第二話 鑑定石
円香さんが、
円香さんやギルドの皆には伝えていないが、
いとこが、同じ高校に通っている。
調べれば、解るかもしれない。でも、調べてどうするのか?あの
”にゃ!”
「どうしたの?」
クロトが、足下にやってくる。
鳴き声で、クロトかラキシか判断ができる。
二匹にも変化があった。アトスも同じような変化が発生したから、3匹に同じような変化だ。
最初は解らなかった。
そして、目の色が変わった。
猫らしい茶色だった目が、藍色に変わった。そして、ラキシだけが、スキルを使う時に栗色に変わる。
どうやら、3匹の中で、ラキシだけが特別な存在のようだ。なんで、そうなったのか、ラキシたちにも解らないらしい。
「茜!」
「はい?」
円香さんに呼ばれてびっくりした。
急に大きな声を出して、名前を呼ばれた。何もしていない。
「茜?気が付かない・・・。の?」
「え?なに?」
今度は、千明だ。
千明は、ハンドバッグから手鏡を取り出して、私に見せる。
「え?」
私の目の色が、ラキシと同じになっている。
”ニャウ!!”
膝の上に乗ってきたラキシを撫でると、ラキシの意思が伝わってきた。
「え?ラキシ!本当?」
”ニャウン”
可愛く鳴くラキシを撫でる。
「円香さん」
「なんだ?」
「主殿から貰った。今、手に持っている
扱いに困る魔石だ。
ラキシの言葉が本当なら・・・。
/// 鑑定石(350/350)
/// 蟻のスライムから獲れた魔石を集めた物に、鑑定の力が付与された物
/// 持つことで、”鑑定”のスキルが発動できるようになる
本当だ!
机とか、鑑定しようとしてもダメだ。人も鑑定ができない。
「茜?」
「あっ。ごめんなさい。”鑑定”が使えるようです」
「え?本当か?」
「はい。でも、魔物由来の物だけです。人や机とか解りません」
鑑定結果を紙に書きだす。
/// 魔石(480/500)
/// ウォー・ゴブリン・ソルジャーの魔石
/// 魔石(750/800)
/// ウォー・ゴブリン・メイジの魔石
/// 魔石(495/500)
/// ウォー・ゴブリン・ソルジャーの魔石
残りの二つも、ソルジャーの魔石だ。
数値の違いがある。数値も書き出して、円香さんに渡す。
円香さんが、鑑定石を持って、”鑑定”と唱えている。
「茜。確認してくれ」
「はい」
鑑定石を渡される。
「数値が変わっています。347」
「そうか・・・。鑑定、一回で魔力?が、”3”減るのか?」
「茜嬢。この魔石を鑑定して欲しい」
孔明さんが、小さい魔石を持ってきた。
/// 魔石(7/20)
/// ゴブリンの魔石
鑑定結果を書き出して、孔明さんに渡す。
「ありがとう。ゴブリンと出ましたか?」
「はい」
「これは?」
渡された魔石は、少しだけ大きな魔石だ。少しだけ色が付いている。赤色?っぽく見える。
/// 魔石(11/30)
/// ゴブリン・ソルジャーの魔石
「孔明さん?」
書き出した魔石のデータを渡す。
難しそうな表情をする孔明さん。
「茜嬢。もう一つだけ鑑定を頼みたい」
「はい。いいですよ?」
「疲れませんか?」
「え?」
「円香の話では、1回の鑑定の実行で、魔力を”3”使うようです。茜嬢は、先ほどから連続で、10回近い鑑定をしています」
「そうですね?大丈夫だと思いますよ?」
どうやら、私の魔力を心配してくれているようだけど、魔力の総量が解らない。疲れては居ないし、頭痛や倦怠感もないと伝える。
”ニャウ”
”にゃにゃにゃ!”
「え?本当?」
膝の上に乗っていた、ラキシとクロトが同時に鳴いた。
そして、”魔力”に関しての情報を私に伝えてきた。
「どうしました?」「なんだ?」
「クロトとラキシからの情報です。今は、調べるのが難しいのですが・・・」
「構わない」「教えてくれ」
二人が、前のめりになっている。
千明に助けを求めようと思うが、千明は蒼さんと一緒に少しだけ離れた所で、こちらを見ている。完全に、傍観者だ。アトスも退避している。千明の肩に乗っている。
「孔明!」
蒼さんに目線を向けると、孔明さんの名前を呼んでくれた。
助かったと思ったら・・・。甘かった。
「なんだ!」
「孔明から依頼された魔石を取って来たぞ?茜に渡せばいいのか?」
ダメだ。使えない。
「孔明さん。次は、その魔石を鑑定すればいいのですか?」
「その前に、”魔力”に関して、知りえた情報を教えてくれ、もしかしてステータスがあるのか?」
”ニャニャウ”
「・・・」
ラキシ。
余計な事を・・・。
「茜!」
はい。はい。
無駄な努力ですね。解っています。
「魔力ですが、私の鑑定と鑑定石の鑑定は、違うようです。あっ理由は聞かないでください。そういう物だと思ってください」
円香さんと孔明さんの反応を見ながら、クロトとラキシから聞いた話を伝える。
「私の鑑定は、私とクロトとラキシの魔力が使われるようです。鑑定程度なら、”まばたき”をする程度の疲労で、殆ど魔力を必要としないようです。鑑定レベルが上の場合には、人や魔物由来以外の鑑定ができるようですが、その時には、全力で走るくらいの疲労を感じる魔力が必要らしいです。あっ距離はわかりません。ただ、全力で走るのと同じくらいだと言っています」
ふぅひとまず、魔力の説明ができた。
忘れていたことがあった。
「魔石を鑑定した時に、鑑定石では数字が一つだと思います。私の鑑定では、二つです」
「そうだな」
円香さんが、私の書いた鑑定結果をみながら頷いてくれた。
「私の鑑定結果の数値で、前の物が魔石に蓄えられている魔力の量で、後ろが魔石の限界値らしいです。魔物は、魔石の限界値で強さが決まるようです」
「・・・」「そうか・・・。茜嬢は、鑑定の負担はないのだな?」
「そうですね。ないようです。よくわかりません」
「わかった。それで、ステータスは?」
忘れてくれていなかった。
説明が面倒だ。
ステータスは、あるけど・・・。ステータスとして、表示されることはない。
「はぁ・・・。ステータスは、あるようです。ただ、数値で表せるような物ではないようです。RPGの様に、HPやMPがあるわけではなく・・・。うまく説明ができませんが、戦闘力のように、全体的な強さを示す目安はあるようですが、二匹から聞いても、要領を得ない状況です」
「わかった。ステータスは、横に置いておこう。いいな。孔明。お前が気になるのはわかるが、大事なのはそこではない」
「あぁ・・・。解っている」
「茜。スキルを使うと、疲れる場合があるのだな?」
「そうみたいですね」
「蒼。お前は、スキルの使用回数を把握しているか?」
「俺か?もちろん、把握しているぞ?孔明も円香も、限界は解っているのだろう?」
”にゃにゃ!”
”ニャニャニャウ”
え?
はぁ・・・。そうなのね。
「茜?」「茜嬢!」
もう・・・。もしかして、この情報は、魔物の中では常識なの?
それとも、
ワインズマンに聞いてみたいけど、絶対に藪蛇だよな?
円香さんと孔明さんだけじゃなく、蒼さんの視線も怖い。
膝の上に居る可愛い二匹を見れば、自分たちが悪い事をしたとは思っていない。そうだよね。確かに・・・。クロトとラキシは、自分たちが知っている”常識”を私に教えてくれただけ。二匹は、何も悪くない。悪くないけど、恨み言の一つも言いたくなってしまう。
でも、可愛いから頭と背中を撫でてやろう。
教えてくれて、”ありがとう”という気持ちを込めて・・・。恨み節は、あとで、千明にぶつけよう。これは決定事項だ。離れた場所で、アトスを確保して、こちらに気が付かれないように会話をしている。私にはよく聞こえている。
「・・・。”魔石を持って、スキルを使えば、疲れない”らしいです」
「もしかして・・・」
円香さんが考えていることがわかってしまった。
頷いて答える。
魔石を持ちながら、限界までスキルを使えば、大凡の魔力量が解る。私と千明はダメだけど・・・。
そして、スキルの必要になる魔力量が解れば、戦略を立てやすくなる。
”にゃ!”
”ニャウン!”
ドヤ顔が可愛い。