鬼ノ城の結界
「航空自衛隊の戦闘機が岡山県の足守の『真田丸』をミサイル攻撃したらしいが、何故か、包囲していた戦車部隊が爆発したらしい」
島左近はスマホのニュースを見ながら、石田三成に話しかけた。
熊本の避難所のボランティアも先日採用した大谷吉継の活躍でかなり上手く回っていた。
「それは『鬼ノ城の結界』だと思います。秀吉様が毛利側の高松城水攻めの際、<マヨイガ>のような場所を発見したとおっしゃっていました」
「つまり、真田幸村はそれを知っていて利用しているのか?」
「そうなります。海野氏から出たのが真田と言われてますが、忍の家系の一派になった伴氏、古代の戦闘氏族の大伴氏の末裔とも云われてるので、修験道のネットワークでそういう情報を知ってた可能性が高いです」
「ということはあの辺りは異次元空間になってるということか?」
「そうです。不用意に攻撃できないでしょうね。厄介な場所に城を築かれましたね。まあ、秀吉様や<天鴉>が動くと思われます」
「さすがの真田も衛星兵器の<天照>を食らってはひとたまりもない」
「……それで相談なんですが、私が真田さんの説得に行こうと思います。神沢少佐に連絡しました。殺すには惜しい人材です」
「わかった。俺も一緒に行く。ここは大谷吉継に任せて大丈夫だろう」
「かなり有能なので大丈夫でしょう」
三成はボランティアの指揮を取る大谷吉継を遠目に眺めていた。
白い頭巾姿が眩しくて、なかなか頼もしい男であった。
長い付き合いになりそうだと三成は思った。