私と一君と

とにもかくにも、
まずは山南さんに会わなくては始まらない。

近藤さんに頼み、一君と三人で
会いに行ったのは
私が幕末(こっち)に来て三日目だった。

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『初めまして、一君の許嫁の
朝代絃羽と申します。

今日は山南さんにお話があって来ました』

私が未来から来たこと等を
簡単に説明してから本題に入った。

「それは不思議な体験をしましたね」

一君に笑いかけながら言った。

窶れてしました山南さんは
声にも笑顔にも覇気がない。

『甘いこととわかっていて
敢えて言わせて頂きます。
私は山南さんを脱走させたくありませし、
沖田さんに介錯なんて
辛い役目をさせたくありませ‼』

皆が幸せになんて、
この時代では
戯れ言だとわかっている。

それでも、現代(未来)から来た者として、
歴史を変えたいと思ってしました。

泣きそうだった。

隣にいる一君が肩を抱いてくれた。

震えていることに
気付いてくれたんだろう(苦笑)

『俺も山南さんにはずっと
新撰組(ここ)にいてほしいです』

身体が弱ってしまうと
ﾈｶﾞﾃｨﾌﾞな思考に陥おちいりやすい。

『本当は歴史を変えてしまうのは
よくないことなんでしょうけど
私が#幕末__こっち__#に来たことに
意味があるなら、これから起こるだろう
最悪なこと全てを防いでいきたいんです‼』

これは、本心だ。

幕末から明治にかけて、
“侍”は必要がなくなっていく。

そんな中でも、私はこれから先、起きたることを
悲しみも喜びも皆と一緒に乗り越えていきたい。

「あなたは不思議な人だ。

わかりました、あなたが
現代(未来)に帰れるその日まで
私も新撰組《ここ》にいましょう」

ﾎｯ。 よかった。

『ありがとうございます‼』

確かな言質(げんち)が取れた。

証人は近藤さんと一君だ。

これで、山南さんの脱走は未然に防げた。

だけど、問題はまだまだ山積みだから
山南さんにも協力してもらおうと思った。

博識な山南さんなら解決策を
見出だせるかも知れない。

これで、一つは回避できた。