守秘義務
「あの女を殺して欲しいの」
「無理ですね」
「悪魔って、ひとの魂を代償にどんな願いも叶えてくれるんでしょ」
「確かに、そうですが、あなたの魂では、お引き受けできません」
「なんで、私の命じゃダメなのよ」
「実は、先約がありまして」
「先約?」
「はい、あなたを地獄に送ってくれという依頼がありまして。ですから、もうあなたの魂に価値はないのです」
「私を、地獄に! あ、あの女、悪魔を使って私を・・・、あのクソ女が!」
「誰が依頼主か悪魔でも契約者への守秘義務がありますので、明確にはお答えできませんが、そういう事情だとお察しください」
「あの、どブス、やってくれるわね」
「さ、地獄に行きましょうか」