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1:嫁入りの話

 大変な事が起こってしまいました。
 先月、アバリシア帝国から属国の打診と言う名の脅迫がありました。
 その事で本日、使者の方がいらしたようです。
 属国になるに当たっての条約など様々な話があったようですが、大変なのは、人質として姫を一人嫁がせよ、という命令です。
 私が、嫁ぐ事になってしまいました。

 王国と帝国は非常に、とまでは言いませんが、仲はよろしくありません。
 王国が隆盛を極めていた頃、アバリシアは小国でした。王国の一部だった時もあります。その影響かアバリシアが王国を凌ぐ大国になっても、アバリシアを下に見る者は多いのです。

 そのため、三人いる姫のうち誰を嫁がせるかという議題に対して、まず真っ先にわたくしの名前があげられました。
 王国一の才媛と呼ばれる姉に、とても可愛らしく人気のある妹に対し、わたくしは非常に平凡です。
 姉のように政に関われるほど頭は良くありませんし、妹のように腹芸も出来ません。
 王国一の美姫と呼ばれていますが、無能なわたくしへのお世辞である事は心得ております。それでも負けないと、マナーや淑女教育には力を入れて参りました。
 皇帝がどんな方かは存じませんし、異国の地で上手くやっていけるのかも分かりません。正直恐ろしくて仕方がありませんが、腐っても王族として生まれた身。責務は果たしましょう。
 

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