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020:野営の日の朝

 早朝付近までお喋りをして過ごした私達だったが、夜が明けるちょっと前に交代で仮眠を取った。私が先でジンが後だ。で、ジンが寝ている間に私は朝食の準備。そのためには水が出せるシエラに起きてもらわないといけない。

「シエラ。起きて。朝だよ」
「うぅ~。リサ姉たん……」

 まだ少し寝ぼけているようだ。

「悪いんだけど水を出してもらえるかな。あとトイレように穴も掘って欲しいんだけど」
「トイレ……シエラも、おしっこするぅ」
「はいはい。じゃあまずシエラからね」
「あい」

 シエラに草葉の陰で魔法で穴を掘ってもらい、私は見張りに立つ。トイレって何気に危険なんだよね。シエラ、私の順で用を足し、穴を軽く埋める。後でジンも使うかもだしね。

 その後はやはりシエラに水を出してもらい朝食を作る。まぁ昨日食べた携帯食料を水でふやかしただけの食べ物なんだけど。

 水を温めているとジンが起きてきたので、トイレ用の穴の場所を教えて、朝食を摂ってもらった。

「今日はどうするんだ?」
「うん。さすがに最初から二泊は想定してないから今日はもう帰るよ」
「そうか」
「でも途中で噛みつき角ウサギが出たら狩るけどね」
「了解した」
「そこまで付き合わなくても大丈夫だよ?」

 自分の狩りに戻っていいよって意味でジンにそう告げるが彼は「気にしなくていいよ」と言った。最後まで付き合ってくれるらしい。

「そうだ。なら昨日のオークの魔石。あれはジンにあげる。護衛料ってことで」
「別にいいよ」
「良くないよ。私が気にするの」
「……いいのに」
「よくないよ。はい」

 そう言って少し強引に魔石を渡す。

「それでリサの気が済むなら貰うけど」
「うん」

 これで少しは借りが返せたかな。それでもまだ彼の持ち出しのほうが多いか。

「そうだジン?」
「ん、何?」
「何か私にして欲しいことがあったら言ってね。出来る限りは協力するから」

 するとジンが苦笑い。

「気にしすぎだよ。俺がやりたくて協力しているだけだから」
「そうかもだけど……」
「どうしても気になるっていうなら、そうだな。後で鍛錬に付き合ってよ」
「鍛錬?」
「そう。リサも結構やるんでしょ?」
「それは……まぁ」

 筋肉は一日にしてならずだ。

「一人だとどうしても怠けがちでさ」
「あぁ。それは分かるかも。誰かとやる方が捗るよね」
「そうそう。だからどうかなって」
「わかった。それなら一緒にやろう」
「了解」

 すると「シエラもやるぅ」と言って私の膝の上にダイブしてきた。

「シエラも筋肉、やる?」
「筋肉する!」

 意味わかってるのかなぁ。

「大変だよ?」
「大丈夫だよぉ」
「よし。じゃあシエラはまずは体の基礎づくりからだね!」
「うん!」

 こうして私達は街に帰った後の計画を立てたのだった。

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