呪詛返し
「何してるんだ、お前」
「最近、あたしのSNSに死ねとか嫌がらせの書き込みがあったんで、ちょっと昔おじいちゃんに教えてもらったことの応用を」
「死ね? 誰だよ、そんなひでぇ書き込みする奴は」
「ネットの匿名性ってやつで、本名不明、職業、年齢不詳、だもんで、死ねと書き込んだら発動する呪詛のリンクを貼ってみたの」
「呪詛のリンク?」
「死ねと書き込まない限り、普通の人は奇妙なお札の画像を見るだけ。でも、死ねと書き込んだりした人が観た場合、急に死にたくなる画像。だから、呪詛返し」
「見たら、死にたくなる画像って、そんなものあるわけないだろ」
「言葉には力があるって昔から言わない、それの応用。ま、死んだおじいちゃんなら、もっと完璧な呪詛返し画像作れただろうけど」
「どれ、俺にも、その画像見せてみろよ」
「ほら、これよ」
「ん・・・」
それを見た瞬間、彼はベランダに走り、ベランダから飛び降り自殺した。
後で分かったことだが、彼は、ネットで、あるお笑い芸人に粘着して、死ねと書き込んでいた。私は、その画像を自分のSNSにアップして放置した。すると、翌日、親友だと思っていた子が数人自殺した。つまり、死ねと書き込んでいたのは一人ではなかったのだ。