天気予報見ろ
放課後になった。
雨が降っている。
嫌な情景描写だ。
俺は昇降口に向かって歩いていた。
これまでの経験から、作者がどういうイベントを用意しているのか大体察しがつく。
これはきっと相合傘イベントだ。
試しにカバンの中を確認してみると、案の定折り畳み傘が入っていた。
まったく……この
自由に行動ができるようになる前、七回くらいこのイベントこなしたぞ。
マジでレパートリーが少なすぎるんだよ。
作者もしかしておバカさんなのか?
そんなことを考えながら、昇降口に辿り着いた俺は桜子を発見する。
毒舌情緒不安定ツンデレヒロインは手のひらで雨を確認するようにしながら、空を見上げて佇んでいた。
こいつどんだけ傘忘れるんだよ。
天気予報見ろ。
クソが。
俺は桜子に声を掛けた。
「おい情緒不安定」
桜子が振り返った瞬間、折り畳み傘を放った。
桜子は驚きながらもそれをキャッチする。
「な、なんのつもりよ。あんたと相合傘なんて嫌なんだけど!」
「するわけねぇだろ気持ち悪い。あばよ。はっはっは!」
俺はダッシュで逃げ出した。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」
後ろから桜子の声が聞こえるが無視する。
雨に打たれながら家に向かってひた走った。
作者の思い通りになるくらいならびしょ濡れになった方がマシだ。