遅刻の常習犯
「申し訳ございません。お約束の時間が過ぎましたが」
「あと5分待って、お願いだから」
「いくらお盆でも、死者は、長時間、現世に留まれないのが決まりです」
「分かってる。彼が来たら、すぐ済むから」
「おお~い」
「ほら、来た、すぐ済むから。本当にあと五分待って」
「五分だけですよ」
「ごめん、待たせた?」
「待ったわよ。あんたって、本当にいっつも時間通りに来ないわね」
「悪い、悪い、でも、本当に待ってるとは思わなかったからさ。だって、お前、事故で・・・」
「時間がないから、手早く済ますね。あんたのそういう時間にルーズなところとか、他に女作ってるところとか本当は大っ嫌いだったから、一発、叩かせてね」
バシッ!
「ああ、すっきりした。じゃ、もう天に帰るから」
「あ、え? これだけ?」
「なによ、祟られたいの?」
「お前、死んでも、さばさばしてるんだな」
「バカは死ななきゃ治らないって言うけど、私、バカじゃないから」