第2章20話 侵攻決着 李からの要請
悠と氷室がそれぞれ陸王の眷属を撃破した頃、団員たちはそれぞれの師団長の帰りを信じて大量の魔物の殲滅に当たっていた。
彩音:
「荒太、約1万体の魔物がそっちの市街地に向かったわ。大体が人獣型よ。」
新田:
「了解した。また何かあったら報告してくれ。」
彩音:
「了解。」
新田:
「みんな訓練で教わったことを思い出せ。団長たちは必ず帰ってくるここで踏ん張るぞ。」
団員:
「はい!」
そして間もなく、新田たち第1・第2師団の約半数の団員が守ってる総理官邸、総司令本部がある東部中心部に大量の魔物が押し寄せてきた。その一体一体が坤による改造が施されており、大幅に耐久力と攻撃力が増していた。
新田:
「お前ら行くぞ!」
そして、新田たちは都心部少し手前で魔物たちを迎え撃った。新田たちはかなり善戦したが、約半数を倒したところであまりの数の多さに押され始めた。
新田:
「お前らここが正念場だ!」
そこから何とか耐えていたが、陣形が崩れ突破されかけた時
氷室:
『八寒地獄 頞部陀』
残っていた魔物たちが凍り付いた。
氷室:
「悠今だ!」
悠:
『桜刃流双身術 こぼれ桜』
間一髪のところで到着した悠と氷室のコンビによって大量の魔物は一掃された。
悠:
「よく頑張ったな、お前ら。」
新田:
「師団長、勝ったのですね。」
悠:
「あぁ、今東部各地の団員から魔物殲滅完了の報告を受けた。俺たちの勝利だ。」
その一言で団員たちは歓喜の声を上げた。
悠:
「負傷したものは直ぐに治療を受けろ。涼介兄も受けてきなあとは俺がやっておくよ。」
氷室:
「あぁ、悪いなそうさせてもらう。流石に限界。」
そういうと、氷室は気を失ったように眠った。
悠:
「彩音悪いけど寧々に通信をつないでくれ。」
彩音:
「かしこまりました。」
そして、彩音は寧々に通信をつないだ。
寧々:
「はい綾辻です。」
悠:
「寧々、俺だ。涼介兄が今ダウンしてるから俺が指示するぞ。」
寧々:
「かしこまりました。」
悠:
「第2の動ける団員は避難者の救援物資の手配を手伝ってあげてくれ。都心部だからかなりの量があるから。各地にいる団員にも復興に力を入れるよう言っておいてくれ。」
悠:
「その間の魔物殲滅は俺が担うよ。」
寧々:
「かしこまりました。」
その後、市民たちの協力もあり想定よりも早く復興することができた。陸王の眷属との戦闘で重傷を負っていた氷室・スターク・ソフィアも目を覚ましたので情報共有をするため、総司令も交えて再びリモートで会議することになった。
千代:
「まずは4人ともよく陸王の眷属を倒してくれたわね。ありがとう。」
スターク:
「ありがとうございます。」
ソフィア:
「光栄です。」
氷室:
「まぁ勝ててよかったです。」
悠:
「誰も欠けなくてよかったです。」
シーラ:
「3人はけがはもういいのかい?だいぶ重症だったんだろ。」
氷室:
「あぁばっちりだ。いつまでもうちの師団のことを悠に任せるわけにもいかなしな。」
スターク:
「ずっと寝てたら体がなまってっちまうよ。団員も心配させたくないし。」
ソフィア:
「そうね、あの感覚も忘れたくないからね。」
千代:
「それじゃ話を戻しましょうか。まずは4人の戦った眷属の情報を共有しましょうか。」
総司令が話を戻した。悠たちそれぞれが戦った眷属の能力と戦い方などを説明した。
千代:
「成程、じゃあやっぱりその薬がかなり厄介だったのね。」
悠:
「そうですね。それぞれ個々の能力も厄介でしたがそれにプラスで魔獣の力となりますので常にこちら側が対応する側だったのもですね。」
ソフィア:
「でも悠は眷属のうちの2体倒してるからすごいわよね。」
悠:
「俺が相手した2体はどちらかというと能力よりフィジカルっていう感じだったし、乾に関しては
能力はなかったしね。ソフィアたちが戦った巽みたいに能力重視みたいや奴だとまた違ったと思うよ。」
アクエ:
「そうよ、ソフィアたちこそよく『超速再生』と『毒生成』っていう厄介な能力持った相手に
勝てたわよ。」
悠とアクエに褒められてソフィアは少し嬉しそうに微笑んだ。
千代:
「その薬は他の三王の眷属も使ってくるのかしら?」
悠:
「その線は薄いと思います。」
総司令の問いに悠はすぐさま回答した。
千代:
「それはどうしてかしら?」
悠:
「乾と艮が言ってたことで分かったことですがあの薬は恐らくまだ実験段階のものだと思います。
完成品ではないものを横流しするような奴ではないと思います。」
氷室:
「悠の言ってることは大体あってますよ。坤の話だと欠陥だらけの不良品と言っていたので間違いないかと。」
千代:
「じゃあ薬はもうないと仮定して、これからはどういう方針で行きましょうか。」
悠:
「まだ攻め時ではないかと。このまま攻めても全員無事ではすみませんしそれに向こうは眷属が
やられているわけですから次は本気で攻めてくるでしょう。相手の力も未知数ですし。」
スターク:
「俺は賛成だ。このままじゃ勝てないって身に染みてわかった。」
スタークの発言を皮切りに他の師団長達も悠の意見に賛成し、各々が力をつける期間を設けることにした。
そして会議の後、李から連絡がやっていた。
悠:
「李、どうした?」
李:
「悠ちょっと中央部二来てほしいネ。」