彼女との出会い、そして結婚
そして、翌日、俺が畑仕事をしていると、見知らぬ少女が目の前に現れて声をかけてきたのだ。
「あのー、すみませんが、この辺りに住んでいる方ですか?」
(ん? 誰だこの子は?)
そう思いながらも、とりあえず返事をすることにした。
すると、彼女は嬉しそうに微笑みながら言った。
「よかったぁ~! 実は道に迷っちゃって困ってたんですよ~!」
それを聞いて、俺もホッとしたと同時に彼女に尋ねた。
「ああ、そうだったのか、それは大変だね、どこに行きたいんだい?」
そう聞くと、彼女は嬉しそうな表情で答えた。
「はい、私はここから少し離れた場所にある街に行きたいんですけど、道がわからなくて困っていたんです」
そう言って、地図を見せてきた。
それを見て、俺は納得したように言った。
なるほど、そういうことだったのか、それなら案内してあげないとな、
そう思って、彼女を連れて歩き始めた。
道中、色々と話をしたのだが、彼女の名前はアンナというらしく、年齢は16歳だと言っていた。
そんな彼女を見ていると、何だか微笑ましい気持ちになった。
何故なら、彼女がとても可愛らしく見えたからだ。
それに、話している時の仕草や表情なども愛らしくて、見ているだけで癒されるような気分になった。
(この子、本当に可愛いよなぁ……)
と思いながら見つめていると、その視線に気づいたのか、彼女がこちらを見てきた。
その瞬間、目が合ってしまい、慌てて視線を逸らすと、彼女も顔を赤くして俯いてしまった。
その様子を見ていて、ますます愛おしく思えてしまった。
その後、しばらくして目的地の街に到着したのだが、そこで思わぬ出来事が起こったのである。
なんと、街の門番をしている兵士から呼び止められてしまったのだ。
何事かと思って聞いてみると、なんと、この街には凶悪な犯罪者が潜んでいるという噂があるというのだ。
そのため、街中を歩く時は気をつけるようにと言われたので、俺たちは素直に従うことにした。
だが、その後も次々とトラブルに見舞われることになるとは、この時はまだ知る由もなかった。
まず最初に起こった問題は、泊まる場所の確保だった。
宿を探すにしても、どこも満室状態で空き部屋がない状態だったのだ。
途方に暮れていると、一人の女性が話しかけてきた。
その人は宿屋を経営している人で、ちょうどキャンセルが出たため、部屋を提供できるということだった。
なので、ありがたく申し出を受けることにした。
こうして、なんとか寝床を確保することができた俺達は、その日はそのまま休むことにした。
翌朝、目が覚めると、隣に誰かいることに気が付いた。
驚いて飛び起きると、そこには下着姿のアンナが居たんだ。
しかも、よく見ると彼女は俺の腕にしがみついて眠っているようだった。
(な、なんでこんなところにいるんだ!?)
慌てて離れようとすると、彼女が目を覚ましたようだ。
そして、俺の顔を見るなり言った。
「おはようございます!」
そう言って微笑んだ彼女の顔はとても可愛らしく見えた。
その瞬間、心臓がバクンッ! となるのを感じたのだった。
それから、俺達は朝食を済ませた後、すぐに宿を出た。
そうすると、目の前に昨日の門番が立っていたのだ。
彼は俺の顔を見るなり、険しい表情で話しかけてきた。
「おいお前! ちょっとこっちに来い!」
そう言われて腕を引っ張られると、人気のない路地裏に連れ込まれたのだった。
(一体なんなんだよ!?)
と思っていると、突然殴られたのである。
(ぐはっ!)
その瞬間、俺は地面に倒れ込んだまま動けなくなってしまった。
そんな俺を見てニヤリと笑うと、今度は蹴りを入れようとしてきたんだ。
(やばっ……!)
そう思った瞬間だった。
突然、アンナが飛び出してきて、俺を庇うようにして立ち塞がった。
そして、こう言ったんだ。
「やめてください! もう許しません!」
そう言って睨みつけると、門番は怯んで後退りした。
それを見た彼女は俺を連れてその場から逃げ出したのだった。
(助かったぁ~!)
そう思いながらも、俺は彼女に感謝の気持ちを伝えたんだ。
すると、彼女も嬉しそうに微笑んでくれたよ。
そんなやり取りをしていると、今度は別の男が声をかけてきたんだ。
その男は俺達の前に立ち塞がるように立っていて、手にはナイフを持っていたんだよ。
俺は咄嗟に彼女を庇うように前に出たんだけど、その時に腕を切られてしまったんだ。
(痛っ……!)
そう思って腕を押さえると、男はニヤリと笑って言った。
「へっ、ざまぁみろ! お前みたいなクズ野郎はここで死ね!」
そう言われた瞬間、俺の中にあった怒りが込み上げてきたんだよ。
(こいつだけは許さない……絶対に殺してやる!)
そう思った瞬間だった。
突然、目の前に現れた一人の男がその男を殴り飛ばしたんだ、
その男は壁に叩きつけられると気絶してしまったようだったよ。
そして、その男が持っていたナイフを拾い上げると俺に手渡してくれたんだ。
こう言ったんだ。
「これを使ってあいつを殺せ」
俺は迷わずそのナイフを受け取ったよ、そして、その男に襲いかかったんだ。
その男は必死に抵抗してきたけど、俺の敵ではなかった。
何度も何度も殴りつけてやったんだ、
そうすると次第に抵抗する力が弱くなってきたんだよ、
そこでとどめを刺そうとした時だった、アンナが止めに入ってきたんだよ!
(なんで止めるんだ!?)
と思って彼女の方を見ると、彼女は涙を流しながら訴えてきたんだ。
「もうやめてください! もう十分じゃないですか?」
そう言って俺を止めようとする彼女に俺は怒鳴ったよ、
「うるさいっ! 邪魔をするなっ!」
そう怒鳴りつけると、彼女はビクッと体を震わせた後、その場に座り込んで泣き出してしまったんだ。
それを見て、俺は我に返ったんだ。
(しまった……!)
そう思った時にはもう遅かったよ、その男は既に事切れていたようだったからね。
その後、俺達はその場を後にして街を出たんだけど、そこでまたトラブルに巻き込まれてしまったんだよ。
今度は野盗に襲われて荷物を奪われた上に、アンナが攫われてしまったんだ。
(くそっ!)
そう思いながらも必死に追いかけたんだけどね、結局見失ってしまって途方に暮れていたところ、
偶然通りかかった馬車に乗せてもらえたことで助かったんだよ。
その御者さんは親切な人でね、俺を心配してくれただけでなく、目的地まで送ってくれることになったんだ。
本当に感謝しかないよね……。
そして、その御者さんは俺にこう言ってきたんだ。
「あんた、あの子のことが好きなんだろ?」
それを聞いて俺は顔が真っ赤になったよ、でも否定はしなかったけどね、だってその通りだったからさ。
そうすると、御者さんは笑いながら言ったんだ。
「そうかい! ならしっかり守ってやらんとな!」
そう言われた時は嬉しかったなぁ~!
(よしっ!)
そう思った瞬間だったんだよ、突然馬車が急停車したんだ。
(一体何が起きたんだ!?)
と思っていると、目の前に大勢の男達が現れたんだよ。
そいつらは武器を持っていて明らかに俺を狙っているようだったから、俺は咄嗟に馬車から飛び出して逃げたんだ。
だが、すぐに追いつかれてしまい、囲まれてしまったんだ。
(くそっ!)
と思っていると、一人の男が話しかけてきたんだ。
そして、そいつはこう言ったんだよ。
「お前を殺す」
それを聞いて血の気が引いたよ、だって相手は何人もいるんだからさ……絶望的だと思ったよ。
だけどその時だった、突然別の男が割って入ってきたんだよね、その男は俺を見るとニヤッと笑った後言ったんだよ。
「お前は攫われたあの子を助けに行けないからなっ」
それを聞いて、俺はハッとしたよ。
(そうか、そういうことだったのか!)
そう、その男が言う通り、俺には助けに行く手段がなかったんだよ。
だけど、彼はそれを見抜いていたんだ、だからこそ俺にあんなことを言ったんだと思うんだ、
そうすれば俺が焦って飛び出してくるだろうと思ってね。
つまりは俺を足止めするための罠だったってわけだ……全くやられたぜ!
(くそったれがぁぁ!)
そう思いながらも必死に逃げ回ったんだけど、周りを囲まれて逃げ場を失ってしまったんだ。
絶体絶命の状況ってやつだなこりゃあ、もうダメだと思ったその時だった。
突然後ろから声が聞こえたんだよ。
振り返るとそこにはアンナの姿があったんだ。
彼女は俺に向かって叫ぶように言ったんだ。
「助けに来ました! さあ、早く逃げましょう!」
それを聞いて俺はハッとしたんだ、そうだ、まだ諦めるわけにはいかないよな!
そう思った瞬間だった、突然俺の体が光に包まれたかと思うと、力が漲ってくるような感覚を覚えたんだよ。
(これは一体……?)
と思っていると、再び声が聞こえてきたんだ。
それはアンナの声ではなかったんだけど……。
それは、かつて俺を追放したパーティーメンバー達の声だったんだ。
(あいつらが俺に力を貸してくれているのか……?)
そう思った瞬間だった、俺の体が勝手に動き出したんだ。
まるで誰かに操られているかのように動く自分の体に戸惑いながらも、俺は必死に戦ったんだよ。
そして、なんとかその場を切り抜けることが出来たんだ……ふぅ~危なかったぜ~!
その後、俺達は無事に目的地の街に到着したんだけど、そこでアンナからいきなりこう言われる。
「貴方は元勇者で、しかもパーティーから追放され、農民と暮らしているのですよね」
「ああ、そうだけど、それがどうかしたのか?」
そう聞き返すと、アンナは真剣な表情で言った。
「実は私、貴方にお願いしたいことがあるんです!」
そう言われて驚く俺だったが、とりあえず話を聞いてみることにしたんだ。
すると彼女は驚くべきことを言ってきたんだよ。
なんと、俺が元勇者であることを街の人々に公表して、俺との婚姻を公表したいというのだ。
それを聞いて最初は戸惑ったんだが、彼女の熱意に押されて承諾することにしたんだ。
「わかりました、やりましょう!」
そう答えると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。
そして、俺達は早速街の中心部にある広場へと向かい、そこで結婚宣言をすることになったんだ。
大勢の人々が見守る中、アンナは俺に向かって言った。
「私と結婚してくださいますか?」
「ああ、もちろんだ!」
そう答えると、彼女は嬉しそうに微笑んでくれた。
そして、俺達は誓いのキスをしたんだ。
その瞬間、周囲から歓声が上がったよ。
それからしばらくして、俺とアンナは結婚したんだよ。
その後は二人で幸せな生活を送ったんだけど、ある日、アンナからある事を提案される。
「あのですね、一緒に旅へ行きませんか?」
「旅に? どうして?」
そう聞き返すと、彼女は笑顔で答えた。
「実はですね、私達が出会ったのは運命だと思うんですよ、だから二人で色々な場所に行ってみたいんです!」
そう言われた瞬間、俺はハッとしたよ、確かにその通りだと思ったからだ。
そして、俺達は旅に出ることにしたんだ。
最初は不安もあったけど、アンナと一緒なら何でも乗り越えられるような気がしたんだ。
そして、俺達は色々な場所を旅しながら、様々な人々と出会い、別れを繰り返していったんだ。
しかし、ある日突然、俺達の前に現れた謎の男によって事態は一変することになる。
その男は自らを魔王だと名乗ったのだ!
しかもそいつは俺とアンナが結婚していることを知り、怒り狂っていたようだった。
(なぜこんなことになったのか?)
そう思いながらも必死に戦ったのだが、奴の力は圧倒的で歯が立たなかったんだよ、そこで俺は決意したんだ。
(こいつを倒すしかない……!)
そう思って剣を構えると、奴はニヤリと笑って言ったんだよ。
「無駄だよ」
その言葉と同時に、俺の体は動かなくなってしまったんだ。
(くそっ!)
そう思った瞬間、奴は俺に向かって攻撃してきたんだよ、
俺は咄嗟に避けようとしたんだが間に合わず、奴の攻撃を受けて吹き飛ばされてしまったんだ。
地面に叩きつけられた衝撃で動けなくなった俺を見下ろしながら奴が言う。
「これで分かっただろ? お前は俺には勝てないんだよ」
そう言ってニヤリと笑うと、そのまま立ち去ってしまったのだった。
それから数日間、俺はベッドの上で横になっていたんだけど、
その間にアンナが看病してくれたおかげで少しずつ回復していったよ。
でも、まだ完全ではないため立ち上がることができなかったんだよね。
そんな時だ、突然部屋の扉が開かれたかと思うと、そこには見知らぬ女が立っていたんだ。