第4話
豪華な部屋についた時、春樹はようやく秋嵐様から解放された。
早く、理由をつけて離れないと。
豪華な椅子に座らされ、居心地の悪さに、春樹は椅子の上で縮こまった。
「茶でも淹れ「春樹」
ノックもなしに開かれた扉から、姿を現したのは、空と見知らぬ男性だった。
抱きつかれ春樹は、余計に気分が悪くなり、吐き気がした。それをぐっと堪え、感情に蓋をして、春樹は言った。
「空、力が強い。痛い」
「あっ、ごめんな。でもぼくに黙って勝手にいなくなったらいけないんだぞ」
至近距離で大きな声を出され、耳が痛くなった。
「ごめん。俺だけ違う場所に落ちた」
「謝ったから許してやるぞ」
煩くて、人の話を聞かない、好き勝手に喋れる空が、この時ばかりは、羨ましく思った。自分には絶対にできない。
「ありがとう」
棒読みで喋ることで、自分の心を悟られないようにすることで精一杯だった。
早く……早く……誰か此処から、助けて。
秋嵐様の視線と空のわめき声、誰だか分からない金髪の男の視線が、痛い。
もう、俺には耐えられない。
意識が遠のきそうになった時、春樹を支えるものがいた。
「大丈夫か」
誰の声だろう。だけど、すごく安心する。