第六話 ディー部隊との戦闘開始
見張りの兵士から連絡を受けた俺は、170魅力上昇薬を購入後に服用して、アレクとリョフを召喚した。いろいろな経験をしたためか、自分自身の魅力値が51になっていたのでついでにNユニットも一人戦ってもらうことにした。
「アレク、リョフ。作戦通りに頼むよ。君たちなら勝てるはずだ」
「ええ、必ず勝ちます。ご安心ください」
「リョフちゃん一人でも楽勝だよ! 泥船に乗ったつもりで待っててね」
……ボケたのかマジなのか分からないから反応に困るな。ここからは、二人の視界を共有しよう。目を開けていればトリプルディスプレイ、目を閉じればアレクとリョフの視界のデュアルディスプレイといったところだ。俺は基本的に安全な場所にいるから主にディアルの方を使っていこう。
城門を開ける前に、アレクの口上の後で兵士全員がときの声をあげ、士気が高まったところで城門を開けて皆が出陣し、それぞれ配置につく。敵軍はどんどん近づいてくる。互いの軍の先頭が200メートルほどの距離になったところで、アレクと一緒に先頭にいたリョフが馬に乗り駆け出した。
敵に手が届くほどの距離にきたところで、変わった形の武器に黄金のオーラをまとわせ、力をこめた一突き。横幅30メートル・奥行きは何百メートルかもわからないほどの黄金の光が一瞬でトカゲ兵を何百匹もあとかたもなく消滅させた。
リョフに続き、アレクも敵の近くまでいき、剣に青いオーラをまとわせ、力をこめて薙ぎ払った。若干攻撃範囲は狭いものの、リョフの縦範囲に対して、アレクの横範囲の攻撃で、またも大勢のトカゲ兵が消滅した。
「全軍、総攻撃だ!!」
アレクの号令で全兵士がトカゲ軍に突進する。交戦が始まるものの、一瞬で数的有利を互角にされたトカゲ兵は動揺し、士気が低い。さらに、アレクの的確な指揮とアビリティにより、こちらが圧倒的有利な状況だ。だが、突如戦場の一角から百人以上の悲鳴が次々に聞こえてきた。悲鳴は人間のものだ。
アレクとリョフがそこに駆け付けると、体が大きく、黒いオーラを全身にまとったトカゲの魔物がいた。あたりには人間の死体が200体近く転がっている。まず間違いなく全軍のボスだろう。俺でも一目で分かるほど、強者の風格を漂わせている。
「さっきはあれだけ俺の部下を殺したんだ。まさか文句を言うわけじゃないだろうな?」
ボストカゲに凄まれ、さすがの二人も少しひるんだようだ。
「ふん、悪いが私はそんな理屈では納得しない。私を信じて戦ってくれた兵士たちの供養のためにもお前を殺す」
アレクが切りかかるが、トカゲボスは左の剣で受け止め、右の剣で切り返してきた。それをアレクは盾で受け止める。さらにトカゲボスは斬撃を繰りかえす。攻撃の間隔がとても短く、アレクは防戦一方だ。
「君じゃ勝てないんじゃない? リョフちゃんと交代してよ」
「いや、一緒に戦おう」
「えー、二人がかりなんてダサいよ。君は休んでなよ」
「しかたないな。では頼む」
アレクが後ろに下がり、代わりにリョフが戦い始めた。リョフの武器は方天画戟という変わった形の長柄武器だ。槍の穂先の根に薄い斧のようなものがついている。リョフは方天画戟を巧みに操り、突きと斧のような部分での攻撃を交える。