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第3章の第79話 どうしようもない問題6



★彡
【会社というのは不祥事を避けたいものだ。だから問題事で済ませようとしてくるんだ】
『――会社というものは、警察沙汰になるのを嫌うものだ……。
それは体裁を取り繕うためで、揉み消して回る必要がある……!!
会社のマイナスイメージは避けたいところだからな……!
だから、問題事で済ませようしてくるんだ……!』
それが事の真相だった――
『……』『……』
その話を固唾を飲んで聞くは、紳士服の男達。
『それが会社側の動機だ……! だから、会社側に、内通者がいて、そいつに頼るんだ!
大概がそうした強力な女性同士の繋がりのある世界全体(ウェーブグローバル)だな……!
電話で取り次いでまわり、周りの人達の多さで、そいつのせいに仕立ててくるんだ……!
やられるのは、いつも被害者というわけさ……!』
『……』『……』
目の前の青年は、妙なぐらいに達観しており、物知りだった。
『それがカラクリだ……!』
それが真相だ。
『だから、下手に謝りに行っても、ダメなんだよ……!
向こうは人の数が多いし、口数だって取り分け上手い奴だっている……!
その時、行くのは本人1人なんだろ? 危なっかしいな……!?」
(そう、それが相手側の作戦だ……! 1人行かせようとしてくるんだ……! だから、いいようにハメられて陥れられるんだ……!)
『行ったら最後、しょせんはある事ない事ふっかけられて、集団でその場を取り押さえられて、サインを書かせられるのがオチだ……!!』
『……』
『……』
内容が見えてきた。
周りの人には言えない内容が……、それが真実の隠蔽隠しを臭わせるもので……。
そこの会社のブラックさを際立たせるものがあった。
『再雇用されても、どこへいっても、
電話やメールなどで取り次いでまわり、低沈金扱いだろうしな……!』
『じゃ……じゃあ、どうしろと!?』
紳士服の男が、そう尋ねてきた。
そう、それが一般見解だ。……あなたは何も間違っていない。
だから、未来のスバル(俺)は、こう話すんだ。
『あぁ、だから、タイミングが大事なんだよ……!?』
『……タイミング……!?』
『……』
紳士服の男は、隣の男と顔を見合わせる。
目の前の青年は、こう話す。
『そうさ!
何かホントに困った事があったなら、会社から本人の元へ電話かメール、封書が届くものだ!? ……だろ?
それがなかったんだよ……!』
『な……なかった……!?』
『なぜに……ホワイ……!?』
と驚き得る紳士服の男達。
未来のスバル(俺)は、こう語っていく。
『あぁ、あくまで、人と電話の取次ぎだったようだしな……!
ご本人様が、一度もそうやって、あの場に結局は出たことはないぞ……!?』
『……』
『……』
『フッ……』
(そう、一度も出た事がないんだ……)

【――それは、今から数年後まで続く状況を臭わせるものだったと言うわ】
【本人が一度も出た事がないの】
【本人の周りで好き勝手に騒いで、本人を介さずに、取り次いでまわっていた……だけ】
【その時、ご本人様の心理状態はどうだったと思う?】
【『何やってんだ? こいつ等……?』……そんなもんよ? 信頼できると思う? 金だけ盗っていく連中よ?】
【……最終的に、どうなったと思う?】
【そう、予定調和が大きく狂い、瓦解していったそうよ?】
【……瓦解って? 何?】
【あ、アユミちゃん……。ハァ……子供なんだから、知らなくて当たり前か……?】
【あのね、瓦解っていうのは……】
【今回の例に例えていえば、組織的な物事の一部が壊れて、それによって、組織全体が壊れる事よ?】
【その組織の一部の乱れや、破れ目が、全体に影響を及ぼして、やがては壊れるの……よ】

『――瓦解と同じだな……』
『!?』
『が……ガカイ……!?』
この時はまだ、紳士服の男達は、やがて来る瓦解を知らなかった……。
まっ、当たり前だ。
『向こうの会社には、履歴書や以前取り交わした雇用契約書もあって、そこに情報がバッチリあるからな!
だが、今回の場合に限って言えば、そのヨーシキワーカ氏には、それがなかったんだろ!?』
『『!!』』
『……フッ、内通者の存在が臭ってきた……だろ!?
それなら下手に謝りに行かず、自分の無罪を勝ち取り!
なおかつ、ご本人様がそのお金を受け取らなければ、勝利したも同然なんだよ!?』
『……』
驚嘆の思いの2人……。
(いったい、この目の前の青年は、何て先まで読んでくるんだ……?)
(まるで信じられんぞ……いったいどれぐらいの高みから物事を見ているんだ……!?)

パチンッ

『再就職後、そこの会社の同僚方を通して、何かしらの報せが届くものさ?
それとも、国の公共機関の職員さんが、何かしらの気を利かせて、封書を届けて、その人と落ち合い、少し話したりな……!
動くのは、それからさ!
それが社会人の常識……マナーだろ!?』
『……』
『……』
常識人っぷりを伺わせる未来のスバル。
その話はこう続く。
『……まぁ、今回の場合に限って言えば……。
真犯人は別にいて、その会社内の身内の人間……!
その電気屋のミシマさんと、医学講師2人は、その会社内の身内関係を通して、騙された訳だ……!
いいや、それとも知っていた口か……!? フッ……』
(何度もそうした事をやっていれば、自ずとそうした経験上、知り得ているだろうしな……!)
と俺は心の中でいうだけで、口には出さなかった。
『そのヨーシキワーカさんの情報を知り、疑いを持って、接してきたんだろ??
言葉数が上手ければ、言い回しが上手ければ、そうかもしれない……いや、そうかもしれない……と信じ込ませる事だって、できる!!
それが『言葉かずによる暗示効果』を示すものだ……!』
『……』
『……』
く、詳しい……。
『――そして、前日の日。
そのヨーシキワーカ氏からもたらされた情報を元に、
先にドクターイリヤマ氏とドクターライセン氏達、他……。
次に電気のミシマさんが、自分勝手に動いて、そこから金だけを盗っていたんだ!
無料(タダ)の掃除なのにな……!? クスッ』
『!』『!』
『俺が思うに、その体裁と面子を考えたら、すこぶる悪い方だろぉ!?
だから、何がなんでも、そのヨーシキワーカ氏の責任に見立てないと、かっこうがつかないのだよ!?
……まぁそんなところだろう。事の真相の真実は……。
そして、それは今、現在進行形で続いている!!
騒ぎを引き起こしたのは、そいつ等に他ならないとするのが……。俺(わたし)の仮説と推論というわけだ!
……如何かな!?』
『……』『……』
く、詳し過ぎる……。

【それは、誰かの言葉だったそうよ。
【目の前の人物は、まるで、そうした出来事を知っていて、未来で起こり得るイベントを知っているかのような、そぶりを見せたそう?】
【……いったい、何でなのかしらね? フ~ム……】
考えるあたし。
【……】
この時点のスバル君は、何も知らない……。
途中で、ナレーションが入る。
【――この時、紳士服の男達(その2人)は、その言葉を忘れていた……】
【これから数年後、ヨーシキワーカ氏が、無実の罪を勝ち取り、なおかつご本人様がお金を受け取っていないので、勝利したも同然だったのだ!】
【逆に受け取った場合は、その後、数年間にわたり、追加措置で、定職に就けなくなる】
【それが法務部のやり口だ】
【また、裁判沙汰を起こしてもロクな事にならない……】
【勝訴した場合は、その流れで弁護士さんが間に入って、その会社からお金を取るからだ】
【当然会社側は、いい気がせず、電話やメールを取り次いでまわり、その後、数年間にわたり、追加措置で、定職に就けなくなる】
【それが社会的制裁措置なのだ】


★彡
【職権乱用の詐欺女、ヨシュディアエ】
『――とその女、ヨシュディアエはどうなんだ!?』
『あぁ、あの美人で、とにかくおっぱいがとんでもないぐらい大きい娘(こ)ですね!」
『あの州じゃ有名だよな!?』
『ええ!』
『……どーゆう黒い流れで?』
と俺はそう問い質した。
やけに詳しい紳士服の男は、こう語る。
『電話を取り次いでまわって、その職員の職権乱用を活かして、上からの圧力……そう圧制を敷いてくるんです!
昔、そのミシマさんと2人で共謀して、
顔の見えない電話口から、恫喝と恐喝の声を上げ、とんでもない騒ぎを起こし、そこからお金を盗り立てていたんですよ!!』
『恫喝……恐喝……!』
『ええ……』
恫喝・恐喝とは。
恫喝とは、脅して、恐れさせること。また、パワハラ。
恐喝とは、脅し付けること、また脅して金品をゆすり取る事。また恐喝罪もあり。
暴行、または脅迫を用いて、相手方を畏怖させ、財産、または財産上不法の利益を交付させる歴とした犯罪である。
この他にも、脅し、威嚇、強迫などがある。
『直接、金銭に繋がるものでもなくとも、ミシマさん等が住居不法侵入しを犯し、そこからモノを盗っていく!
後はそれを、ウェーブグローバルなどを通して、販売や競売を行い、お金に換えているわけです。
ミシマさん達集団グループがそうですね。
それを後は、モノ好きなコレクターなどに売りさばいたりとかですな……!』
『……どうして相手は気づかないんだ!?』
『親兄弟すら騙しているからさ!!
これは人生で一度きりのチャンスで、本人の適正能力を定め、職業安定所の職員として、
その人に充てられる求人を、こちらで総合的に判断し取ります!
その流れでどうしようもない問題を行い、その過程で、ヨシュディアエさんの方から、こう言った事がある!』
『……それは騙しの催眠効果だ……!!』
『『!?』』


★彡
【夢でも見てるんじゃないのか? とするヨシュディアエ】
『――ヨーシキワーカ君……今、あなた『夢』でも見てるんじゃないのぉ!?』
『……?』
不意に顔を上げる俺(私)。
『あら? あたし、そ――んな事言った覚えないわよぉ!? ……『幻聴』じゃないのかしら?』
『……』
その顔を下げる。
『その耳がおかしいんじゃあ?』
『……』
『……それとも、ミシマさんの時から、もう色々な事があって、もうそのヨーシキワーカ君の頭の中でも覚えきれないんじゃない~? パンクしてるんじゃないのぉ?』
『……?』
顔を上げる俺。
『夢か現(うつつ)か、もう何が何だかわからなくなってきてるでしょぉ~!?』
『……』
それを聞き、黙って見据える俺。
(――ホントに色々あった……。
この人の様子がミシマさんに関わった時から、メチャクチャおかしいからだ……!
この人から、ばっかり言ってきて、ヒステリックを起こされた日には、もう何も言えなくなるッ!
……ッッ、どう対処しろというんだッッ!?)
『……クスッ。やっぱり……ね』
ヨシュディアエさんはそう呟き、そのマスクの中で、聴き取り辛いか細い声でこう言う。
(何でいつも、マスクしてんだもう……!! この衝立も邪魔だ!!)
『ヨーシキワーカ君でも、所詮、この程度だったか……』
『……』
(何度言っても、この人はダメだし……!!)


★彡
【紹介させず、その流れで精神科を通わせて、ループに持って行こうとするヨシュディアエ】
――また、別の日では。
『今、あなたを紹介できません!!
もしヨーシキワーカ君を、あたしの方から、向こうの会社の人へ、紹介状を書いて、あなたを求人として送り出した場合……。
あたしのせいにされ兼ねないもの……!? そこで騒ぎが起こったらね……!?
……だから、今あなたを、あたしの方から紹介できません!!』
『……?』
んっ? なんか違和感のある一言が……。
事前に、ヨシュディアエさんは知ってて、そうなる事態を把握してる? ……なぜ?
『……ここは一度、職業安定所で、
月をまたいで定期的に行われている『心の健康と暮らしの無料損談会』に顔を出した方がいいわよ?
臨床心理士という免許を持った人達がいて、そうした人達を、ここの職業安定所が招き、定期的に催されているの。
……知らない?
……知らないか……まぁ、ヨーシキワーカ君に限らず、一般の人達は、そうした催し物が開かれている事を知らないし……。
うちの職員さんが、掲示板に張ったものを、ここに顔出しする際、あそこの玄関の通りのところで、いつも素通りしているからね?
……まぁ、見向きもしないか……』
『……』
『ちょっと待ってね』
ヨシュディアエさんは、予め用意していた、1枚の紙を取り出したのだった。
『ここに一度顔を出して、相談を受けたらどう?』
(……臨床心理士により、心の健康相談か……)


★彡
【やがて、堕ちていく先は、健常者から障害者枠】
紳士服の男の説明はこう続く。
『――その被害者側にとっては、『夢か現かわからない状態』で、
その流れのままでは、職業安定所の方からは、求人としては出せず……!
その代わり、就職できなくなっている期間を、逆手にとって、
その場所へ行かせ、
その流れで、『県央保健所』を通して、
国や州が立てた『共立病院』か? 個人の医者が立てた『街の病院』に通わせる流れになるわけだ!
精神科に通い、そこから処方されていた薬を飲んでいた為、
社会人生活を送る上で、判断能力に乏しい状態と判定を取りつけ、健常者から障害者枠へ……堕ちた人もいる……!!
……精神に異常をきたし、障害者手帳を発行される流れになるわけだ……!!』
『障害者ァアアアアア!?』
えええええッ
と驚く俺。
これには、2人の紳士服の男性もビックリだったが……平静さを取り戻し、こう語る。
『その薬の名が――』


☆彡
【アリピプラゾール、エビリファイ錠剤、脳細胞を減らし、汗っかきの肥満体系よりに、日常生活を送る上で障る人も、稀にいる】
――過去から現在に戻り、クリスティさんの口からこう語られる。
「――『アリピプラゾール』……もしくは『エビリファイ』というのよ!』
「アリピプラゾール……?」
「エビリファイ……?」
クリスティさん、アユミちゃん、僕とその言葉を紡ぐ。
クリスティさんの話はこう続く。
「その副作用は、『眠気』『注意力』『集中力』『反射運動能力などの低下が起こる』などよ……!」
えっ……!?
と驚き得る一同。
続けて、クリスティさんはこう話す。
「『本剤投与中の患者さんには、自動車の運転など危険を伴う機械の操作などに従事させないよう、注意する事』」
「『総合失調症の場合、興奮、敵意、誇大性などの精神症状が悪化する事があるので』」
「『観察を十分に行い、悪化が見られた場合には、他の治療方法に切り替えるなどの、適切な処置を行うこと』……と明記されているの!」
と語ってくれた。
続いてサファイアリーさん、エメラルティさんが。
「興奮・敵意って、どうしようもない問題と重ねれば、そりゃあとんでもない騒ぎになるわよ!!
だから、そうなるように、周りから誘導していたわけね!?」
「車の運転とか、機械操作ができないなら、そりゃあできる仕事の数も減るわよ!!
何を考えているのよ!! そのヨシュディアエはッ!?
ホントに公共職業安定所の職員さんなの!? ねえっ!? そうかって聞いてるのよ!?」
と疑いの声が上がるばかりだった。
続いて、ミノルさんが、こう口を挟んできて。
「な、何でヨシュディアエさんが……ッ!?」
「「「その女が、ヨーシキワーカさんをたぶらかし、そこへ誘導した張本人だからよッッ!!!」」」
「!」
とお怒り心頭の美人三姉妹が、そう言葉を上から落としてくるのだった。
これには一瞬、ビックリするミノルさん。
「……」
ちょっと落ち着いた感じのクリスティさんが、その後、こう語っていく。
「……まぁ、母(マム)のおかげと、その町医者さんの機転により、難を逃れたんだけどね……」
「え……」
これには安堵(あんど)の声を零すミノルさん。
普段の口調の彼女が、こう言葉を紡いでいく。
「こう言ったのよ、その親切な町医者さんは……」
『あなたは騙されています。普通の人なら、ここで引き返しますよ?』……ってね!」
「……」
そのクリスティさんの話を、聞き入るミノルさんだった。
続いて、サファイアリーさんとエメラルティさんから。
「まぁ、その後、ヨシュディアエがいろいろやって、
『この人を求人として出せるような、旨の書かれた『主治医の意見書』、その精神科の印が押された書状』が必要だって、言ったんだけど……」
「ハッキリ、言ったのよ!
『ここにそんな書類はありません! ですので必要もありません!』……ってね!」
「……」

【――これには恵ミノルさんを推してもビックリ仰天だった……】
【公共職業安定所のその職員さんの意見を、跳ねのけたからだ】
【普通の人は、こうはできず】
【向こうの人の意にかった話の流れに、安易に飛びついていくからだ】
【みんなも、そうした職員さんと付き合うのは、気をつけようね?】

「――難を逃れたんだ……」
(御兄さん……)
僕は、亡き御兄さんを心配するばかりだ。ホントに助かって、良かったと思う。
『……』
そんなスバル君の様子を見詰めるクリスティさん。
その人の説明は、こう続く。
「――で、ヨーシキワーカさんなりに、その処方された薬を調べてみてわかったの……!」
「!」
わかった。いったい何が?
「『アリピプラゾール』にも『エビリファイ』にも、共通作用があって……。
脳細胞を減らし、それに伴う神経を低下させ、血管を委縮させる……!
つまり、記憶障害が起こるの!!」
「記憶障害!?」
それは重大な欠陥だッッ。
健常者でも、障害者枠組みとして、認定されかねないほどの……ッッ。
「ええ……さらに、失った神経が回復することは、二度とないわ……!!」
「「ウソーーッ!!!」」
僕も、アユミちゃんも、これには驚き得る。
でも、こうクリスティさんが注意の声を上げる。
「まぁ、あくまで『重篤症状』のケースに限った話よ……!? まぁ、組み合わせの問題や誤飲なんかが考えられるんだけどね……」
続いてサファイアリーさん、エメラルティさんが。
「どうしようもない問題と重ねれば、組み合わせの間違いも起こるし……。
苛立って、その薬を過剰に摂取する人も、稀に起こり得るからね!?
だから、人がおかしくなっちゃったのよ!
そんな人たちがいるなんて、向こうも把握し切れていないし……!」
「だから、危険な運転行為をして、亡くなった人もいて、
実はアメリカ本国に、1人や2人ぐらいはいるのよ!? 年間単位を通してね!? ……人殺しも人殺しよ!」
と続けて、サファイアリーさんから、こうした注意の声が。
「まぁあくまで、そのお医者様には何ら落ち度はないわ……!!
悪いのは、それを企てた連中がそうだからね!!
そこだけは履き違えてはダメよ!!」
と物申すあたし。
続けてこう語り継ぐ――
「――さらに肥満体系に近づく場合や、妙に汗っかきで、異常に体力が続かない人……。
そう、その体力消耗を伴う病状人も、時には見かけるのよ!?
過去に、どうしようもない問題でやられた人もいて……。
そうそう!
ちょうど、その職業訓練校時代……だったかしら!?
そのヨーシキワーカさんが在籍していた年に、そーゆう生徒さんが1人だけ、その教室の中にいたんだって!?」
と続けて、エメラルティさんが。
「その人も訳ありで、被害者だったそうよ……!?」
「「「「「!」」」」」
被害者はまだいた。それも確定的な人が……。


★彡
【かって、どうしようもない問題でやられた被害者】
――その設備管理科の教室では、その被害者さんとヨーシキワーカが、2人だけいた。
それは唐突だった。
『――自分も以前はこんな体じゃなかったんだ……みんなと同じフツーの体だったんだ……。
あの薬を飲んでからだ……こんな身体になってしまったのは……』
『……』
勉強中だったヨーシキワーカは、その顔を上げる。
何だと思う?
『今回の年、ここに着たのは、その話をつける為だったんだ……。
でも妙に、ここの職員さんが、話を取り次いでも、そんな話はなかったとして……取り合ってもらえず、話をはぐらかされているんだ……。
そもそもこっちには、そんな話は一度も上がっていない……と』
『……』
『せっかくあの昔の会社で、2年間働いて、ここにこれるように頑張ったんだけど……。
また、呼び戻されて、何がなんだか……』
『……』
『……いや、いい……。あなたに言っても仕方がない事だから……』
『……』
『……今言った話は、忘れてくれ……』
『……』
そして、そのまま、そいつはこの設備管理科の教室から出て行くのだった……。


☆彡
【ごめん……おかげで助かった、ありがとう】
――過去から現在に戻り、エメラルティさんは、こう語り部を続ける。
「――……と! あたしは、その名も顔も知らない、その人の身を案じるばかりだわ……。
確か、ヨーシキワーカさんが語るには、配管のネジ切りでも、体力が続かず、途中で断念した人だそうだわよ……?
また、1か月近く、学校を休んでいて。
その間に、その昔の会社に行って、顔出しをしてたみたいね……」
フムゥ……
と考えるエメラルティ(あたし)。
そこへ、サファイアリーさんが。
「……ねえ、クリスティ、ちょっと思ったんだけど……」
「んっ? なに?」
「……その人がアヤさん?」
「違うわッ!!」
そこだけはハッキリ言う。人違いもいいところよッッ。
「違うの……!?」
「ええ、顔つきも、声付きも、別人も別人だからねッ!! どこの誰だかは、あたしも知らないわ……」
そう、あたしは知らない……。
「知ってるのは、唯一無二! ……そのヨーシキワーカさんただ1人よッ!!」
「……」
「……」
期待して、損した感じの2人がそこにいたのだった……。
「そして、ヨーシキワーカさんがその人に、『ごめん……おかげで助かった、ありがとう』とメッセージ付きの、小説を通して謝ったそうよ?」
「……」
「……」
「その人の今後の人生を案じるばかりだわ……」
クリスティ(あたし)も、エメラルティのそうした真似をする。
そして、サファイアリーさんも、エメラルティさんも、その顔にそれが現れていたのだった。
「……」
「……」
ちょっと気になる僕。
続きが気になって、クリスティさんに、こう問いかけるんだ。
「――その後、どうなったの……!?」
「……」
そう、問題は、そーゆう人たちが安く叩き売られた事実なのよね……。


☆彡
【障害者雇用は金になる、そうやって人を安く叩き売る問題】
――クリスティ(あたし)は、続けてこう話すの。
「――会社側は、その障害者を雇用する際、その『障害者雇用』を知っていて、
大きな企業なら、1人当たり、50万円(3788米ドル)!
中小企業なら、1人当たり、120万円(9091米ドル)ぐらいで……! ……つまり、安く人材を叩けるわけよ!」
「ヒドォい~!! 人をなんだと思ってるのよ!? その最低な女はッ!!」
「……そうね」
あたしも幾ばくか、そう思わん限りだわ。
「……知ってる!?
そのどうしようもない問題で、人が死んでも、その過程で死んだのに、事故死で済ませたりしている事実があるのは……!?」
「「「「「!!!」」」」」
「そのどうしようもない問題で、時に人はおかしくなり、盗みや万引き、殺人などの犯罪だって犯すケースもある……!!
自分たちで、そーゆう風に企ててしまったのかもしれないし……。
知らなかった向こうの心理状態の動き……までは、把握し切れていないからね……!! まったくとんでもない問題だわ……!!」
「……」
「……」
頭を下げるミノルさんにアヤネさん。
同じ、経営者として、どうあるべきか考えさせられる……。
クリスティ(彼女)の話は、こう続いていた。
「……問題が問題で済まなくなってくる……ッッ!!
元々は、借金返済のための盗り立てていただけ……だったのにね……!?」
そう、それが動機よ。
続けて、クリスティ(あたし)はこう話すの。
「その人達の『一生の人生を奪った』の……! 遺族達はこう語るわ。
ぽっかり空いた穴は、あの子を喪した世界の色……、そう、セピア色……」
「セピア……色?」
「ええ。暗い仄(ほの)みな茶色よ……」
「……ッ!!」
アユミ(あたし)はショックで、口元を手で塞いだわ。
クリスティさんの説明は、こう続く。
「その経緯を辿ったのにはね……理由があって……」
「……」
「仕掛け人・闇子・かけ子・呼子、その関連で聞きつけた人が、安易にその話に飛び乗り、
その人を追い詰めて、殺してしまった、自殺まで追い込んでしまった……とするケースだってあるのよ?」
「……」
「……怖くなった折、電話で取り次いでまわり、人の死を偽装したことだってある……!
そのどうしようもない問題の最中(さなか)にね……。過程とも取れるわね?
そうした事があって、TVを通しての報道は、さすがにマズいから、
口止め料を支払い、その場を何とかする。
こちらで勝手に済ませていたケースだって有り得る!
ご両親の手元に届くのは、偽装後の遺体だったりもするのよ……?」
「……」
顔を俯かせていくアユミちゃんの様子がそこにあった……。
クリスティさんの説明は、こう続いたわ。
「いくつもそうした不都合な証拠を、揉み消していた事実もある……!
知らなかったとはいえ、関与している以上は、その女も、黒も黒よ……!
そして、これを考えた2人は、歴とした人殺し……!
これに安易に関わったミシマさんも同じよ!
……ハッキングやら、位置情報システムやら、人を取り次いでまわって、
その人のご家族の方を、『猜疑心』の疑いと、『疑心暗鬼』の偏見の目を持たせたんだからね?
どんな人でも、家族ぐるみで自分を追い込めば、耐え切れず、どこかで死んでいる人だっているのよ?
気付かなかったで、済まされないのよ?」
「………………」
「……人の命は1回きりのもの。だから、尊いの……よ?」
「……」
アユミ(あたし)は、そのお姉さんの言葉を胸に刻む。


★彡
【強力な後ろ盾、隠れ蓑に使っていた女】
紳士服の男の説明は、こう続いていた。
『――周りからは、よく、『強力な後ろ盾』となる美人職員の娘(こ)とか!
今までに『隠れ蓑』に使っている美人さん……で有名ですね!
これは、知らない人も多いですが……。
どうしようもない問題で、騒ぎが起きた事もあり、書類送検を送った事もあるぐらいです!
これは、どこかの会社がそうですね!?
これに関与していた職員さんの疑いだってあります。
また、1人、人が死んだこともあり、
その不都合な事実を隠蔽し、揉み消していた事実もあるぐらいです!
そうしないと、また使えませんからね?』
『……そのどうしようもない問題に関わり、関与していた場合は……!?』
未来のスバル(俺)が、そう尋ねると。
その紳士服の男は、こう語る。
『その面子とプライドに、大きく差し障りますかね……!?』
『……』
『……引いては、彼女たちの経歴(キャリア)にも障ります……。
国の威厳を保つためにも、そうした事実は揉み消してまわり、関与していた人には、その協力者たちには、口止め料を支払い、
上手く、口裏を合わせている理由(わけ)です! 話のウマを合わせる! ……ともいいますね?
……まぁ、結局は『黒』なんですよ! あの娘(こ)も……!』
『……やはりか……!』
御兄さんの考察は当たっていた。
(今の御兄さんには訳あって話せないが……。未来の御兄さんの読み通りじゃないか……!)
『ハァ……』
(何なんだこれ? 俺って必要なのか……?!)
これには、俺を推しても頭を悩ませるばかりだ。
とそこへ、俺のことを心配してくれた紳士服の男の人が。
『……何ですかな?』
俺は顔を上げ、心配させまいと振舞う。
『……いやなんでもない』
『……』


★彡
【社会人の一般常識!?】
――そこへ隣で見聞きしていた同じく紳士服の男の人が、こう語り出してきたんだ。
『――これは、我々大人の社会人の一般常識ですが……』
『!?』
『誰かを蹴落として成り上がるものなんです! その裏口入金の詳細を知りませんから……!』
『知らない……?』
『ええ、知り得るはずがありません!! そう、便宜の裏を取っているからです!!』
『どーゆう事だ!?』
『……お話しします。
こーゆう話は知っていますか!?
どうしようもない問題にハメて勝った折、その裏口入金を通して、敗者から、勝者の元へ、毎月お金が入ってきます』
『……』
『その配当金はそれぞれ、協力して下さった方々にも、その職員を通して、分配される方式です』
『何だと!? そんなカラクリが!?』
『ええ。ですが、便宜を図る以上、そのままではよろしくありませんよね?』
『……どうするんだ!?』
『役員への昇格制度をご存じですか? そう、部長や係長などの昇格にともなう手当金です。
そして、電話で取り次いでまわり、いい話に見せかけて、各々の参加者の方々のも、何らかの措置があります。
技術屋の多くは、取得免許の取り易さなどがあり。
その講師の方々を通して、裏で便宜を図り、そのテスト点数をあちらで改ざんしています。
実は、講師だけではなく、そうした会社間からの取次ぎにより、取得免許の取り易さが伺えます。
そうやって合法的に、人は上の位に上がっていく訳です……!』
『なるほどな……!』
納得の思いの未来のスバル(俺)。
――続く話は。
『また、その職員の話に戻りますが……』
『!?』
『ゴホンゴホン!
……まさか、あんなところで……。人の見えない位置関係で、マウスを使って操作をしていただなんて……。
そんな事を裏でしていただなんて、誰もが知り得ませんよ!?』
なんか怪しく思えてきた。
『……L』
『?』
相手の男には、Lを見る事ができない。
そして、Lには、人の心を読む力があった。
(OK!)
その人の心の中を読むL。
簡単にその情報を得た。だが……。
(これは……やっぱりね……)
(どうなんだ!?)
(………………今は黙って、黙すのが正解だよ)
それは長考の末の結論だった。
(……やはりか……)
俺たちの勘は当たっていた。
こんなの周りにバラすべきものでもない。
(俺たちは、変わらずやるだけだ……目的のために……!)
(うん……!)
それが、この時代にきた俺達の動機だ。
『――その裏口入金は、他にもあって』
『!?』
『そのお金を包む際、『クレジットカード』を良く通します! 最近では、腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)の決済方法が主流ですね!?』
『クレジットカード……』
『ええ……。偽電話詐欺などを通して、騒ぎが起きるんですが……。
その勝敗により、向こうから、協力してくれた方々に対し、
多ければ、100万円(7576米ドル)が支払われ!
そうでなくとも、20万(1515米ドル)から30万円(2273米ドル)包んで、送られてくる事があるんですよ!? ……まぁ、分配された額がですね!』
『なるほど、メインは多く、そうして関わって、協力してくれた方々に対し、その額の配当金が支払われるんだな!?』
『ええ』
『それで話のウマを合わせるように、取り次いでまわり、不都合な事実を揉み消してまわっている……と!?』
『ええ! 口止め料……情報操作・情報規制……と言われる所以です!』
『なるほど……なぁ! 良くできてる!』
『左様で!』
と納得加減の思いで、頷き得る未来のスバル(俺)。
(御兄さんが受け取らなかったわけだ……!
ただの掃除不足で受け取ったんじゃ……周りの見解から見て……おかしな話だからなぁ……!?)
つくづくそう思う。
(仮に受け取った場合は……、その後、また数年間、就職できないようにして、周りで、電話で取り次いでまわってるだろうしなぁ……)
『ハァ~~……』
と長嘆の思い未来のスバル(俺)。
『……?』
『如何なさいましたかな……!?』
その首を傾げる紳士服の男に。
俺の事を心配して、声をかけてきてくれる紳士服の男がいたんだ。
俺は思わず、こう呟き得る。
『法務部め、道理で、誰も勝った試しがないわけだ……ッッ!!』
つくづくそう思う。
こんなの絶対に勝てないって、良く御兄さんは、最後まで我慢できたものだ。
しかも、小説まで遺してるし……。
勝ちだよ、あんたの。
『フッ……』



【『仕込み』『刷り込み』『暗示』】
気になった俺は、こう尋ねてみる。
『――そうそう、どうやって人を騙すんだ!? その『仕込み』『刷り込み』『暗示』って何なんだ!?』
『これはけっこうたくさんあって、一言では言い表せませんね……』
『ケチッ!』
『ケチでも何でもないんですよ! それほど多く講師の方から、生徒さん達へ、『仕込み』『刷り込み』『暗示』をかけていたんですから……!!』
『……なるほど……』
多くの講師か。
これはあれだな……職業訓練校側も黙認していたわけだ。
おっと、悪いのは一部の連中がだ。
中には、誠実に応待してくれる職員さんもいるだろうからな。
そこだけは履き違えてはいけない。
会社とは、名だけの器に他ならない。
悪いのは、そうした一部の社員さんだけだ。
かってのお兄さんの遺した言葉だ。
『では、どうしようもない問題の『核心』!! その『暗示』だけお答えしましょう!』
『!』
『フフフッ、どうせ勝つのは、私たちなのですからね……!?』
ニッ
と薄ら笑いを浮かべる隣の紳士服の男性。
『まぁ今回ばかりは、『ダイスの目が悪かった』とばかりに、『これも社会科勉強だと思って、いい勉強になったと学んでください!!』
『……』
呼気を吐く俺。手をそちらに促して、説明を促せる。
(確か、クリスティさんの言葉の中にもあったな……。その言葉を吐いたのは、ミシマさんとその奥さんの会話の時……だったか……!?)


★彡
【――それはミシマさんと付き合っていた、2日目の朝の出来事だった】
ミシマさん宅に停まる一台の社用車とバイク。
片方はミシマさんの社用車であり、もう片方はヨーシキワーカの通勤用のバイクだ。
先にヨーシキワーカのバイクから、
『反重力垂直離陸型航空自転車』Anti-gravity Vertical Take-Off Aviation Bicycle(アンチ-グラビティ ヴァーディカル テークオフ アビエイション バイセコー)。
次にミシマさんの社用車。
『反重力垂直離陸型航空自動車』Anti-gravity Vertical Take-Off Air Vehicle(アンチ-グラビティ ヴァーディカル テークオフ エアー ヴィークル)。
あくまでこの2つは空を飛ぶ車の後継機モデルであり、
その前者を、『電動垂直離陸型無操縦者航空機』Electric Vertical Take-Off and landing type unpiloted aircraft(エレクトリック ヴァーディカル テークオフ アンド ランディング タイプ アンマンド エアクラフト)。
通称『EVTOL』イーブイトールというものだ。
もちろん、ヨーシキワーカが乗っているタイプは、AIナビ補助機能付きだ。
これは有事の際、人命を護るために補助的に付けられている機能だった。
そのバイクが、チカチカ点滅し、何かを報せていた。
『……』
俺はその様子を伺う。
(いったいなんだ……?)
気になった俺は、その車のドアに手をかけて、半開きし、思い留まる。
(……いや、止めとこう、向こうは、『アントラローダイト』に任せているんだ。……きっと大丈夫……!)
俺はそう心に決め、信じていた。

【――だから、車のドアに手をかけ、閉めようとした……その時だった】
【それを見聞きする事になったのは……!?】
『ねえ、何であんな人を雇ったのよ!? うちにはそれだけ、あの人に払えるお金はないわよ!?』
『なーに安心しろ、ちょっとの間だけだ。こんなのは遊び半分だって、お前もわかってるだろ!? 昨日もそう言ったじゃないか!?』
『……』
『ッ!?』

【――俺(私)は何だと思った!?】
【それは、ミシマさんと、そのミシマさんの奥さんとの会話だったからだ】
【この時俺(私)は、車の中にいて】
【本来ならば聞こえもしないが、ドアを半開きしていた事もあり、なんとなくだが聴こえていたのだ……それが……!?】
【実は初日(昨日)、ミシマさんから注意を受けたばかりなのだ】
【あれは、どこかの会社の社用車の時だった】
【俺は何度もドアを閉めてみたが、ドアランプがついていたらしく、半開きだったそうだ……】
【で、ミシマさんから】
【『そんな事すらできない奴は、ここにはいらん! 出て行ってもらう事になるからな!?』……と注意を受けていたんだ】
【だけど、無理に力で閉めるわけにもいかなかった……馬鹿力はいけない】
【……それはなぜか!?】
【実は多くの社用車の場合、不特定多数の人が触り、ドアの部分が大分傷んでいたからだ】
【そんな状態で無理に閉めれば、どうなるか……!?】
【最悪壊れた場合、ミシマさんの顔に泥を塗る事になってしまうからだ……】
【それはいけない……】
【そう、考えた俺(私)は、必要以上の力で閉めるわけにもいかなかったんだ……】
【馬鹿力はいけない……というやつだ】
【そーゆう経緯もあり、今日の俺はそれを気にしていて、注意深かった】
【だから、今日の俺は、ドアを一度ワザと開けてから、締めてみようとしたところ……】
【偶然にも、こーゆう機会に恵まれた訳だ(!?)――】

『――フゥ……。こんな事になるんなら、ウチからあの娘のところに出している求人を、取り下げてもらうか、もっと厳しめの条件にするんだったわ……!』
『……』
『うちが欲しかったのは、あんな年取っただけの人じゃなくて、あなたみたいな能力がある人で、
それでなくとも、将来性の見込みのある若手の求人だったのよ!?
それにあの人見たところ、何の取り柄もない人じゃないの?
それなのに何であんな人を雇ったのよ?
こんな近くに工業系の学校があるっていうのに……!
何だってあんな人が、こんなところを見つけて、入ってきたんだか……!?』
それは俺(私)に対する物言いだった……。
そんなぁ……と思う。
そんな奥様に近づくミシマさん。
『なーに安心しろって! こんなのはちょっとの間だけだ! ただの遊ぶ半分だって! 何度も言っているじゃないか!?』
『……何だってあんな人を雇ったのよ!?』
『……』
俯き加減のミシマさん。
その顔を上げて、こう答えたんだ。
『……実はな、あいつの父親と弟が、俺のちょっとした知り合いなんだよ! だから、ここを簡単には追い出せないんだ!
何かしらの理由のこじつけがないとな……!?』
『……』
それを聞き考え込む、ミシマさんの奥さん。
その顔を上げ、こう言ったんだ。
『……ねえ、ちょっとあなた、最近変よ? ……昔はこんな人じゃなかったのに……夜な夜な夜に頻繁に外出して、いったいどこに行ってるのよ!?』
『……』
『やっぱり変よ!?
前だってここに頼ってきた人がいて、あなたそれでその人を追い出し、それで問題が起きたじゃない!?
いったいどこで何をやっているの!?
あまり家に不安になるようなことは持ち込まないで頂戴!?
あたしも不安なのよ……ッッ!!
下の2人はまだ子供だし……。
上の方の長男はようやく、『謹慎が解けて』、学校にまた行けるようになったばかりなのよ!?
何かあっても大丈夫なのは、上の方のあの子だけで、
下の2人はまだ、あたし達の助けが必要なのよ!?
……あなた、それがわかって言ってるの!?』

【――どうやら、俺(私)の前にミシマさんの所に入った人がいて、何か問題事が起きたらしい……】
【いったいどーゆう事なんだろうか――!?】

『わかってるわかってる! 大丈夫だって!
ちょっとあいつから、少しぐらい『騙し盗る』ぐらいだって!
あいつも頭がいいからさ、今回の事はいい社会科勉強になったって、言うぜ!?』
『……ホントに大丈夫なのよね……!?』
『あぁ……』
『……』
何かがおかしい……。

【ミシマさんの奥さん(あたし)は不安に圧し潰されていた……】
【ホントにこの人に付いていって大丈夫なんだろうか? 何だかすごい、先行き不安だわ……】

『……あなたは知らないようだけど、前に、そうした事があって、家の方に電話がかかってきた事があるのよ!?
あなたが仕事に出かけている間に……!』
『あぁ、そんな事か……!? 大丈夫だって! 俺に任せておけ!
何も心配はいらないって!! 何なら、後で俺から、電話をかけて回しておくから、お前は特に何も心配し、気にする必要はないって!?』
『……ホントに大丈夫なのよね!?』
『ああ! もちろんだ! だから、何度もそう言っているだろ!? お前が心配する必要は、何もないって……ッッ!?』
『……ねえ、あなた……いったいどこの誰と通じているのよ……!?
あなた、前にそれで、うちに騒ぎを持ち込んだ事があるじゃないの!?
何だってあの娘(こ)が、話に出てくるのよ!?
それに、やっぱり何か変よ!?』
『……』
『何だって、今あそこがいる人の、ハーバード大学姉妹校(学校)の先生が出てくるのよ!?
さすがにご近所さんだって、それに気づいてて、家に尋ねにきた事があるのよ!?
……ねえ、ホントに大丈夫なの!?』
『あぁ、何なら俺からも、後でその人のところへ行って、いいように取り計らって(取り入って)おかないとな!
……だからー大丈夫だって! 何もおかしな事はしてないって……ッッ!?』
『ホントに……!?』
『あぁ、ホントだ! だからお前は、家でおとなしくしてればいいって!?』
『そう、それならそれでいんだけど……、何も心配する必要がないなら……』
『……』
ホッ……
と一安心のミシマさん。

(いったい何なんだ……!?)

【――この時、俺はよくわからなかった……】
【……だが、ミシマさんが俺に好きな人はいないのか……と尋ねてきたとき】
【不意に、何かミシマさんの様子が気になり、不安に圧し潰されそうになり、気が動転してしまったのだ】
【ひとえに、この3日間が、そのミシマさんが、俺に対し悪口を言った事で、気が滅入るようになり、変に取り乱してしまったせいだ……】
【……まぁ、俺(わたし)の言い訳に過ぎないが……】
過去のヨーシキワーカのナレーションと、現在のクリスティのナレーションが、リンクする。
【――奥様の不安は的中していたそうよ!?】
【やけに問題事や騒ぎが多くて、やけに収入が良かったからね……。いったいどこで、どんな悪どい事をしていたんだか……】
【いつも不安に思っていたでしょうからね……?】
【それはね。どうしようもない問題=特殊集団詐欺事件に関わっていたからよ!?】
【ちょっとヨーシキワーカさんみたいに、騙しやすいターゲットを見つけては】
【見えない電話口から、昔からヨシュディアエさん達と2人で一緒に共謀して、散々なまでに騒ぎ立てて、チョロ勝ちしてたんだから……!】
【見た目の顔なんかで、判断していたそうよ?】
【そーゆう人たちが訪ねてくるのが、ヨシュディアエさんたちいる職業相談ボックスだったりするのよね……?】
【後は、自己催眠がかかった職業訓練校を受講し、修了した生徒達が、ターゲット……だったりもする!】
【……もうわかるわよね!?】
【ミシマさんとヨシュディアエさんはグルで、ドクターイリヤマとドクターライセンもグルで】
【ミシマさんとライセン先生の歳が近いからか、横の繋がりか、学校の繋がりがあったかもしれないって事!】
【……まぁ、それは勝ち星を拾いやすいわよね!?】
【設備管理科や電気関連の問題で済ませようとするのが、問題の仕込みであって】
【職業訓練校と職業安定所という、国の公共機関の力が関わっていて、その人たちが『公私混同』の『職権乱用』をいいように利かせていたんだから……クスッ】
【……だから、ヨーシキワーカさんみたいに何年間も就職難の話で堕として】
【周りで騒ぎ立てれば、どんな人だって、その心がいつかは折れるからね! ……そりゃもうポキッと】
【そうやって、上からの圧力をかけて】
【もう助かりたければ、どっちかの条件を呑んで、お金を騙し盗られていたのよ?】
【知らなかった!?】
【中にはね、死んだ人もいて……】
【その中で、家が土地が資産が潰されて、道路拡張工事にあい、見る影もないそうよ!?】
【未来の街創造館ってやつ――!?】
【あぁ、主犯格という訳じゃなくて、その噂を聞き付けた人達が、騒ぎ立てていた例もあるからね?】
【そりゃあそうよね? 主犯格の人達だって、そうした人達の動きまで、全容をすべて把握し切れていないのだから……!】
【チャンスと見るや否や、何がなんでも弱ったところを衝き、騙し盗るものよ!?】
【そうやって、コズルい、闇子、かけ子、呼子、共犯者たちがいたって事よ!?】
【まぁ、もっともミシマさん達は、その卓越したハッキングの手口を活かして、横から手柄をかすめ取って】
【周りが調整調整して、揉み消して回っていたんだけどね!?】
【【マイアミの公共職業安定所』Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)】には】
【『音声レコーダー』があって、『盗聴』していたんだし……!】
そう、クリスティさんが語り。
次いで、サファイアリーさん、エメラルティさんが。
【そりゃあ誰だって、気付きそうにないわよ……!?】
【誰か親切な美人さんと担当の人が教えてくれないとね……!?】
エメラルティさんは、こう語っていく。
【――さしずめ、ヨシュディアエさんとミシマさんの『共謀』かしらね!?】
【妙にヨシュディアエがミシマさんを、庇っていたんだしね!? これはもう持ち込んだ人は……ミシマさん達で決まりかしらね……うん!】
次いでサファイアリーさんが。
【当然、被害者さんは、いったい何があったのかわからず、気が動転して、精神的におかしくなり、騒ぎの原因となっていたわけよ!?】
【そりゃあそうよね!? 先にそれを傍受していたミシマさん達が動いて、その原因を取り除いていたんだから】
【そうやってお金を先に得ていた】
【後は向こうで、向こうの意に勝った動きになり、訳がわかんなくなっていったんだから……うん、たまったものじゃないわ!】
次いでクリスティさんが。
【そりゃあ、被害者さんも、おかしくなるってものよ!!】
【だから、いいように利用されて、気持ちよく負けちゃったわけね!?】
【お金すら騙し盗られて、親御さんが泣いてたものよ……!?】
とここでアヤネさんが。
【……良く気がおかしくならずにいられたわよね……そのヨーシキワーカさんは……!? 大した精神力じゃない!?】
【違う違う!】
【……へ?】
【だって、弟君の方が先におかしくなったんだからね? ヨーシキワーカさんですら、身に覚えがない事が先だったんだから……】
【あぁ、そーゆう事……! 先に騙されていたのは、その弟君だった訳か……!?】
【そゆ事!】

『………………』
奥さんと別れて、ミシマさんが自家用車の方に歩み寄ってくる。
『……』
俺(私)はミシマさんに気づかれないように、バタンッと扉を閉める。
ちょっとばかし、力加減を込めていた。今回は、1発で閉まった。
ミシマさんには、まだ気付かれていないはずだ。
そのミシマさんが、俺のいる窓に歩み寄って、こう言ってきたんだ。
『……さあ、どう騙してやろうか……こいつを……!?』
『ッ!?』
『……フンッ、車の中にいるんじゃ、聴こえもしないか……?』
『……』
車の中で、怪しむヨーシキワーカ(私)
【――それはそうだ。聴こえもしない……普通ならばだ】
【だが、ドアを半開きしていた事もあり】
【ミシマさんに気づかれないように、会話こそ聴き取り辛かったが、かろうじで聴き取っていたんだ】
【――だが……】
(――そう言えば……ほとんど一週間前、【マイアミの公共職業安定所』Public Employment Services In Miami(パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミ)】で……――)


――まだヨーシキワーカ(私)が、電気のミシマさんに、まだ出会う前の話――
確かその日は、ヨシュディアエさんと出会っていた。
そのすぐ隣での出来事。
『――このミシマって男はいったいどうなっているとや!!?』
『どうしたんですか!? いったい!?』
『あんた聞いてくれるか!?』
『え……ええ……』
『あの時、一緒に車に乗っていたんだが……あのミシマって男は、何て言っていたのかさっぱりわからんぞ!』
『それはあなたが聞き逃していただけなんじゃ……!?』
『違うッ!! まぁそうとも考えられるんだが……』
『でしょ?』
『イヤ、あいつときたら、車の中で横から色々と言ってきて、言葉の端々で、休みも取らないんだ……!!
だから結構言っていて、何て言っていたのかよーわからん!!
あいつ、俺達を育てる気がなかぞ!!?』
『それってあなたに能力がないだけなんじゃ……』
『アホかッ!! そうじゃない!! じゃああんたが代わりに現場に出ればようわかるぞ!!?
あいつがどんなにあれを言っていたか!? ちっともよぅわからん!!
こっちは、まだあの学校で学んだばかりなんだぞッ!!
しかも、仕事になれば、急げ急げで、催促してくるし、ちっともこっちは落ち着かん!!
しかも、あいつに関わってから……家にそうした電話がいろいろとかかってきて、周りからいろんな声がしてて、
こっちは訳がわからんぐらいにおかしなことになったとぞ!!?
いったいあのミシマって男は、いったいぜんたいどうなってるんだ――っ!!!?
こんな事は、フツー考えられんぞッッ!!!?』


『……』
ガチャッ
と車のドアを開けるミシマさん。
その中に身を入れてくる。
『……ここでおとなしくしていたな?』
『……はい、ミシマさん……』
俺は怪しまられないよう、この人と接する。
バタンッ
と車のドアを開けたら閉めるミシマさん。
『……どうやら、あそこで言っていた事は、聴こえなかったようだな?』
『……』
『……フンッ。余計な心配だったか……』
【俺は、当時の事を何となく思い出そうとして、こうしてメモ帳に取っていた】
『……デンジ』
『はい』
シュイーン
と浮き出す空を飛ぶ車。
『反重力垂直離陸型航空自動車』Anti-gravity Vertical Take-Off Air Vehicle(アンチ-グラビティ ヴァーディカル テークオフ エアー ヴィークル)。
『……今日は、お前の知り合いの所へ行こうか?』
『……?』
【それは、弟の勤める工場への案内だった】
【私の弟すら気づかなかったが、またこのミシマさんを庇い立てしていたが、この男は人を騙す人なんだ】
シュイーン
と街中を進む空を飛ぶ車。
『……さあ、今日どうなるかな……?』
チラ……
と隣にいるこいつを横目で見る。
『クククッ』
『……』
【――そして、この電気のミシマさん達から、何度もハッキングに会い、一度完全にこの部分が削除されたが……】
【何とかもう一度思い出そうとして、こうして書き溜めたんだ】
【以前よりかは、パワーアップしていた】
シュイーン
上の方にある首都高速道路の下の道を通り抜け、しばらくしたら、横手に海が見えてくる。
青い海だ。
【――実はこうした事態は、度々何度も起こっていたりする……】
【文字の誤字脱字、一部分の消去・削除……ホントに困ったものだ】
【――だから、君達に対処方法も伝授しよう】
【基本は、ホログラム映像出力装置付きマウスにある設定画面から、ウェーブグローバルへのアクセスを切断する】
【それでも相手は、アカウントだよりにハッキングしてくるような、優秀なハッカー集団だ】
【どんなウィルスセキュリティも無効化されている……】
【それはそうだ。国の権限により、そうしたウィルスセキュリティを無効化できるものを、あっちが所持しているのだから】
【もしくは、それに伴う電話局の知り合い連中を通じたりして、それ等を行使している疑いもある】
【公私混同、職権乱用もいいところだ】
【……ならば、その対応策は限られてくる】
【手は大きく分けて2つ】
【1つは、モニター画面を通して、相手側はこっち側の動向を伺っているのだから、できれば、マスキングテープなどでカメラを封じて欲しい】
【もう1つは、記憶媒体は2つ以上は用意し、アクセスポートから着脱できるように心掛けてほしい】
【用が済んだら、必ず取り外す事】
【実は、寝静まった深夜に、マウスやら記憶媒体に、ハッキングされていたりもする】
【かなり難しくなってくるが……、できるだけ昔のモノを用意するか、書き込み禁止のモノを用意したい】
【そして、もしも叶うならば、そうしたハッカー集団がいるのだから】
【知っている人達がいれば、懲らしめて欲しい】
【……まぁ、かなり難しいだろうが……】
【――マウスや記憶媒体などを製造する製造会社様へ】
【向こうからマウス、もしくは記憶媒体などにアクセスして、ハッキング仕掛けてくる以上、その無線回線を開発製造しないでほしい】
【一個人や作家、企業などが大損害を被るからだ】
【それは個人情報保護法や、貴重なファイルが、外部に流出する危険が付きまとうからだ】
【――また、これは200年以上前から続く話だが……紙からデータ化された国民年金等があるだろう!?】
【それが、向こうに人質に取られた事例があるからだ】
【向こうからハッキングし、それを取引するか!? 一部分削除したりもする、悪質な犯罪が顕著だったりする!!】
【マイナンバーカードへの紐づけも、大変危険だ! 良く注意の目を光らせて欲しい!】
【何よりも安全なのは、国民の財産なのだから!】
【だから、皆様さんも気をつけて欲しい……決して他人事ではないからだ――】


TO BE CONTINUD……

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