エピローグ
エピローグ
「う、うわあ、海だ~青くて、広くて、なにより綺麗だな~」
「そうか、ヴァネッサは海を見るのが初めてなのか」
「はい! 初めてです! 話には何度も聞いていましたが……」
「あ、あれはなんだ⁉ 海に住む巨大な怪物か⁉」
「え、ああ、あれは船だよ、イオ。船首に竜を模したりしているものが多いんだ」
「船か……そういえばあれに人が乗るんだっけな」
「そう、これから、俺たちはあの大きな船! ……よりも大分小さいあの船でこの西の港から出港するんだぜ!」
「なんのために、そんなことを⁉」
「なんのためにと言われると、正直答えに困ってしまうんだが……」
「ヴァネッサは自らの見聞をさらに広めるためだろう? まさかこんな島国で終わりだなんてもったいないことこの上ないぜ!」
「あ、ああ、そうですね。確かにその方が良いと思います……」
「イオ殿も今までみたことのない多くの美味しい料理と巡り合う機会がより一層増えると思われるでござるよ」
「そうか! それは実に楽しみだ!」
ヴァネッサとイオはそれぞれ目を輝かせる。俺はオリビアとウララに対して礼を言う。
「すまないな! なんだか妹たちの面倒をみてもらっているみたいで……」
「あまり気にしなさんな! ……と言いたいところだけど」
「船の航行方針で、アヤカ船長とエリー副船長の意見が対立しているでござる……」
「い、意見対立か……ま、まあ、活発な意見交換というのは結構なことなんじゃないか? ってか、船長は俺じゃないんだな……」
俺はアヤカとエリーが向かい合って座る部屋に入る。アヤカとエリーは俺に告げる。
「海賊として、各地の港町を拠点にして旅をしていくのでありんす♪」
「か、海賊として……⁉ ア、アヤカはどう考える……?」
「あくまでもこの港を拠点として、動いていくのが良いと思うのですが?」
「面白みのないものでありんす! 世界にはもっと多くの王がいるというのに!」
「面白みなどなくて、結構! 山王の勢力を打破したことにより、この国にも居づらくなった点は否めません。海岸防衛を主たる任務としてこなしていき、中央との信頼関係を徐々に構築していくのが一番良い考えです!」
「山王の残兵などを吸収し、あちきらはこの世界でもそれなりの『小勢力』になることが出来んした! キョウ様、自由に生きるならば、やはり王になることでありんす!」
「そうか……それなら、俺もいっちょ、王になるか! 裸の王! 「羅王」に! よし、出航だ! 裸族が広い世界に打って出るぞ! 道を開けろ!」
~第1章完~