第53話 毎朝の伝統
何やら撃ち抜かれた白騎士さんたち。まだ胸を抑えて悶えてます。
そんなこと全く分かってない女の子。
きゃっきゃとまたピヨ助や花うさぎさんたちと遊んでます。
「ぴよちゃ~ん、むぎゅうう」
『⋯もぐれる』
「はなうしゃしゃんも、ふわふわ~♪」
『⋯よく言われる』
「みんにゃもふもふ~♪」
『⋯それもよく言われる』
『ぴよ~(くすぐったいよ~)』
そこは神様の膝の上だけどね
〖ふふ。仲良しだね~〗
「あい!」
『『『⋯当然』』』
『ぴよ~(ね~♪)』
みんな仲良し!あれ?家妖精さんたちは?
『ああ、そろそろ時間かな?』
「う?」
時間?
〖何の時間なの?〗
『すぐ分かりますよ』
〖⋯?〗
白騎士さんたちも一緒に首を傾げていると
『新しい朝が来たですーっ』
『希望の朝ですーっ』
『ほらね?』くすくす
「ほえ?」
『『『何ですか?』』』
『ぴよ?(何なに?)』
『『『⋯見たことある』』』
なんか、聞き覚えのあるセリフなような?
そして、聞き覚え満載なミュージックが
ちゃんちゃ~らちゃんちゃんちゃんちゃん♪
「うにゅ~?」
こ、これはっ
ちゃんちゃ~らちゃんちゃんちゃんちゃん♪
「ふお~?」
ま、まちがいない
ちゃんちゃちゃちゃ♪チャラチャラチャン♪ちゃん♪
セイジュウロウ様が庭が見えるように障子を開けると、家妖精さんたちが大集合。綺麗に並んでます。上下三段に
「ら、らじおたいしょう~」
浮かびながら器用~
『あ、やっぱり知ってるんだね』
「あ、あい」
日本人ならおそらく必ず通る道!
それより気になるのは
「はんどべりゅ?」
でも、手に持ってるんじゃなくて
「きにょみ?」
木になってるのを、家妖精さんたちが木琴みたいにバチで叩いてます。
「ほあ~」
ちゃんとラジオ体操の音楽だ~
『その木ねぇ、初代様がどっかから探してきて育てたらしいんだよ。どれみの木って呼んでたらしくてねぇ』
『この体操は働き者の家妖精たちが怪我をしないように、朝一番にやるように仕込んだらしくてね』
『代々伝わってるのさ。演奏も交代制だよ』
『ぴよ~(そういえばやってたね~)』
「へ、へ~」
そうなんだ~
『いっちにっさんっしっ』
『ごーろくしっちはち』
わ~キレッキレだ~
『参加してくるかい?』
『そうだねぇ。知ってるなら混ざってきたらどうだい?』
「ほえ?う~ん、しょだね~」
やってみようかな?
『ぴよ~?ぴよ~(やるの~?大丈夫かな~)』
何が?
『了解。じゃあ』パンパン
『途中で悪いね、チビたち。この子も入れてあげとくれ』
「よりょちくおねがいしましゅ!」
『『『わ~いですーっ』』』
『『『一緒やるですーっ』』』
『『『初めからですーっ』』』
「あい!」
わ~い!たのしそ~
『ぴよ~(ぼくもそばにいる~心配)』
ん?何が心配?
『では背伸びの運動ですー』
『「いっちにっさんっしっ」』
おお、何となく覚えてる~
〖うんうん。短い手足を頑張って伸ばしてるね~〗
『かわいいねぇ』
『手が頭のてっぺんまで届かなそうだな』
『いや~んかわいい~』
『『『同感です』』』
なんだか外野も盛り上がってます
『脚を開いて胸をそらすです~』
「いっちにー」ぐら~
〖おや?〗
『『『あっ』』』
『『『大丈夫みたいですよ』』』
「ふお?」ぽす
『ぴよ~(やっぱり~)』
やっぱり?よくわかんないけど
「ありがちょう」
『ぴよ~(どういたしまして~)』
絶対倒れると思ったんだ~。でも、次も~
『脚を開いて体を前に倒すです~』
「いっちにー?」ぐらあ
「ふお?」ごろんっ
『ぴよ(やっぱり~)』べちょ
「ほえ?」
何があったのかな?
〖えええ?〗
『『で、でんぐり返し?』』
『ピヨ助、潰れてるな』
『ピヨ助さん』
『よんでましたね』
『さすがです』
『ぴよ~(気をつけて~)』
「あい?」
何があったのかな?
〖何があったのか分かってないみたいだね〗
『『うん』』
『どうしてああなった?』
『おそらく』
『頭が』
『重いのでしょう』
『体をねじる運動ですーっ』
「よいちょ」ぶんっ
「ふお~?」ぐるんぐるん
『ぴゅいっ(わ~これは予想外だった~)』
〖ああっ〗
『『なんで?』』
『倒れかけの独楽みたいになったぞ』
『遠心力に』
『頭の重みが』
『負けましたね』
「ほあああ?」ぐるんぐるん
『ぴゅい~(わあ~)』どすん
「ほえ?」
『ぴよ~(止まった~)』
「あ、あいがちょ?」
ラジオ体操ってこんなだったっけ?
『ぴよぴよ~(違うと思うよ。危ないからもう見てるだけにしようね~)』
「あい」
ラジオ体操、ちびっ子には危険。
『そんなことないはずなのですー』
『何がおかしかったですー?』
『わからないですー』
まあ、とにかくピヨ助のおかげで助かりました。良かったね。
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