具の荷物の一種になっとるから。乗ったらこっちのもんだろ。渡すもん忘れててな、ついでや、ついで」
船が動き出した。彦馬は、ごそ、と刀を差し出した。親父の刀だ。新しい鞘に納まって、元通りの刃毀れのない、刃に代わっていた。
「長崎の唐人屋敷にゃ、腕のいい鍛冶屋がいる。おまえさんの刀どーすっかと相談してる内に、朱里と懇意になった。ありがとさん。すげ替えになったが、返すわ。侍に戻るなら、あったほうがええんじゃない? 鍬? いつまで固まってんじゃ」
彦馬は「ええ風~」と目を細めた後、「心配すんない」と、にこやかに笑った。
「吾は、いずれ長崎に戻る。おまえさんと『舎密局必携』を作るための家出じゃ。一人でもできるとは思うよ。でも、二人のほうが効率がええし、きっと楽しい」
やっと固まった顔の筋肉が緩んで来た。
(あのぶん殴り合いと、涙の別れと、現像地獄、なんだったんやろ)
怒る気力もない。呆れさえ、愛おしくさせるが上野彦馬であり、親友だ。
「ったく……最初から、おまえにゃ負けてたよ。ええよ。ついてきィ。ただし、そうとう扱き使われるかも知れんで? 己も忙しくなる。おまえばっかに構ってられへん。カレフ軍医、共謀か。今更ながら気付いたよ。恐らく、八沢さんたちも知っていた?」
「今度は、吾が目玉ぎょろつかせる番か。あっちついたら『舎密局必携』の第二弾、第三弾の草案。一緒に考えたって?」
「やっと、逃れられると思うたのに。しつこいから、振られるんやろ」
「抱けなかった女を夢で蹂躙(じゅうりん)する、冷酷男に言われたくないわ。それとも、あれか? もしかして、吾を? 悪いが、吾は女が良いですので、お引き取り願います~」
「あるわけないやろ! あほんだら! 己はできなかったんじゃない。あー、要するにだな、しなかった。分かるか? 侍は……」
「すけべえ」と彦馬は、またもや繰り返し「吾は荷物ですから~ァ」と布に丸まった。
やれやれ、この小競り合いが甲板でできるとは思わなかった。
(とんだ、オマケがついてきた。これだから。人生は面白い。面白すぎて、終わりが怖くなる。それにしても、荷物として乗船? 駿河守が知れば、拿捕(だほ)しに来んで)
夜に見つかる前に話を通そうと、水(か)主(こ)を呼んだ。二人分の料金は八沢が払っていたので、彦馬は荷物から、客になった。
――どいつも、こいつも。面白いが好きな酔狂な連中だ。だが、とっても好きだった。アイラブャ、やった。己を包んでくれて、おおきに。どうか、元気で――。
長崎の埠頭を、船がゆっくりと離れ始めた。
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数日後の船旅を経て。見え始めた津港には、どでかい戦艦が止まっている。甲板には大砲もあった。藤堂の山荘に、赤い橋が見える。懐かしさもひとしおだ。
「鍬、鍬や! おーい、婆さんら! 鍬が、今度こそ、嫁ぇ連れて、けぇって来たでぇ~!」
(ぼけジジイ!)が騒ぎ始め、また彦馬が愁傷(しゅうしょう)にお辞儀をし、大騒ぎになった。
まず飛び出して来た男女に足が竦んだ。鍬次郎の父と母だ。
「母ちゃん……親父……」
母は足を止めたが、気丈にも涙声で鍬次郎の本当の名を呼んだ。
随分、小さくなった気がする。だが、いつだって母が作った着物を着て、時を過ごした。
「お帰り。元気にやっておったやないの。おや、背が大きくなった? 声も低ぅなって、お父によぅ似ておるわな。たまに、手紙くらいくれても良かったやないの?」
「ただいま。うん、ちょっと、かな。ゲー、やめれ。母ちゃん。わり、和泉守様は? あと、親父、この刀は返さへんから。己、これから使うんで、これは貰ろたで。侍が刀なくして生きられんからな。母ちゃん、手紙はすまん……」
親父は背中を向けた。「最近、涙脆いんよ」と母が「ほれ!」と背中を叩いた。
「お殿様は、ずっと山荘やで。桑名との戦いが長すぎて、皆が呆れ始めて……あ、鍬次郎!」
竹蜻蛉を弄りながら山に魅入っている彦馬を置き去りにして、山荘に急いだ。
どうやら小競り合いの最中らしい。男衆の怒鳴り声が響いている。
「これ以上、無謀(むぼう)な戦いをするつもりか、和泉! あんなおっそろしいモン船に乗っけて! 大樹様に見限られんとも限らん。大砲ぶっ放す? そりゃあ、あまりに非道な……」
「桑名との戦いは、もう終止(しゅうし)符(ふ)を――」
鍬次郎は勢いよく襖(ふすま)を開けた。
「海戦に持ち込むなら、軍師が要る! 大砲は威力を知らないなら、脅しにしかならん。味方も死すで。人を集め、編制して、船で奇襲を懸けるんや。桑名の御大将と話をつけて、民の生活を護る。あんたは、国主や。戦ったら、あかん。戦いには禁じ手があるんや! あとは、……兵器頼りはあかん。和泉守様」
高猷の驚いた顔に、ほっと郷愁(きょうしゅう)を感じ、お歴々の前で、膝をついた。
「やっと、あんたを驚かせた。堀江鍬次郎、ただいま長崎から戻りました。これからは、お殿様の元で、命果てるまで、共に生きる覚悟でございます」
奥座の高猷が目を見開いた。奥方様が口元を押さえ、微笑んでいる。
「よう、戻りましたなァ。ほれ、何か言うたれ。随分賑やかに帰って来たもんやねぇ」
「長崎から大猿を連れてきたので、こき使ってやって。すみっこの藁小屋でも与えてくれたら、勝手に写真で遊んでるから」
「藁小屋でええんかい。もしや、長崎の鬼っこ連れて来たんか」
「勝手について来た。あー、あと、己、写真ここでやる。でも、あんたの手伝いもすんで。兵器学なんのために学んだと思う? なあ、和泉守様、ちゃんと、大切なモン、護ろうや」
高猷は、しばし目を閉じていた。「これで、どや!」と長崎の地酒をドンと置いた。
「男同士の誓いや。あんたは国主や。戦ったらあかん! 目ェ覚ましや! ケツ蹴るで!」
高猷の鋭い眼を逸らさず、正面から睨んだ。高猷は大きく頷いた。
「奥、今夜は、宴や! 小猿が大猿になって、帰って来た! ありったけのご馳走出し!長崎の話、みな聞きたがるで! 鍬次郎! 寝られんと思え!」
「ああ、大いに結構や! 耳かっぽじって聞け! 異国はすごいんやで! な、彦馬。先進的な技術の――……」
「おっちゃん。しばし世話んなりやす!」
彦馬に続き、こそっと覗いていた婆様たちも這い出てきた。
やれやれ、また、賑やかな日々になりそうだ。
月日はきっとあっという間に過ぎるから。時の命の砂の音なんぞ、耳を傾ける暇はない。勿体な過ぎて、終わりなんぞ考えられるか。
だから、前だけ見ればいい。飛び込んで、溺れてりゃ、泳ぎを覚えて生きてゆける。
その夜、鍬次郎の話は尽きず、山荘の行燈は消えることはなかった。
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時は流れて、万延元年。主君、藤堂高猷が参勤に入り、鍬(くわ)次郎(じろう)は上野彦(ひこ)馬(ま)とともに写真機具一式を携え、江戸へ行く話になった。
「なんや、緊張するな」江戸城を前に、鍬次郎は呟き、「己、変やない?」と何度も振り返る。正装と呼ばれる礼服など袖を通すも見るも初めてだ。
直垂(ひたたれ)、狩(かり)衣(ぎぬ)、大紋(だいもん)、布衣(ほい)、素襖(すおう)を着用し、堀江の紋と藤堂の紋を両方背負った。刀は糸巻太刀と小さ刀を佩用したが、むろん、実は宝刀だった親父の刀を帯刀した。
高猷との、大樹様へのお目通りである。
「どこでも、背筋、伸ばせ」と高猷の髷姿に頷いた。和蘭陀商館の風景が眼の前を過ぎる。
(背筋を伸ばせ、は長崎で奉行たちに教わった。恥ずかしがるこたぁない! 伸ばすで、行くで! 堀江鍬次郎!)
だが、やはりかちこちのまま、大樹様に挨拶をした。何を言ったかは正直覚えていない。
本来なら、写真技術の立役者は彦馬だ。しかし、彦馬は大名ではないし、あの天網恢々(てんもうかいかい)な性格は、侍の仕来りには向いていない。人にはそれぞれ生きるべき道があるのだと言う如く。
緊張の時間が過ぎた。四肢を伸ばせた時、お陽さんはまた西に帰る準備をしていた。
(さて、あっちはどうかな)と高猷と別れ、鍬次郎はある長屋に足を向ける。草履と砂利が擦れる音が響く。合間に「こんくらいで、どや?」と明るい声が聞こえてきた。
生きてきて、一度は逃げた侍の道も、悪くはない。侍であろうと、舎(せい)密学(みがく)であろうと。
たった一つ、皆が教えてくれた。
自分自身さえ見失わなければ恐れるモノはない。
侍ではない彦馬は、藤堂別邸の近くの長屋で小さな写真店を開いている。
「鍬次郎か? きったない格好じゃないから、わからん」
「こら、彦馬! 己の武士姿は〝凄い! かっこよか〟だろ。撮らせてやってもええ!」
「こんくらいで、どや!」
この業突く張りの自慢の心友! 鍬次郎は腕を伸ばし、彦馬の頭を叩き伏せた。
「ちゃんと、大樹さまにお目通りしたで! 舎(せい)密局(みきょく)必携(ひっけい)認めてもろたで! 彦馬!」
何処でも変わらぬ悪戯で助平な笑み。大人になっても、変化なし。
「おっちゃん。ここな、ここに板嵌めて、バシャっと行ったれ!」
夕焼けに顔を染めた彦馬と並んで最後の一枚を撮った。
和泉守の慣れない手つきに二人で笑った。次なる目標が見えた。
(この舎(せい)密局(みきょく)必携(ひっけい)。己らだけが撮れても意味ない。そう、後世に伝えて見せる! 最高の時間を、皆が遺せる奇跡を、己らが遺すんや!)
かつて彦馬が願った夢の通り。
――時間は限られている。だが、己と彦馬なら、できるはずや!
「おっちゃんが瞳子さん綺麗に撮れたら、合格や!」
彦馬とこぶしをぶつけあった。
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更に翌、万延二年。交代で、高猷と一緒に津へ帰国した鍬次郎と彦馬は、舎密の学校、藩校(はんこう)《(<)有造館(ゆうぞうかん)》(>)を設立した。勿論、講義には教本として、鍬次郎の校閲、彦馬抄訳の『舎(せい)密局(みきょく)必携(ひっけい)』前編三巻(中、後編、付録は未刊)を藤堂援助で刊行し、文久三年の夏、鍬次郎は武力(ぶりょく)蜂起(ほうき)「天誅組の変」に鉄砲隊を率いて出兵した。大和(やまと)の宇陀郡(うだぐん)にて異国の鉄砲隊を率い、勝利した。
(当たり前やろ。主君、藤堂高猷(とうどうたかゆき)の元で、負けは許されん。死しても恩師は変わらずや)
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――さて、己は三十六年の天寿(てんじゅ)を全うした。竹蜻蛉(たましい)は勝手気儘な大空へ解き放たれた。
己がベルの笑顔を遺したいと願ったように、未来の誰かが、かけがえのない誰かの笑顔を遺す。己と彦馬が、涙晴れて紡いだ写真の未来が、優しく在(あ)って欲しいと願う。
彦馬がどうなったか? ああ、長崎にて上野(うえの)撮影局(さつえいきょく)を(親を説き伏せて)見事に開業、日本初の職業(しょくぎょう)写真館師(しゃしんかんし)を名乗り、荒稼ぎしている。商売の才能も高いらしくてね。持ち前の剽軽(ひょうきん)さと、がめつさで上手くやっている。
おや? その彦馬が足を止めたで。懐かしそうに、己の写真を見ている。思い出してくれているのか。写真の世界で己はいつも嬉しくなって、心でそっと呟くんや。
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〝今日も頑張りや、長崎の鬼。未来は、頼んだ。また、きっと、笑顔で逢おう――〟
長崎たけとんぼ 《了》