廃校
「やっぱり、校舎から出られねぇ」
「の、呪いだ、お前らが、あの子をいじめるから」
「お前だって、身持ち悪い髪とか言ってただろ?」
「あの子の机を汚したり、あの子の鞄を隠したりしたのはお前らだろ」
「おい、騒いだからって、ここから脱出できるわけじゃないだろ、冷静になって考えろよ」
「ふざけんな、お前が、同窓会の二次会だとか言って廃校に忍び込もうって言いださなければ、こんなことにはならなかったんだろ」
「あ、そうだ。こいつだけ、あの子を庇ったことあったよな。あの子の無念を晴らすために俺たちを、ここに・・・」
「なんだ、ようやく気付いたのか。悪いけど、この校舎からは誰も出さないよ。俺も許してないからね」
「お、お前、なに言って・・・、消えた?」
「あのさ、あたし噂で聞いたんだけど、あの二人付き合ってて、あの子が自殺を苦に死んだ後、彼も、かなり精神的に参ってたんだって」
「まさか、あの子を追って自殺したってことはないよな」
「だとしたら、あたしら二人に相当恨まれてるじゃん。どうすんの!」
「し、知るかよ」
「嫌だ、死にたくない、出してよ、あのときは悪かったって。この一番あんたをいじめてたやつを殺してあげるから、あたしら見逃して」
「お、お前、何を・・・」
「そうか、一人生贄にして他を見逃してもらうってのもありだよな」
「お、お前ら、何言って、お、おい、やめろ、うぁああああ・・・」
「一人じゃ、足りなきゃ、もう一人」
「ふ、ふざけないで、あんたが死になさいよ」
「うるせぇ、もうすぐ結婚式なんだ、俺は生きて帰るんだ。死ねぇぇええ」