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第25話「ドッコイショ~ドッコイショ」

「ぐうう~……」

焔火に殴られて50m程吹き飛んだ天パ男は下半身をプルプルとさせながらその場でゆっくりと立ち上がった。そしてその様子を50m程先の距離から見ていた焔火は、やや驚きの表情を浮かべていた。

「本気じゃなかったとはいえ俺のパンチ喰らって立てんのかよ……中々やるな」

焔火の発言に天パ男は反応する。

「フン……お前が殴ったのは顎だ、俺の顎は生まれつきカルメルタザイト並みに硬いからな、ダンプカーの衝撃にだって耐えてみせるぜ」

※カルメルタザイト……ダイヤモンドよりも硬い石の事。

「へ~……カルメルタザイト並みか……そりゃあすげぇや、そしてそんなカチカチの顎を殴って手が無傷な俺もかなりすごい、日々の鍛練の賜物だなこりゃ、我ながら天晴れ」

焔火はパチパチと拍手をした。そしてここで焔火は天パ男にある事を尋ねる。

「なぁ……お前ミュータントか?いや、聞くまでもねぇな、お前はミュータントだ、さっきのラリアットで起こした爆発……あんなもん普通の人間には出来ねえ……」

焔火の発言に天パ男はニヤリと笑みを浮かべた。

「ああそうだ、俺はミュータントだ、そして俺の名前は五条三(ごじょうさん)だ、あ、別に覚えておかなくてもいいぜ?なんせお前は今日この場で死ぬんだからな」

五条は焔火に向かって首切りジェスチャーをしながらそう言った。そしてこの男の発言に焔火は顔をしかめながら言う。

「五条さん?てめぇ自分で"さん"付けかよ、自己愛強すぎだろ、控えめに言ってきめぇ」

焔火の発言に五条も顔をしかめて言う。

「……お前何か勘違いしてるだろ、"さん"は敬称じゃねぇ、本名だボケ」

「あっそ、変な名前だなクソカス」

「フン……ありがとよウジ虫、で?そういうお前は何て名前なんだ?」

「焔火(ほのか)……燈焔火(ともしび ほのか)」

「プッ……ギャハハハハ!!」

焔火から名前を聞いた五条は突然爆笑しだした。

「……何が可笑しい?」

「ギャッハッハッハッハ~!!"ほのか"て!!女かよ!?男で"ほのか"て!!弱そうな名前じゃの~!!ハァ~……ドッコイショ~!!ドッコイショ!!ドッコイショ~!!ドッコイショ!!ソーラン!!ソーラン!!ソーラン!!ソーラン!!」

五条はテンションが上がったのか、いきなりその場でソーラン節を歌いながら踊り始めた。そしてそんな五条を焔火は冷たい眼差しで見つめていた。

「フン……小学生レベルの煽りだな……まぁそれよりもだ……お前さっき俺に対して「今日この場で死ぬ」とか抜かしてたな……あれはどういう意味だ?」

焔火が問うと五条はソーラン節をピタッとやめて、シリアス顔を決めながら言い放つ。

「そのままの意味さ、お前は今日この場で死ぬんだよ、俺に殺されてな」

「はん、なんで俺がお前に殺されなきゃなんねぇんだよ」

「んなもん決まってんだろ……顎の事を馬鹿にしたからだ!!!死ねぇぇぇぇぇ!!!!殺す!!!!」

五条は焔火に向かってダッシュしていった。ここで焔火は思った。この男の能力は恐らく全身を起爆する能力なのであろう。そしてこの男は、また先程の様に自身に体を接触させて爆発を起こそうという考えなのであろう、それも先程のよりもとびっきり強い爆発を……と。

「フン、要は触れられる前にケリつけりゃいいんだろ!!!」

焔火は向かってくる五条に右手を向けて、そこからブワァァァッと炎を噴射した。

「おああああああ!!!!」

炎は五条に直撃。五条は火ダルマになった。

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