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1話 ハッカー

 女ってメス豚、嘘ばっかりで嫌い。でも、男性は、純粋で、子供みたく夢を追いかけていて、周りの人のことを考えてくれる優しい人ばかり。そんな姿が素敵。

 私は大学の時に、付き合っている人がいた。それを親友に話したら、初めて彼氏ができて、よかったじゃんと言われ、嬉しかった。そこで親友に彼を紹介して、親友も交えて付き合いができるって喜んでいたら、ある日、彼と親友が腕組んで歩いているじゃない。次の日、どうしてかと親友に問い詰めたら、もう、あなたには興味がなくなったって彼が言ってたよって。ひどくない? 彼はそんなこと言うはずがない。あの女が、お酒とか使って、体で誘惑したに違いない。たいして魅力もないスタイルないのに。でも、彼には、なんて言っていいかわからなくて、電話とかきたけど、涙ながらに無視を続けた。彼は、あの女に騙されて悪くないと思いつつも、どう話していいかわからなかった。

 その後、会社に入って、職場で素敵な人を見つけた。東大出ているらしいけど、そんなことはどうでもよくて、どんな仕事でも期待以上にやりこなす、やり手との評判だった。彼が会社を出てから、後ろからついて行って、駅で偶然出会った風で声をかけてみた。会社の廊下で会った時も、ワンピースが好みなのか、スーツが好みなのかと表情を探り、好きそうな服着て、駅で出会い、飲みにでも行きませんかと誘ったら、一緒に行こうと言ってくれたの。本当にドキドキだったけど、努力の甲斐があったわ。

 近くの居酒屋に行き、どんな仕事をしているのか、大体は知っていたけど、あまり知らないふりして聞いてみた。彼って、仕事のことになると、こんなことをしたい、そしてその次はと、淀むことなく目を光らせて力強く話した。そして、この会社の社長になってやるという夢を力強く語っていた。そんな話しを聞きながら、私は、絶対、この人と付き合う、彼の夢の実現を応援したいって強く思った。だって、私には夢がないから。

 でも、私には人には話していない力がある。小学生の頃からハッキングを学び始め、今では、ハッカーの世界でレッドアイといえば、それなりに知っている人もいるレベル。難しい所に入り込む能力というよりは、入った痕跡を全く残さないことで有名だった。

 そんな私が最初にやったのは、社内で彼のライバルと言われている人を排除すること。そのライバルは、バリバリのキャリアウーマンって有名だった。でも、絶対、何か悪いことをしているに違いない。

 この女のメールを見てみたら、本当にひどい。メンバーの子達に、罵倒の嵐。こんなこともできないのか、お前は生きている価値がない、死んじゃえばとか、3行に1回ぐらい、こんな言葉が出てくる。この女こそ、生きているだけで社会に害を与えてる。このことで引きずり落とすことも可能だけど、もう少しお仕置きしないとダメね。

 そこで、社内の財務システムに入り込み、会社口座から1,000万円、その女に振り込んでやった。あまりに単純だと信憑性がないので、まず会社から、全く関係のない休眠会社の口座に送金し、その口座からその女の口座に送金した。さらに、その女から、財務部の口座管理している女子社員に、「あの件、よろしくね。」という偽装メールをログに仕込んでおいた。

 その財務部の女子社員は、元々、経理清算とか依頼すると、つまらないこといっぱい指摘するとか、対応が悪くて気に食わなかった。ある案件で、支払対応してたら、もう間に合わないから支払いは来月だって。どれだけ私が上司から怒られたか知っているの。あなたが昨日早退したから間に合わなくなったんじゃないの。本当に嫌なやつ。

 3週間ぐらい何もない時間が過ぎたけど、急に、ライバルの女と財務部の女子社員に懲戒解雇という人事速報が出た。横領だって。やっとわかったのね。私の口座に送金するのはバレちゃうからダメだけど、他人の口座に送金するのは、バレてもいいなら簡単。私の腕なら。

 でも、私の彼のライバルになるのも、運が悪かったのよ。そうじゃなければ、どんなに社会の害でも、私に目をつけられずに済んだのに。ちょうど、よかったわ。これで当社から悪人が2人減った。

 彼から、お寿司への誘いがきた。もちろん、いつでもOK。お店に行くと、彼は、とてもご機嫌で、俺はついているって。そりゃ、そうよ。私と付き合っているんだから。これからも、ずっと、ついているわ。そのご褒美だから、大トロとウニを頼むね。美味しい。

 その後、夜景が綺麗なホテルの部屋に入り、シャワー浴びてからバスローブに着替えてシャンパンで乾杯。ブロックにカットされたチーズもおしゃれ。

 そして、両手で私を持ち上げてベットへ。ストイックに週3で筋トレしている彼の体はステキ。いつものとおり、硬いあなたの腕で抱きしめて。壊れるぐらい。温かいものが、そう、そこ。続けて、続けて、やめないで。私を壊して。あぁ、あなたと一つになっていく。幸せ。この時間がづっと続いてほしい。

 彼の寝顔は子供のようにあどけなく可愛い。彼に体を寄せて、顔を見ながら過ごすこの時間がとっても好き。彼の逞しい体も、頼もしい。背中を向けていた彼に後ろから胸を押しつけると、硬い背中を感じられて、守られている感じがいい。このために、嫌なことばかりの職場に我慢して過ごしているんだもの。

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