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トラウマがッ!

 いやいやいや。
待て待て待て。
流石にそんなわけない。
落ち着くんだ。

たった一瞬だけツンデレっぽくない姿を見たというだけで惚れたりするわけがない。
俺はそんなにちょろくないはずだ。

……。
まぁでも惚れてしまった可能性を考えておくことは別に無駄ではないだろう。

「あくまでも可能性があるってだけだからな? その可能性が高いなんて言ってないからな? 勘違いすんなよ?」
「な、なによ急に……」
桜子がポカンとしている。

しまった。
声に出ていたらしい。

「なんでもねぇよ……ッ!」
うわっ!
なんか今ゾワっときた。
なんとなく作者がニヤニヤしている気がする。


 視界に映る景色が入れ替わり、俺は自分の部屋にいた。
どうやら朝のようだ。

スマホを見て平日であることを確認すると、俺は桜子が起こしに来る前に身支度を済ませようとした、のだが……。

体の至る所が痛すぎて起き上がれなかった。
不良にボコられた影響だろう。

病院に行くほどではないとはいえ、まあまあキツい。
めちゃくちゃ腹を殴られたせいだと思うが、起き上がろうとすると腹筋が痛んでベッドに逆戻りしてしまう。

「晶午ー。起きてるー?」
まずい!
もう来やがった!
くっ、看病イベントのトラウマがッ!

動け俺の体ァ!
動け動け動けェ!

必死の努力も実らず、無情にも桜子が部屋に踏み入ってきた。

「ん? え、ちょっと晶午!? 大丈夫!?」
はい、デジャブです。
ちくしょうぉおお!
またかよぉおお!

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