k-84
本日の天気は快晴なり。雲ひとつない晴れ空だ。
本当に清清しい。昨日はジュノと一緒にサラサへのブレスレットのお返しを買うという名目で彼の話をひたすら聞いた。
本当に辛そうな顔をしていた。今にも泣き出しそうな。
俺は黙って聞いた。多分アドバイスが欲しくて彼は俺に話しかけているのではないと感覚的に解った。
俺にも辛い時何も言わずに話を聞いてくれる、口の固い友達がいた。
ビジネスライクな人間関係、熾烈な競争環境に疲れ果て、北海道の農村に引きこもると言い出したとき、彼は「ああ、そうか。やっぱりな」と笑っていた。
人にもよると思うが、アドバイスをもらうくらいで解決する問題なら、そもそも相談しないのではないだろうか。
自分の中では既に答えが決まっていて、それを誰かに聞いてもらい、間違ってないよと肯定してもらいたいだけなのだ。
だから、ジュノも同じなのではないかと感じた。
言葉はわからなくても、悲しみや辛さは痛いほど伝わってきた。それで十分だった。
それでも別れ際、彼は俺に晴れやかな笑顔で、「アリガトウ、マタナ」とランカスタ語で言った。俺が別に何を言わなくても、それが彼にとっての答えだったのだろう。
俺は蒼穹を見上げ、止まない雨は無いなと本当にそう思った。
そうしていると、鶏やロシナンテ(馬)がエサをくれとわめき出し、アッシュも俺の周りをクルクル回ってエサをねだる。
さて、今日もマイペースな一日になりそうだ。
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