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終話🌿退院とカミングアウト

一週間は思いの外、早く過ぎ、
その間に色んな人達が
お見舞いに来てくれた。

『やっと、退院できるね』

今日は心咲を
母さんのところに預けて来た。

「そもそも、一週間なんて
長いくらいでしたからね」

すっかり、捻挫が治った
凌杏の声色と#表情__かお__#は
スキップでもしだしそな感じだ(笑)

手続きをすませて入口に向かうと
【父さん】と何故か実父がいた。

「心綺・りあ、迎えに来たぞ」

荷物を僕の手から取って
駐車場の方へ歩き出した。

『【父さん】、それくらい
軽いんだから持てるよ?』

今は妊娠してるわけじゃないし
僕も男なんだから、
入院道具一式入った鞄くらい持てる。

そもそも、持って来たのは僕なんだし。

呼ばれた本人と
凌杏以外の回りにいた人達は
(当然、実父も)驚いて
僕の方を見たけど気にしない。

「俺が持ってやりたい
だけなんだからいいんだよ」

鞄を持ってない方の手で
僕の頭を撫でた。

『雅和さん、
迎えに来てくださって
ありがとうございます』

凌杏の言葉に【父さん】は
僕にしたのと同じように
頭を撫でた。

*✲゚*。 ♪*✲゚*。 ♪*✲゚**✲゚*。 ♪*✲゚*。

『ところで、何しに来たの?』

少し 離れた場所で
僕達のことを見ていた
実父に怒気を含んだ声色で話し掛けた。

『心綺人、そうイライラせずに(๑•᎑•๑)』

怪我させられた本人は冷静だし、
柊和にも言われたから
凹むのはやめたけど
イライラは収まっていない。

「いや、そのだな……」

はっきりしないなぁ‼

『ゆっくりで構いませので
此処に来た理由をお聞かせください』

だから、何で凌杏は……

「あの時はすまなかった」

母さんに説教でもされたのかな……

『大した怪我では
ありませんでしたから大丈夫ですよ』

赦すの⁉

いや、凌杏なら赦すって
わかっていたけどね。

「赦しくれるのか?」

実父もまさか、
赦してもらえるとは
思っていなかったんだろうね。

『ぇぇ、本当に大した
怪我ではありませんでしたから。

それに、心綺人の実の父親ですしね』

果たして、僕が逆の立場だったら
凌杏の実父だからと赦せるだろうか……

少し考えてから思った。

多分、僕も赦すだろう。

こんな考えを柊和が知ったら
似た者夫婦と言われるんだろうなぁ(苦笑)

「本当にすまなかった……

赦してくれて、ありがとう」

凌杏は終始笑顔だ。

「心綺人もすまなかった……」

面と向かって謝られると
言葉に詰まってしまう……

「ところで心綺人、彼は誰なんだ?」

僕が【父さん】
と呼んだことに疑問を持ったんだろうね。

『職場の先輩で
僕達の関係を理解してくれてる人だよ』

同性愛も両性具有のことも
理解してくれてる。

「これは
名乗り遅れてすみません。

夜野田雅和と申します」

落ち着いた対応をしている。

「心綺人の実父で
寿々崎(まさる)と申します」

凌杏に怪我を負わせた負い目からなのか
話し方がよそよそしい。

『はぁ~、凌杏が赦すなら
僕は何も言わないさ』

本人が赦しているのに
その後で第三者が
ごちゃごちゃ言っだってしょうがない。

『だけど、僕達の
関係は認めてもらうよ』

そもそもの発端は
僕達の関係にあるわけだけど
夫婦としても心咲の親としても
胸を張って生きている。

「こう言ってはお前は
怒るだろうが、同性同士では
子供はできないだろう?」

やっぱり、そこに焦点がいくんだなぁ。

『普通の夫婦だって子供がいない人は
大勢いるし、欲しくても
できない人だっているんだから
必ずしも子供ができれば
いいって問題じゃないだろう』

幸い、僕は子供が産める身体だけどね。

今朝、母さんに預けて来たばかりなのに
心咲に会いたくなって来たなぁ(苦笑)

「確かにそうだが……」

埒が明かないと判断した僕は
心咲に会いたくなったのもあり
母さんに電話した。

これは話すしかない。

隣にいる凌杏に小声で
その旨を伝えたら頷いてくれた。

三十分後、母さんが来た。

このメンツを見てため息を吐いた。

僕が【父さん】を慕っていることも
今日、迎えに来てくれることも
事前に話てあった。

実父は母さんが抱いている
赤ん坊を見て目を見開いた。

「はい、心綺人」

僕が抱っこすると心咲は“ママ”と
可愛い声で呼んでくれた。

『心咲は本当にママが大好きですよね』

「私もそう思うわ(๑^ ^๑)」

二人の台詞に
開いた口が塞がらない状態のようだ。

「どういうことだ……?」

放心状態から脱け出したものの
状況を把握できていない。

『二人の言う通り、
僕は心咲の“ママ”なんだ。

つまり、僕が生んだんだよ』

養子じゃない正真正銘、
僕が生んだ凌杏との愛の結晶だ。

何を言えばいいのか
わからなくなったんだろう。

実父は口を開かなくなった。

そんな中で心咲が実父に
抱っこをねだった。

これには僕達も吃驚だ。

「じぃじ、抱っこ」

今度は、はっきりと実父を呼んだ。

僕が差し出すと
恐る恐るといった体で抱いた。

心咲は戸惑っている
僕達を他所に
キャッキャと嬉しそうに笑った。

子供って凄いよね。

大人達の戸惑いとか関係なく
思いのままに行動できるんだから(苦笑)

たまに、僕達大人は難しく
考え過ぎなんじゃないかと
思う時がある。

そして、どんどん可笑しな方へ
向かっていって最後に拗れる。

年をとればとる程
素直になったりできなくなっていく。

小さい頃の無邪気さも素直さも
何時から忘れ、何処に
置いて来てしまうのだろう……

大人になれば、それだけが
通じないのも確かだけど
無くしてはいけない気がする。

心咲を抱っこして
思うところがあったみたいだ。

「お前達の関係を認める……」

これで、とりあえず解決したね(苦笑)

この時から実父も時々、
僕達のマンションに
来るようになったのは余談だ(笑)

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