529 なんだったんだ?
ピッカー
「ひぎゃーっ」
『『『『『目が目が~っ』』』』』
なんでーっお名前じゃないのにーっ
虎さんにみんなであだ名をつけただけなのにーっ
〖おい、医神、なんでだ?〗
〖分かりません。とりあえず光が収まるのを待って鑑定してみましょう〗
〖そうだな〗
〖それより、この光は不意打ちでしたからね、きっと⋯〗
〖ん?なんだ?〗
まぶしい光の中、神様たちは耐えられたけど、光がおさまって見えたものは⋯
「ふにゃああ、おめめが~っ」ごろごろ
『まぶしいよ~』どたんばたん
ぴゅいきゅい『『いたいー』』ごろんごろん
『『目が目が~』』ごろごろ
『『『きゅう⋯』』』ばたんっ
みゃあ『にゃにゃ!?おもいにゃーっ、でも、みえないにゃーっ』ばたばたっ
『ココロどうしたのだ!?見えないのだー』ごろごろ
きゅるるん『『『みんなどこ~』』』ごろごろ
きゅるるん『『『『ここだよ~』』』』ごろごろ
〖フッ⋯やっぱり〗
〖ああ~なるほどな〗
目を押えて地面を転がり、のたうちまくるちびっこたち。
サーヤは天蚕様着ぐるみでビチビチしているし、ちびっこ達はごろんごろん、眼がいい妖精トリオはよりによってココロの上に気絶してて、ココロがバタバタしている。
いつもはサーヤの目を塞いでいるフゥとクゥも、
『『みんな?大丈夫(か)?』』
『油断したわ~、見えない~』
『おれもだ~、チカチカする~』
しっかりやられていた。
『あ~びっくりしたわねぇ。ねぇ?あらぁ?』
『お母様、大変ですわっアイナがっ』
『きゅう⋯』
『ご主人しっかりするにゃーっ』
きゅるる『あ~アイナ様も妖精トリオと同じことに⋯』
強力な精霊眼持ちのアイナ様も⋯
『イテテ、おいおい、みんな大丈夫か?盛大にやられたな』
『あらあらまあまあ、ぽぽちゃんたちいなくてよかったわ、ね?』
ドドドドドドっ
『あらあらまあまあ?』
『あれはゴラちゃんたちか?畳の上に何乗せて⋯』
『『あ~⋯』』
『『『きゅう⋯』』』
ドドドドドドっ
畑のマンドラゴラのゴラちゃんたちと、キャラちゃん達が頭の上に空飛ぶ畳を乗っけて砂煙を上げて走って来た。畳の上に収穫した野菜と気絶したぽぽちゃん兄弟を乗せて⋯
『あ~ちょうど野菜を届けに来てくれてたとこだったんだな』
『あらあらまあまあ、なんてタイミングの悪い⋯』
光に弱いぽぽちゃんたち、かわいそうに⋯
『大変です。お布団ご用意しないと』ふらふら
『そうでした。今、ご用意します』ふらふら
春陽くんと山桜桃ちゃんがフラフラしながら気絶組のお布団を用意し始めました。
〖何ともまあ〗
〖軽い惨劇ですね〗
神様お二人、そんな他人事のように⋯
『あ、あの、鍛治神様、エル様』
『その、神獣様をですな』
『見て差し上げて欲しいんですが』
親方達がおずおずと話しかけると
〖〖え?〗〗
キラキラキラキラ
『あ、あの、何が起こったんだい?』
『付けたのはあだ名だったよね?』
『名じゃないはずなのにこれは⋯』
おかみさん達も呆然⋯
『な、なんだ?俺、なんか変わってないか!?やばくないか?』
キラキラキラキラ
あだ名をつけられた虎さんこと、聖域名「牙王」様は⋯
〖虎、いや、牙王か。お前どうした?色が⋯それに、その牙⋯〗
ヴァル様、呆然⋯神様なのに
『え?え?どうなってんだ?』
牙王様、オロオロ、キョドキョド
〖見ますか?はい。鏡ですよ〗どどんっ!
もはや楽しむことにしたらしいエル様が鏡をどどんっ!と⋯
『な、なんじゃこりゃーっ』
牙王様、自分の変化にびっくり!なぜなら⋯
「ふ、ふみゅう~⋯う?」ふらふら
『あいたた~⋯あれ~?』ふらふら
ぴゅいきゅい『『ちかちかしゅる~⋯う?』』くらくら
『『ふわぁ~⋯あ?』』ふらふら
『『『⋯⋯』』』
みゃあ『みゃ?ようせいトリオがのってる⋯にゃ?』ばたばた
『ほんとなのだ⋯あれ?なのだ?』ぴた
きゅるるん『『『う~ん⋯ん?』』』ふらふら
きゅるるん『『『『うわ~⋯あ?』』』』
ちびっこたち、妖精トリオ以外フラフラしながらも、何とか周りが見えるように。そして、見たものは⋯
あれ~?牙王様、なんだかちがう?えっと、たしかこの色は~
「いぶちぎん?」
なんか、渋いお色です。
『あらあらまあまあ、よく覚えてたわね?そんな色の名前。すごいわ、サーヤ』
『そうだな、黒かった毛の部分、銀が混ざって、いぶし銀みたいな色になってるな』
「えへ~?」
当たった~♪牙王様、カッコ良さましましです。
『ねぇ~なんだか牙も~?』
ぴゅいきゅい『『おっきくなってる~?』』
『そうだな。立派になられているな。ハク、みんな、目は大丈夫か?』
『ああ、力も強くなられたようだな。モモとスイも大丈夫か?』
『うん。お父さん。やっぱり~?』
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん。わかるの~?』』
『ああ。どうやら名前に合わせて強くなられたようだな』
『はい。やはりアルコン様もそう思われますよね』
そう。牙王様、体の虎柄の黒い毛の部分は、銀色が混ざって黒みがかった渋い銀色に。白い部分もより輝きを増している。
そして、牙が明らかに先程より大きく鋭くなっている。やはり、輝きも増しているようだ。
『な、何でだ?俺は名付けされた訳じゃないだろ?』
牙王様、まだ信じられずに呆然⋯
〖そうですね。何故でしょうか?〗
〖何せ、神界の聖獣にあだ名がついた前例がないしな〗
神様たちも初めてのことで分からないようです。
『な、なあ、鍛治神に医神、俺を鑑定しろよ!そんでどうなってんだか教えろ!』
〖教え、ろ?〗ごごご
『い、いや、間違った、医神、教えてくれ⋯』
〖なんですか?〗
『わ、悪かったよ、教えてください!医神様!』
〖ふむ。良いでしょう〗
〖⋯いい性格だな、相変らず〗ぼそっ
〖何か?〗にっこり
〖いや?何も?〗ふゅい~
ヴァル様、口笛いまいち?
『と、とにかく頼むからよ』
牙王様、なんだか必死!そんな必死過ぎると⋯
〖ふふ。どうしましょうか〗ニヤ
『そ、そんな事言うなよ~』
〖冗談ですよ〗
『~~~っっ』
ほら、遊ばれちゃうよ?
〖医神、そのぐらいにしてやってくれ。どれどれ【鑑定】っと⋯んん?〗
〖何か面白い鑑定が出ましたか?〗
〖んん?まあ、医神もやって見れば分かる。俺のより医神のが細かく分かるだろ?〗
〖そうですね。では⋯はて?〗
神様二人が首を傾げてます。
『な、なんだよ?』おろおろ
オロオロする牙王様。まったく落ちつきません。
〖まあまあ、じゃあ俺からな。まずは【聖域の仲間・ちびっこのお友達】〗
『は?』
牙王さんの首が思いっきり、ぐりん。
〖ぷっ〗
『お、おともだち~?』
エル様、吹き出しちゃダメだよ。
牙王様はなんか情けない声が出てます。でも
「ふぉ~!がおーしゃま、にゃかよち!」
『うん!仲良しだよね~』
ぴゅいきゅい『『やさしいし~』』
『『楽しいし~』』
『『『たよれるし~』』』
みゃあ『あんしんできるにゃ!』
『それに、何よりアレなのだ!』
「『『『『『もふもふ~!』』』』』」
ちびっこたちは嬉しそう。おや?妖精トリオも無事に起きたようですね。
『ほらほら、サーヤたち、まだよ』
『お話、途中だぞ。ちゃんと聞いてような』
「ふあっ!ごめしゃい!おくち、ちゃっく!」ばっ
『『『『『ちゃっく!』』』』』ばばっ
フゥとクゥに言われて、みんなお口チャック!続きどうぞ!
『そ、そうか。まあ、確かに仲良しだからな、喜んでもらえてるみたいだし、いいか。それから?』
牙王様、嬉しそうにするちびっこ達にひとまず納得。
〖それから、【牙の王様】【最高のもふもふ】〗
〖そのままですね〗うんうん
『それで牙が進化したのか⋯もふもふも、まあ、確かに自慢のもふもふだからな』
「もふもふ~!」
『『『『『もふもふ~!』』』』』
『『みんな?』』じと
「おくち」
『『『『『チャック!』』』』』
ちびっこたちも同意してるし、ここも納得。
〖あともうひとつあるんだが⋯言った方がいいか?〗へにゃ
あれ?ヴァル様の眉毛がへにゃ?
『な、なんだよ、その言い方にその顔はよ。かえって気になるだろ』
〖おや、もったいつけますね。言って下さい〗
〖そうか?なら言うぞ、もうひとつは⋯【にゃんこの王様】〗
〖ぶふっ〗
『にゃ、にゃんこ⋯?』ガーン
虎なのに、にゃんこ!強そうな虎なのに、にゃんこ!
『あらあらまあまあ、それはきっと』
『原因はサーヤだろなぁ』
じとー
「う?」
だって
「とりゃしゃんみょ、にゃんにゃん。らいおんしゃんみょ、にゃんにゃん。おおかみしゃんは、わんわん。おいちゃん、ゆっちゃ」
みんな仲間って、おいちゃん言ったよ。
『お父さん、さりげなく狼は犬って言ったよね~』
『そうだな』
ん?狼さんは、わんわん!
『ゲン?』じとーっ
なにをサーヤに吹き込見やがった?という顔の牙王様
『ハハハ、あのな?俺たちがいた世界では魔法は無いから、動物はみんな普通に動物で、魔物じゃないんだ。それでな、動物をまあ、ざっくり種類で分けるんだけど、そうすると、虎も豹もライオンもネコ科ってグループにまとめられるんだよ。狼は犬と同じイヌ科ってグループだな』
『ごめんなさいね。サーヤは多分それを覚えていて、虎さんすごい!みんなの王様だ!となってしまったのだと思うのよ』
おいちゃんとおばあちゃんが、サーヤをフォローしつつ、申し訳ない~ってしてます。でも
「がおーってしゅる、にゃんにゃんちゃちにょ、おうしゃま、ちゅよい!かっちょいー!」
でしょ?がおーっ
両手上げてにゃんこのお手手!
『サーヤの「がおーっ」て、そのポーズはかっこいいと言うより、かわいいだな。でも、まあかっこいいか、種族を超えた王ってことだな』
「あい!がおーっ!」
かっこいいでしょ?
〖ふふ。良かったですね〗
〖そうだな。そういや、医神の鑑定はどう出たんだ?〗
『そうだよ。まだ聞いてないな』
「ふお?」
神様同士で違うの?
〖聞きたいですか?〗
〖『ああ』〗
「あい」こくん
『『『『『聞きた~い』』』』』
みんな気になってるよ!教えてください。
〖そうですね。じゃあ、まずは同じ様な名前のものから【牙の王者】【最高のもふもふを持つ者】〗
『うん、なんか、言い回しが少し違うんだな。ちょっとかっこいい感じか?』
「あい」
『『『『『かっこいい~』』』』』
〖そうか?〗
うん。ちょっとかっこよくなってるよね。
〖かっこいいですか?では、次はこれですかね?【神聖なる獣の王】良かったですね。にゃんこがこれのようですよ〗
「ふおお?」
『『『『『おお~』』』』』
『全然違うじゃねぇか!こっちの方が断然かっこいいぞ!』
〖おかしいな?〗
なんでこんな違うの?
〖最後に、【聖域の盟友】【聖域(愛し子)の祝福を受けし者】どう考えても、姿が変わった理由はコレでしょうねぇ〗うんうん
「ほええ?」
『お、俺に祝福?』
〖あ~みんなであだ名を考えてくれて、みんなであだ名を付けたからか?〗
みんなで?あれかな?
「がおーしゃまーっ」
『『『『『がおうさまーっ』』』』』
みんなで、がおーっのポーズ!がおーっ!
〖それだな〗
〖それでしょうね〗
『なんてこった⋯』
みんなであだ名付けたら、どうやら祝福になっちゃったみたいです。
「がおーっ」
『『『『『がおーっ』』』』』
でも、祝福ってなんだろね?