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571 神様たちの奮闘

 サーヤたちの『痛いのいたいのとんでけーっ』の先が「わりゅいやちゅ」の所と聞いて、神様たち大慌て!!

 〖どこに向かってるんだ?〗
『おいおい、まさかヤツのとこじゃねえよな?』
『さあな、悪いやつなんて沢山いるんだぞ?分散したらどうすんだ?』
『不吉なことを言うものではないのじゃ』
 武神様や、龍様たちがそんなことを言いながらイル様たちを見守っていると

 〖あれだね。一直線にどこかに向かってるね。魔神ちゃん、書き換えられる?〗
 〖任せなさい! と言いたいけど、手伝いなさい!〗
 イル様とジーニ様が軽口を叩き合いながら、必死になっていた。

 〖はいはい。それじゃあ、この世界で一番悪いやつを探してくれっていう呪に変えて〗
 〖みんなのびりびりも、敵を逃がさないように麻痺を加えたことにして〗
 〖あと魔力の書き換えだね。サーヤたちの魔力の痕跡を消して、ぼくたちの魔力に変えて⋯⋯〗
 これで何とかなるかな?

 〖どうする?誰が行く?〗
 〖もちろん、僕ひとりで〖〖〖却下〗〗〗⋯⋯はい〗
 〖シアも却下ね〗
 〖え?〗
 〖そうだね。今回は攻撃力重視でいこうか〗
 〖そういうことでしたら、ここで控えてます〗
 〖うん。工芸神は、何かいい魔道具とかない?〗
 〖そうですね⋯拘束、封呪、破戒⋯〗ばらばらばら
 なんか色々出てきた。

 〖うん、一応全部もらってくね⋯⋯〗
 いつの間にそんなとんでも威力の物騒なのたくさん?

 〖主神、俺を連れてけ〗
 〖私も行くわよ〗

 〖武神ちゃん、魔神ちゃん〗
 魔神ちゃんは残っても⋯⋯

 〖ヤツはこの間の件であんたはまだ弱ってると思ってるはずよ〗
 〖だな。よろよろの主神を介抱しながら「ヤツも弱ってるであろう隙を突きに来た」位に思うかもしれないしな〗
 〖そういうこと〗
 二人が僕を両側から支える振りをしてきた。

 〖そうだね。じゃあ、お願いしようかな〗

 〖ええ〗
 〖任せろ!〗

 頼もしいね。本当にあの先にヤツがいるのかは分からないけど、とにかく行ってみないとね。

 〖それじゃあ、行ってくるね。⋯凛さん、大丈夫だよ〗
『あ⋯』
 〖そうよ。私と武神⋯は、ちょっと心配かもしれないけど〗
 〖おいっ〗
 〖三人もいるんだよ。大丈夫〗

 心配そうに、所在なさげにしている凛さん

『はい⋯⋯』
『しっかりするのじゃ、いつものように豪胆⋯元気な凛でいれば良いのじゃ』
『⋯⋯今、豪胆って言ったわね?天界樹様』
『そうだったかの?気のせいじゃろ?』
『え~』
『そうそう。俺の菓子でも食いながら、どーんと構えてようぜ』ばんっ!
『いたっ!料理長、さすがに酷いと思うわ』さすさす
『気にすんな!』バシバシっ
『いたっ、痛いっ』

 いやいや、その丸太のような手でやられたら痛いでしょ。肩外れてないよね?
 まあ、凛さんのことは任せて大丈夫そうだね。

 〖じゃあ、行こうか〗
 〖ええ〗
 〖よっしゃ!〗

 そして、たどり着いた先は⋯⋯

 〖なぁに?ここ〗
 〖ずいぶん不気味だな〗
 〖これってヤツを信仰していた教会の跡地かな?〗
 〖というか、廃墟?〗
 〖だね〗
 〖だな〗
 かつて、ヤツが神だった頃の教会。神は堕ちたとたん、信仰していた者たちから忘れ去られる。そして、信仰心によって保たれていた教会は力を失い朽ち果てていく。周りにあったはずの町も人がいなくなり、廃墟と化している。

 〖これは、盲点だったね〗
 〖ヤツの教会、どのくらいあったんだ?〗
 〖分からないけど、探す必要がありそうね〗
 〖だね。浄化して回らないと〗
 邪気というか、瘴気というか、良くない気が集まってる。

 〖とにかく、この瘴気の元に行こう〗
 〖そうね〗
 〖気を抜くなよ〗
 分かっているよ

 遮音、気配遮断、熱感知遮断、魔力感知遮断、とにかくヤツに悟られないよう最善を尽くし進むと

 〖主神、突き当たりはまだ先だよな〗
 〖うん。隠し通路?隠し部屋?〗
 〖だな。厄介だよな⋯。バレる確率が上がる〗
 〖大丈夫よ。私を誰だと思ってるの。通り抜ければいいのよ〗
 〖ああ、透過だね⋯〗
 〖頼むぞ〗
 〖任せなさい〗

 そういうと、いつもの様には指を鳴らさず、私たちに触れて壁をすり抜ける魔法をかけた。
 〖行きましょう〗
 そして、無事に壁を通り抜け、見たものは

 〖これって水晶?〗
 〖こりゃまた随分とあるな〗
 〖うん。黒水晶だね。地面から生えてるね〗
 そこは鍾乳洞にも似た洞窟のような場所でそこかしこから黒水晶が突き出していた。

 〖嫌な感じだな〗
 〖絶対浄化してやるんだから!〗
 〖うん。後でね。今はほら、出てきたよ〗
 目の前に一際大きな水晶。

 〖うげぇ〗カチャ
 見たとたん剣を構える武神
 〖気持ち悪いわね。あのうにょうにょしたの手?〗
 魔神ちゃんも思わずシールド出てるし
 〖何となく、人の形に見えるね〗
 人の身長ほどもある黒水晶から出ているどす黒いモヤ。何となく人の形をとっている気がする。
 〖そういえば、この間壊したのも黒い水晶玉だったね〗

【⋯⋯ナゼ、ココガワカッタ】

 おや、ほんとに引き当てちゃったね

 〖ちょっと探し方を変えたんだよ。今までは曲がりなりにも神だったキミの神気を探してたんだけどね?もう神ではないキミをこの探し方で探すのは間違いだと気づいたのさ〗

【ワレハ、カミダ】

 〖いいや。違うね。今回どんな探し方をしたか教えようか?『この世界でいちばん悪いヤツを見つけて拘束する(まじな)い』さ〗

【ウソダ】

 〖いいや、嘘じゃないさ。キミはもう神ではない。ただの悪者⋯⋯その姿じゃ悪霊かな?〗

【ダマレ】

 〖でも、そのモヤモヤじゃ、麻痺の拘束じゃダメだったね。実態がないもんね〗

【ジッタイガナイナラ、ウバエバイイ】

 ぶわっ

 闇を広げて、魔神ちゃんを狙ってきたか⋯⋯でも

 バシィンッ!!

【チッ!】

 やっぱりね。
 〖ふんっ!〗
 〖まあ、小賢しい真似しやがって〗
 〖予測してないとでも思った?先日君が依り代にしたエルフはなんだったのかな?〗

【アレハ、ワガシンジャダ。ドウツカオウガ、カッテダロウ】

 〖そう⋯⋯〗
 こんなになってもまだ信者が?操っているのか?何にしろ

 〖お前は浄化させてもらうよ〗
 〖手伝うわよ〗
 〖おう!任せろ〗

【ムダダ。ワタシハソコラジュウニイル。ココヲジョウカシタトシテ、ワタシハホロビヌ】

 〖だろうね⋯⋯〗
 そんな気はしていた。あの水晶を使って自分を分散させたんだろう

 〖だけど、今一番大きな塊はキミのはずだ。それが無くなるだけでも効果はあるさ〗
 力は削げるはず。そうすれば少しでも復活は先延ばしできるだろう。

【クッ!ヤレルモノナラヤッテミロ。オマエラモミチヅレニシテヤル】

 ガラガラガラっ

 教会ごと自分で吹き飛ぶ気か?あわよくば文字通り散り散りになって逃げ出そうと言うことか

 〖工芸神ちゃん、これ、まとめていくつか使っちゃうね〗
 パンッ!

 〖逃がさないよ。閉じ込めさせてもらったからね。魔神ちゃん〗
 〖分かってる。聖浄!!〗
 僕も
 〖聖光!!武神!!〗
 〖分かってるよ!おりゃあ!聖焔剣!!燃え尽きやがれ!!〗ザンッ

【ギャアアアアアアっ】

 僕たちの聖魔法と、武神ちゃんが依代の黒水晶ごとぶった切って聖なる焔で燃やし尽くす。

 〖⋯⋯消えたかな〗
 〖今、この場ではね〗
 〖めんどくさい事になったな〗
 そう。まだ終わりじゃない。

 〖まあ、あとはここ全体隅々まで調べて浄化しちゃおう。ヤツが戻って来られないようにね〗
 〖わかったわ〗
 〖ああ。やるしかないな。あの忌々しい黒水晶、ひとつ残らずたたっ斬ってやる!!〗
 〖あはは、頼むね〗

 これで、ひとまず危機は退けられたかな?


 その頃、聖域では

「ぷひゅーぅ」ぶくぶくぶく
『うふふ。サーヤ、溺れちゃダメよぉ』
「あ~い⋯ごくりゃくごくりゃく」
『あらあらまあまあ、サーヤったら、おばあさんみたいね』
「うにゅ?だっちぇ、おんしぇんしゃいこ~」
 結葉様枕もあるし、最高です。
『うふふ。ぽんぽんもちゃんと温めましょうねぇ~』
「あい~」
 結葉様が、ぽんぽん浮かないようにしてくれます。
『モモちゃんも』
『スイちゃんも』
『『ちゃんと寄りかかってくださいませ♪』』
 ぴゅいきゅい『『いいゆだな~♪なの』』
モモとスイ以上にアイナ様とリノ様が幸せそう
『気持ちいいね~♪』
『『『『『ね~♪』』』』』
きゅるる『みんな疲れてる』
『そうだよ。よく温まるんだよ』
「あ~い」
『『『『『は~い』』』』』
温泉に入って、無茶振りによる疲れを癒していた。

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お読みいただきありがとうございます。中々更新出来ずすみません。しかも、シリアスさん大の苦手なので更に遅くなりました。すみません。

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