第46話 反省会と一攫千金?!
「あ、あれは信じるとは言いません! むちゃぶりって言うんです!」
「いや、まぁ、結果上手くいった、じゃん?」
「い、一方的過ぎますよ! 私、まだ何の準備もできてなかったんですよ!」
無事にクリスタルダイナソーを中級魔法で倒した後、リリはぷりぷりとした感じで怒っていた。少し涙目であることから、本気で怖かったのだろうと察しがついた。
ただ怒っているだけでも絵になるものだなとリリを見ていると、俺が反省していないのに気づいたのかジトっとした目を向けられてしまった。
リリの結界は無事に中級魔の爆発の衝撃を抑えることに成功した。まぁ、多少は揺れていたが微々たるものだった。
ちらりと倒れているクリスタルダイナソーに視線を向けると、大きな体が爆発によって焦げてしまっていた。
本来は逃げるはずだった爆発の衝撃も一緒に受けたからだろう。クリスタルダイナソーは動く気配が一切ないくらいのダメージを受けていた。
それでも、あの衝撃を結界なしで食らっていたと思ったら、少しぞっとするな。
リリが涙目になるのも分かる。もしかしたら、俺たちはこのまま鉱山に閉じ込められていたかもしれない。
少しだけ調子に乗ってしまった部分もあったかもしれないな。少しだけ反省しておこう。
「【助手】が咄嗟に発動したので良かったですけど、私結界魔法使えるようになったの昨日が初めてだったんですけど。ていうか、私の結界が信じられなくて寝不足だったんじゃなかったんですか?」
「いや、昨日寝れなかったのは色々とあってだな」
「色々ってなんですか」
「……まぁ、あれだけの爆発を押さえ込めるってことも分かったし、リリの強さが証明されたということにしとこうぜ。これから頼りにしてるぞ、リリ」
「な、なんだか上手く丸め込まれた気がします」
誤魔化すためにリリを褒めると、リリは俺の言葉を疑いながらも褒められたという事実の方が嬉しいのか、きつく閉じたはずの口元を軽く緩ませていた。
ちらちらと向けてくる視線を見る限り、悪い気はしていないようだ。
「ほら、【スティール】して早くガルドさんの所に帰ろうぜ」
俺は少し納得いってなさそうなリリをそのままに、クリスタルダイナソーに近づいて生存を確認した。
数度ぺちぺちと叩いても動かないことから、もう死んでしまったのだろう。
ていうか、あれを食らって生きているという方がありえないだろう。
俺の中級魔法も普通の中級魔法ではなかった。威力が普通の中級魔法の数倍はあったんじゃないだろうか?
これから使い時はもっと気をつけないとだな。
「それじゃあ、頂くぞ。『スティール』 ん? うおっ!」
俺が『スティール』を浴びせると、俺の手のひらにずんと重いものがのしかかってきた。バランスを崩しながらなんとか手を引き抜くと、それはそのまま地面に大きな音を立てて落ちた。
そして、目の前に現れたそれを見て、俺たちは言葉を失っていた。
「……え、これって鉱石、なんですか?」
「いや、どうだろ? え、【鑑定】してみるか?」
俺たちは目の前には、半身ほどの大きな結晶の塊が落ちてきた。というか、俺の手に乗せられたのだが、重すぎて俺がそれを落したのだ。
様々な色と輝きを出している結晶の集合体。それが鉱石なのかも分からなかったので、俺は【鑑定】を使用してそれがなんてあるのか確かめることにした。
「鉱石と宝石の集合体みたいだ。え? 宝石? あっ、その緑色の奴宝石だってよ!」
「え、これですか?!」
「いや、それはただの苔の塊だ! その右の奴!」
【鑑定】で目の前の集合体を【鑑定】してみると、複数の状態が一気に頭に流れ込んできた。そこには鉱石の説明と宝石の説明が流れてきて、それがそれらの集合体であることを教えてくれた。
あくまで鑑定したのは表面の部分だけ。全体的に鉱石ばかりだが、鉱石の間に宝石の原石があるのは確かだった。
ただの鉱石を集めに来ただけだったのだが、もしかしたら中々の発掘をしていしまったのではないだろうか。
……これって、いくらで買い取ってくれるのだろう。
急に大金を手にしたかのように、俺の鼓動は大きくなっていた。