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「周りがみんなきれいな色を持っているのが、私には許せないの」

「なにを言っているんだい。君はこんなにも鮮やかなのに──」

「それ、嫌味?」

「私には、君という人間がとても鮮烈で、美しく見えるよ。不覚にも、みとれてしまうほどに」

「惚れっぽいだけなんじゃないの?」

「人間嫌いの私を惚れさせたんだから、レディはもっと自信を持ちたまえ」

 演技っぽい口調のせいで、オクルスの言葉はどうも信用ならない。

 確かに人間好きには見えないのだが。

「鮮やかなんて言葉、まさか自分に向けられるとは思わなかった」

「周りに見る目がなくて、君がまだ気付けていないだけさ。君の色は仮面の下で黒ずんで、元の色が分からなくなってしまっている」

 仮面の下で、オクルスは口角を上げた。

 そして、こちらに手を伸ばす。その動きがあまりに自然すぎて、避けることも払うこともできない。

 冷たい手が私の頬に触れた。

「私は君の仮面を剥がしたい。その下に秘めた君を見せてほしい」

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