第34話「イルカ大好き」
メガロドンを見終えた焔火と麗水は現在イルカショーを観覧していた。
「「「ピューイ!」」」
トレーナーの女性の合図により、鳴き声をあげながら巨大なプールの中からジャンプして出てきた3匹のイルカ達。
「きゃ~!!可愛い~!!サイコ~!!」
大はしゃぎしながらイルカ達をスマホで撮影していた麗水。
「よっ!お見事!天晴れ!」
拍手をしながらイルカ達を褒め称えた焔火。
「───いや~、楽しかったね~」
「ああ、楽しかったな」
午後6時。イルカショーを見終え、その後水族館内を全て回った焔火と麗水は水族館の出口に向かって歩いていた。そして歩いてる途中で麗水がお土産屋の存在に気がついた。
「ねぇ、ちょっとあそこ寄ってもいい?」
麗水は焔火にそう尋ねた。すると焔火は軽い感じで
「おー」と返事を返した。そしてその後2人はお土産屋の中へと入っていった。中には様々な水生動物のぬいぐるみやキーホルダー、ストラップ、お菓子といった商品が売られていた。
「わあ~!これ可愛い!」
そう言って麗水が手に取ったのはボーリング玉サイズの水色のイルカのぬいぐるだった。そしてここで焔火が麗水に尋ねる。
「なぁ、さっきのショーの時といい、イルカそんなに好きなのか?」
「うん、大好き!だってチョー可愛いもん!あ!これも可愛い!あ!これも!」
麗水は目をキラキラと輝かせながら店内に置かれていた様々なイルカのグッズを次々と物色していった。
(相当好きなんだな~……ん?よく見たら両耳に付けてるピアス、イルカの形してるじゃねえか……は~……ガチのマジでイルカかが好きなんすね~……)
グッズを物色している麗水を見ながら焔火は心の中でそう思っていた。そしてその後焔火も適当に店内をブラブラとして色々と物色し、実家の家族へのお土産と自分用にダイオウグソムシクッキーとフナムシチョコレートとナマコ饅頭を買った。一方で麗水の方は自分用に最初に手に取ったイルカのぬいぐるみ、それからイルカのストラップ、イルカのクリアファイル、イルカのボールペン、イルカの置物、それから家族へのお土産にヒトデ饅頭とカスタード入り鯛焼き、それからワカメ煎餅を買った。その後2人はお土産屋を出て水族館内からも出た。
「───あ~、再度言うけどマジで楽しかったね~」
お土産袋を片手に渋谷の道を歩きながら焔火にそう話しかけた麗水。
バリボリバリ
「ああ、マジで楽しかったな~」
焔火は何かを食べながら彼女に返事を返した。
「ん?何食べてんの?」
「フナムシチョコレート、麗水も食うか?」
「フ、フナムシ……!?い、いや……私はいいや……」
麗水は若干引いた顔をしながら拒否した。そんな彼女に焔火は言う。
「いやいやフナムシっつっても本物を使ってる訳じゃないぜ?あくまでフナムシの形をしたチョコレートだから」
「それは分かってるよ……けど無理、フナムシの形してるもんなんて私食べれない」
「そっか、そりゃあ残念、美味いのに……」
それから2人はしばらく歩いて昼間待ち合わせした場所である渋谷駅付近に着いた。
「さて、私こっちの道だけど焔火は?」
「俺はこっち」
「そっか、じゃあここでお別れだね」
「ああ、あ!そうだ、麗水、今日はありがとな」
「え?何が?」
焔火の突然のお礼に麗水はきょとんとした顔を浮かべた。
「いや、ほら、今日水族館誘ってくれて……」
焔火がそう言うと麗水は半笑いの表情を浮かべて言う。
「ちょっとやめてよ、そんな事で礼なんて」
「いや~……一応言っといた方が言いと思って……」
「私は礼を言われる程の事なんかしてないっつの、ていうかむしろこっちがありがとうだよ、入院中色々お見舞い品くれたり、遊びに来てくれたり」
「いやいや、それこそ礼を言われる程の事じゃねぇっつの」
「いやいや、言われる程の事だよ、という訳でこれからちょっとずつ私にしてくれた分のお返ししてくからさ、楽しみにしてて」
「え?いや、マジでそういうのいいっちゅーの~」
「まぁまぁそう言わずにさ、さてと、それじゃあ私そろそろ行くね、また明日学校で」
「あ、ああ……また明日な」
麗水は焔火に別れを告げると後ろに振り返って家路へと向かって歩いていった。焔火はそんな彼女の背中をしばらく見届けた後に自身も家路へと向かって歩いていった。