巨乳女騎士を添えて~尿路結石もあるよっ!
◇ ◇ ◇
今乗っている船は、現在ゆっくりと魔王島から離れて行っているが、乳山の言う通り、この船は重く、そしてそれに比例するかのように、また速度もゆっくりだった。ここまで言えば分かると思うが、やっぱり船の選択を間違えたかもしれない…。
巨大主力船ソル・ラルガ、その付属品である生意気な魔力炉を何とか言いくるめ、船を発進させたんだが、動力室から甲板までの道中、中に残っていたヤクザ口調の魔物たちを倒さないといけなかった…倒したんだけどね、乳山は俺のやり方が気に入らないようで、痛みで泣き叫ぶ羽付きの魔族たちに変わって、俺に軽蔑の目を向けてきていた。
理由はわかってる。
備蓄室に保管してあった乾燥豆を敵の尿路に転移させた事が原因だろう。
だがよ、敵は倒したわけだし、それに、転移の指輪を使ってその程度で済んでいることを褒めてほしいもんだな、最悪、大質量の物を敵の腹めがけて転移させてもいいんだが(グロイからやんねーけど)
とにかく、この船にはもう敵魔族はいない、しかし、顔を上げ、甲板から島の空を見ると、数十人の羽をはやした魔族がこちらに向かって押し寄せてきていた。
うーん。
どうしたものか。
こちらに向かってくる魔族は、羽付きの、空を飛行できる能力の持った魔族、空を飛べない魔族が来ないだけありがたいが、悠長に構えていると直ぐに援軍が来て、凄い量を処理しなければならなくなりそうだ。
〔何ヲシテイルンデスカ? 敵ガ接近シテイマス、排除シテクダサイ〕
「……この変態ロボ、何処から話しかけてきやがってんだ? お前の本体甲板の下だろうが」
〔コノ船ノ中デアレバ、私ノ声ハ魔術ニヨッテ乗組員ニ伝エルコトガ可能デス〕
誰が乗組員だ。
〔ソレヨリ、早ク迎撃シテクダサイ、アノ方タチガコノ船ニ来ルト、マタ、船内ガ荒サレマス〕
「……。」
〔駄目デスヨ? 約束シタデショウ? ソレニ、修理スルノハアナタタチデスヨ? 仕事ガ増エルダケデス〕
「約束したのは乳山だ」
「なに!? あの時はああするのが最善だったろ!? お前も手伝ってもらうからな! 絶対だぞっ!」
チッ、このポンコツロボに言われたからって訳じゃねーが、確かにわざわざ地面を、機動力をくれてやることもないか。
「はあ、これは本腰入れて撃退するしかねーみたいだな」
「何か策はあるのか?」
「――ああ」
俺は右の中指にはめた転移の指輪を顔の前に持ってくると、親指で、アームをすりすりと触る。
「コイツの<本領>ってやつを見せてやるよ」
不敵に笑みを浮かべながら。