4-1 茶道部と対抗試合します⁉
七月の放課後。わたしこと鳴海千尋は天文部の部室にいた。
天文部メンバーは部長の姫川さん、副部長の折笠さん、そしてわたしと同じ一年生の村雨さん。&わたし。
「ではおさらいをします」
姫川さんはホワイトボードの前に立った。
「あたしたちの活動内容はみんな知ってると思うけど天文部として活動しながらゲームで対戦することよ。おもに格闘ゲームが多いけど、たまにレースや、パズルもする。ただし先生には絶対バレてはならない」
「わたくし、調べたのですけど格闘ゲームって、とっくに衰退して一部の物好きな人たちがやるゲームですよね」
村雨さんは眼鏡のつるをクイとあげた。
「村雨さん、はっきり言い過ぎだよ」
わたしは村雨さんのはっきりした物言いにびっくりした。彼女はへたなお世辞が苦手らしい。
姫川さんは自分の好きなものをけなされたのに
「そう、物好き。格闘ゲームの全盛期は終わった。二〇世紀末とともに。
でも格闘ゲームを愛する人たちはプレイを止めなかった。そして格闘ゲームの新作をいまもリリースするメーカーもある。それはメーカーにも格闘ゲームを愛する人がいるから。これってすごいことじゃない?
そして近年、格闘ゲームのブームがふたたび起きつつある。動画配信サービスやメーカーがスポンサーになった格闘ゲームの大会まである」
「たしかにおっしゃる通りです。浅慮な発言でした」
村雨さんて言葉選びが古風だなあ。
「この部活は、三年生はいないのですか?」
村雨さんの当然の質問はわたしも気になっていた。
「あたしたちが天文部に入部したときは三年生がいたの。そのころは部員ももっといた」
「内部抗争があってみんな辞めちゃった」と折笠さん。
「天文部で内部抗争? そんなことあります?」
わたしが問いただすとふたりの表情は暗くなった。
「やばかったよね、あれ」
「うん、やばかった」
「天文部内に仮想現実同好会というものがあって、小説やアニメの同好会だったの。
でも独立の機運が高まり内部抗争が勃発した。メンバーを引き連れて独立したのがいまのアニメ研究部。天文部に残ったのは元部長とあたしたちだけだった。その先輩も卒業してしまった。そのトラブルで去年の天文部は活動実績が乏しい。それが生徒会で問題になったってわけ」
姫川さんの表情は暗い。思いだしたくないのであろう。
「なんていうか、あのころの自分たちの若さゆえの過ちを認めざるを得ないよね」
折笠さんもトラウマのようだ。
「あたしたちまだ高校二年生だけどね」
話が一区切りしたところで姫川さんはホワイトボードに文字を書きだす。とても美しい字だった。
「さて、夏休みはイベントが盛りだくさんだよ。夏休み中にGEBOの予選がある。その前にペルセウス座流星群の観測をします」
「なぜですか⁉」
わたしが素っ頓狂な声をあげる。
「天文部だからに決まっているでしょう!」
ああ、そうだった。この部は天文部だった。
「あたしたちだけでなく、