527 神獣さんの謎?
ここはいつもの精霊樹の下、
泉のほとり
「きゃははは~♪」
しゅる~ん♪
『すご~い♪』
しゅる~ん♪あんよはすべり台~♪
ぴゅいきゅい『『もっともっと♪』』
ぽよんぽよん♪背中でとらんぽりん!
『『きゃ~♪』』
くらるんくるん♪しっぽでぽんぽん♪くるんくるん♪
『『『きもちいいね~♪』』』
ふわふわ~
みゃあ『ぽかぽかにゃ~』
『眠くなるのだ~』
もふもふ~♪頭の上でひなたぼっこ~♪
きゅるるん『『『けなみ、すごいね~』』』
きゅるるん『『『『わけてくれないかな~?』』』』
しゅっしゅっ
子ぐもちゃんたちは、小さい体を一生懸命動かしてブラッシングをしてます。
『あらあらまあまあ、すごいわね』
『すべり台付きのアスレチックみたいだな』
おばあちゃんとおいちゃんも、ただただ見上げて呟いてます。
そうなのです。宣言通り、お外に出た途端に大きくなってくれた虎さん。
むくむく大きくなる虎さんにみんなびっくり。
その背中に乗っていたサーヤは
「ふわわわっふわわわっうきゃあああっ」
『あらあらまあまあ?』
『サーヤ?大丈夫か?』
奇妙な声が聞こえてくるが、何せ姿が見えない。
ぴゅいきゅい『『みてきてあげる~』』ぱたぱた
『『『いっしょいく~』』』すい~
モモとスイ、妖精トリオが飛んで虎さんの上へ。でも?
ぴゅいきゅい『『あれ~?』』ぱたぱた
『『『いないね~?』』』ふよふよ
サーヤがどこにも見当たりません。
ぴゅいきゅい『『サーヤ~?』』ぱたぱた
『『『どこ~?』』』すい~
さわさわ
『あ、あそこ~』
『ほんとだ~』
『けがゆれてる~』
ぴゅいきゅい『『サーヤ~?』』
妖精トリオと双子が覗き込むと
「ぷはあっもふもふ~っ」にぱあっ
サーヤの顔がぴょこんっと飛び出て来ました。
ぴゅいきゅい『『あ、いた~』』
『サーヤってば』
『もぐってたの~?』
『およいでたの~?』
「う?にゃんか、うまっちゃっちゃ?」
急にもふもふがもふもふって!
ぴゅいきゅい『『うまっちゃったの~?』』
「あい。にょきにょきふわふわもふもふ、ぶわぁ~っちぇ!」
周りが見えなくなっちゃったんだよ~。もふもふで!
『『『じゃあ~しかたないね~』』』
「あい!」
仕方ないんだよ!もふもふ!
〖わははは!そうだな。虎はでかくなると毛も長くなるからな〗
『うっかりしてた。サーヤ大丈夫だったか?』
「う?あい!だいじぶ!」にぱっ
気がついたらヴァル様が浮かんでて、虎さんのお顔がこっち向いてました。
『サーヤ~』
『『いたいた~』』
みゃあ『よかったにゃ』
『こりゃ、ちびっこは埋まるな』
『あらあらまあまあ、なんだか草原みたいね』
「う?」
ぴゅいきゅい『『みんな~』』
『そらとぶたたみだ~』
『そのてがあったか~』
『みんなおいでよ~』
ハクたちや、おいちゃんたちも空飛ぶ畳で目の前に飛んできました!やっぱり畳便利!
でも、畳で飛んでこなきゃいけないほど虎さんはおっきくなってます。お二階の窓より高いです。
『ん~もうちょい小さくなるか』しゅるしゅる
「ふおお?」
今度は縮んだ!お二階くらい?
『こんくらいなら、サーヤの顔出るよな?で、おお、あそこ気持ちよさそうだな』のそっ
「うきゃ~」
『動いた~♪』
ぴゅいきゅい『『おにくやわらかい~』』
『モモ、スイなんか違うよ』
『それじゃあ、美味しそうに聞こえちゃうよ~』
ぴゅいきゅい『『あれ~?』』
たしかに~
〖ワハハハ!美味そうだってよ!虎!良かったな〗
『ああ?そこは、しなやかって言ってくれよ。自慢の筋肉なんだからよ』
「ちにゃ?」
『『『しなやかだよ?』』』
みゃあ『しなやかなんにゃ?』
『きゃははは♪分かってないのだ♪』
しなかや?しなやか?なに?
『ん?そうか、ちびっこには難しいか?俺は虎だからな。筋肉馬鹿な鍛治神や武神みたいなカチカチな筋肉じゃなくてな?』
〖おい!誰が筋肉馬鹿だ!?〗
『俺の筋肉は素早くしかも静かに動けるように、柔らかく、よく伸びたり縮んだりするんだぞ』
おお、ヴァル様の突っ込みは無視ですね。
『だからな?こんな風に⋯』
ぐんっ
「ほえ?」
『え~?』
しゅぱっ
ぴゅいきゅい『『え~?』』
『『とんでる~?』』
しゅたっ
『『『わ~』』』
みゃあ『どすんいわないにゃ!』
『揺れなかったのだ!』
サーヤたちを乗っけたまま、泉のほとりまでジャンプ!背中に乗ってるサーヤたちは
「うきゃあああ」ぱちぱちぱちっ
『すごいね~』
ぴゅいきゅい『『ぴょ~ん』』
『景色流れたよ』
『速かった!』
『『『すごかった!』』』
みゃあ『すごいにゃ。ココロもできるかにゃ?』
『分からないのだ』
色々大興奮。サーヤはずっと拍手してます。
『てな具合にな?さして振動もなく動けるわけだ』ニッ
ちょっとかっこいいニッです。渋い感じです。なので
「かっちょい~」ぱちぱちぱち
『すごい~ぼくたちと違うんだね~』
サーヤとハクは動きのすごさに感動!双子たちは
ぴゅいきゅい『『ニッ』』
『『あははは』』
『『『ちょっとちがう~♪こうじゃない?ニッ』』』
かっこいい笑い方をまねっこ!
みゃあ『みんにゃちがうにゃ!』
『キャハハハ かっこいいよりかわいいなのだ!』
色んな意味で大人気!
『おお、俺もてもて?』
〖ワハハハ!良かったな、虎!そのまんま遊んでやれ〗
『そうだな。精霊樹の下がいいな気持ちよさそうだ』
そう言ってわざと背中を動かしてトランポリンみたいにちびっこたちを跳ね上げた。
「うきゃあああっきゃははっ」
『おもしろ~い』
ぴゅいきゅい『『もっともっと~♪』』
『『『すご~い♪』』』
みゃあ『たのしいにゃ!』
『面白いのだ!』
きゅるるん『『『ブッシング』』』
きゅるるん『『『『させて~♪』』』』
こんな感じで虎さんアスレチックが誕生しました。
『あらあらまあまあ、ありがたいわね』
『そうだな。しかし、慣れたもんだな』
〖だから言ったろ?よく相手してるってよ〗
『そうね』
『そうだな』
頼もしい仲間が入って良かった。
そんなこんなで、みんなできゃいきゃい遊んでると、サーヤが
「とらしゃん?」
『ん?なんだ?』
「とらしゃん、おにゃまえ?」
ヴァル様が〖虎〗と呼ぶけど、それは名前なんだろか?と思い立ったサーヤ。不思議に思って聞いてみた。
『ああ、名前な。名前はあるんだけどな⋯』
〖神獣は特別だからな。名前は下手に知られたらちょっと厄介なんでな。わざと呼ばないんだ〗
「うにゅ?」
わざと呼ばない?せっかくお名前あるのに?
更に何で?という顔になったサーヤと周りにいたちびっこたち。みんなに微妙な顔を向けられたヴァル様が〖仕方ないよな。分からんよな〗と言って、話し始めてくれました。
〖医神も魔神もシアも、相棒を天界に置いてきたから、今まで天界に住まう神獣については何も知らないんだよな〗
〖そうですね。私の愛馬は元気ですか?〗
〖ああ。安心しろ。獣舎で元気にしてるよ〗
〖そうですか。それは何よりです〗
「えりゅしゃまみょ?」
〖ええ。神は皆、相棒になる神獣がいるのですよ。私の相棒は天馬ですね。角と大きな翼を持つ美しい馬なのですよ〗にっこり
「ふお~」
すごい!お馬さん!会ってみたいな~
『じゃあ、そのお馬さんもお名前で呼ばないの~?』
ハクが聞いてくれました。そうでした。そのお話でした。
〖そうですね。名前はありますが、呼びませんね〗
ぴゅいきゅい『『なんで~?』』
『『お名前あるのに』』
『『『かわいそう~』』』
そうだよね?
『かわいそう?そうか?当たり前すぎてそんなこと思いもしなかったな』ぐるぅ
「ほえ?しょにゃにょ?」
『ああ。思わなかったな』
ええ~?何でかな?
〖神獣は強い力を持っている。それは分かるよな?アルコンも強いが、天界に住まう、特に神に仕える神獣は別格に強いんだ〗
〖その神獣に何かがあった時、その力が暴発してしまったりすると大変なことになります。例えば地上が吹き飛んだりですね〗
「ふえ?」
吹き飛ぶ?あ、そっか
ぴゅいきゅい『『おとうしゃん⋯』』じと
『うっ』
やっぱり
〖ワハハハ!そういやあったな!そんなことが。でもまあ、それは可愛い方だな。虎が暴れたらそんなもんじゃ済まないぞ〗
「ひょえ?」
『そうなの~?』
『ああ、そうだな。とりあえず見えてる範囲の何倍かはやばいな』
ひえ~それは大変。みんな呆然。
〖神獣の名は特別で、真名と言うのですが、この名を使うとその者を無理やりにでも従わせることができるのです。ですから、その名は主人である神と〗
〖もしもの時のために、主神だけが知ってるんだが、主神も有事の時にしか思い出せないように制約の魔法を自らにかけてるんだ〗
「ほえ~」
『そうなんだ~』
ぴゅいきゅい『『なんかたいへん~』』
ね。大変だ!
〖なぜそこまで徹底しないといけないか不思議か?〗
「あい」
『『『『『うん』』』』』
なんで?不思議だよね。
〖そうですね?たとえば例えば神獣を狙う悪者がいるとしますね。もしその悪者に真名を知られてしまうと、無理矢理、神獣を奪われてしまうかもしれないのですよ〗
「ふえ?」
『とられちゃうの~?』
どろぼう?
〖そうですね。泥棒されてしまうのですよ〗
「ぢゃめーっ」
『そうだよ~』
ぴゅいきゅい『『だめだめっ』』
『『『『『だめーっ』』』』』
そんなのダメダメだよ!
〖そうだめだよな。だから、名を知られないように、あえて名前を呼ばないんだよ〗
〖そういうことなのです〗
「しょっか~」
『じゃあ、仕方ないのかな~?』
ぴゅいきゅい『『でも~』』
『『なんか』』
『『『や~』』』
みゃあ『ココロもにゃ』
『寂しいのだ』
うん。なんか寂しいよね?
何とかならないのかな~?
「うにゅ~う」
『『『『『う~ん』』』』』
『いや、だからな?大丈夫なんだぞ?』
〖聞いてないんじゃないか?〗
〖そのようですね〗
ちびっこたちは一生懸命悩むのでした。