決心
リサは眠るように崩れた。
辛かった全てのモノコトから解放されたように。
「どおして・・・どおしてこんな、どおしてこんな小さい子に酷い・・・」
小さなえるのの眼に、大粒の涙が溢れてくる。
「なんで、なんで人間って・・・」
「ガーネット隊、到着しました!・・・わ・・・」
後方支援を受け持っていたガーネット隊のジャニスが声を失う、惨状。
えるのは腰に付けた弾帯から封印されたパッケージを破いた。
銀色に鈍く輝く弾倉。それは…
「モビウスワン、反応弾装填中!」
「ダメだ!えるの!!撃っちゃ駄目だ!」
各自、通常の対ジャム弾や通常弾が効かない相手の為に魔力を封じ込めた反応弾を渡されている。
元々1mm程度のサイズの銃器だ。物理的に撃たれても気づかれない位の弾なのでその威力を最大限まで高めたのが反応弾だ。
つまり、唯一殺傷能力を持つ弾頭。
弾は小さいが血管の中で炸裂すればその衝撃波伝搬して生物なら脳や内臓を破壊する。ウォーターハンマー現象を利用したサイレントアサシン。
パッケージの封印を解いた事は上官であるビスマルクの元にも通知される。
不殺を絶対の掟にしている妖精界にとって人を殺めることは絶対に許せない。
「ダメよ!殺してしまってはダメ!」べるが倒れて呻く男とえるのの間に入り遮った。
「姉ちゃん、どいてくれ。」
「撃たせるわけにいかないわ。このクズを殺してもあの子は喜ばない!」
「りぷーよりみんな!先ほどのエリア18の残党と思われる大部隊が接近してるよ!足留めは試みているけどちょっと無理っぽい〜、急いで!」
「アウルアイより緊急!先ほどの残党を狙い巡行ミサイルが発射された!着弾まで3分、退避を急げ!」
どうしたら・・・
どうしたらいい?
みんなを脱出させるのは・・・
考えていた退路は塞がれていて、しかも時間制限も生まれた。
「・・・より、モビウスワン!
「モビウスワン、聞いてる?!」
「えるの!返事をして!!」
懐かしい声。
そう言えば、さっきのパスファインダー?・・・
「ネイリーよ!えるの!」
「ネイリー!!」