ドン引きさせてやるのだ
このように、最近は桜子の俺に対する好感度をゼロにするために喧嘩を売りまくっているわけだが、未だ決定打に欠ける。
桜子が俺のことを好きだということを、作者がゴリ押ししてくるのだ。
どう考えても嫌われる発言をしたとしても、桜子からの好感度はマックスのまま。
正直かなり不利な勝負だ。
俺からすれば作者とは神。
そもそもが負け戦なのだ。
しかし俺は諦めない。
確実に好感度を下げるためには、どれだけ取り繕っても桜子が俺に好意を寄せるのは絶対におかしい状況、物語として整合性がとれなかったり論理的に矛盾が生じたりするような状況を作り出すことが手っ取り早い。
例えば俺がなんの理由もなく桜子のことをボコボコにすれば、いくら作者が神とはいえ俺たちでラブコメを続けることは難しくなるだろう。
まぁ流石にそれは最終手段だから安心してほしい。
戦うのなら正々堂々戦いたい。
作者が強硬手段に出ない限り、俺も滅多なことはしないつもりだ。
さて。
時間が進み、俺は今学校にいる。
俺たちは小説の世界の住人だ。
夢を見ているように、唐突に場面が切り替わったりするのは日常茶飯事なのである。
一秒前までは俺は部屋で桜子と話していたが、今は教室の席に座って頬杖をついていた。
どうやら昼休みのようだ。
腹が減ったなと思ったところに桜子が来た。
俺はため息をついた。
気にした様子もなく、桜子はぶっきらぼうに弁当箱を差し出してきた。
「ほら、あんたの分」
俺は毎日桜子に弁当を作ってもらっているという設定だ。
この設定ほんとクソ。
時間や場所が急に変わって、作者の設定した舞台で物語を演じなければならないこの世界では、事前に準備することが極めて難しい。
だから俺は自分で弁当を作るなどしてこの昼食イベントを回避することはできない……。
とでも思ったかァ!
俺はテメェの幼馴染ムーブを徹底的にぶっ潰してやるぞ桜子ォ!
というわけで、俺は切り札を使うことにした。
なにをすると思う?
……フフフ。
俺は今から……。
激キショ発言で桜子をドン引きさせてやるのだ。