いろいろと問題が持ちあがる。
一人アパートに帰ると、部屋の中には微かな錆び付いた、香りがした。私はなんだか故郷の実家を連想させたし、そこにはもう誰も住んでなくてだんだんと建物は老朽化して、多分千年後には人が存在していたことでさえ忘れられて、唯一元素の、原子を構築しているクウォークのような物質が飛び回っているだけの世界になっているだろう。50型のテレビをリモコンで操作してYouTubeを見ようとした。今日のニュースを視聴していると、階段を上る足音が聞こえた。ピンポーンとチャイムが鳴って私はソファーから起き上がって玄関のドアを開くと、一人の女性が立っていた。
「すみません、よかったら泊めてもらえないでしょうか?」とても美しい女性だった。私は彼女の麒麟のようなほっそりとした流線型の美しい首に見とれてしまった。造形美。そんな言葉が当てはまりそうだった。そして次に目に留まったのは白くほっそりとした腕だ。思わず見いってしまった。なんて美しいのだろう。
「すいません。聞こえていますか?もし良かったら、泊めていただけないでしょうか?」
これは何かの幻想なのだろうか。目の前に一頭の白馬に出会ったような、そんな崇高な出会いだった。
「あの、あなたみたいな美しい女性がなぜ、僕なんかの家に?」