第三十三話 報復
--倉庫街の一角 麻薬組織ジェファーソン・シンジケート 事務所
秘密警察に捕らわれたロブとキャシーは、頭に黒い袋を被せられ、全裸にされ、後ろ手に縛られて、事務所に連行されて来る。
アキ少佐が口を開く。
「ヒヒヒ。キラーコマンドを二人捕らえたので、金貨六百枚ですね」
シンジケートのボスであるジェファーソンが事務所の奥から出てくる。
「良くやった。流石、『アスカニアの死の影』と恐れられた革命党秘密警察だけはある。二人捕まえたので金貨六百枚だ」
ジェファーソンは、金貨の入った鞄をアキ少佐に渡す。
アキ少佐は、鞄を開けて金貨を確認する。
「ヒヒヒ。金貨六百枚ですね。確かに」
ジェファーソンは、中東の冒険者風の出で立ちで、一見、そう見えるが、麻薬組織を取り仕切る凶悪な悪漢であった。
「奴等の
シンジケートの男たちが、ロブとキャシーの頭に被せられている袋を取る。
ジェファーソンがロブの髪を掴んで、自分の顔をロブの顔に近づける。
「孤児院のガキが。ナメた真似しやがって!」
そう言うと、ジェファーソンは、ロブに背中を見せて少し歩き、離れたかと思うと、振り向き様に助走をつけてロブの顔を殴り倒す。
「ガハッ」
鈍い音と嗚咽と共に、ロブは床に倒れ、転がる。
「ロブ!!」
キャシーの叫びを聞いたジェファーソンが、今度はキャシーに近寄る。
ジェファーソンは、キャシーの顎を右手で掴んで顔を起こすと、自分の顔を近づける。
「こっちは女か」
キャシーを値踏みするように顔を覗き込むジェファーソンに対して、キャシーの顔か恐怖で引き攣る。
ジェファーソンは、キャシーの発育途上の胸を弄る。
「フッ」
孤児院育ちのキャシーは痩せこけており、貧相な体の女は売り物にならないと判断したのか、ジェファーソンは、鼻で笑うとキャシーから離れる。
ジェファーソンは、一言、告げた。
「やれ」
ジェファーソンの言葉で、シンジケートの男達は一斉にロブとキャシーの二人に対して、集団で殴る蹴るの暴行を加え始める。
小一時間ほど、シンジケートの男達から私刑を受け続けた二人は、ぐったりと床に横たわり、
「ううう・・・」
「はぁ・・・はぁ・・・」
シンジケートの男達から角材などでメッタ打ちにされたため、二人とも大怪我をしていた。
虫の息の二人を見下してジェファーソンが口を開く。
「アキ少佐。男のほうは殺せ。女のほうは生かしておけ。奴等へのメッセージだ」
アキ少佐が答える。
「判りました」
アキ少佐は傍らの戦闘員に鼻先で指示する。
一人の戦闘員が、後ろからロブの髪を掴んで立たせると、もう一人の戦闘員が正面から、指先の鉤爪で頭の先から股間まで、五本の爪で縦にロブの体を切り裂いた。
「ぎゃああああああ」
血を吹き出しながら悲鳴を上げるロブの胸を、戦闘員の鉤爪が貫く。
ロブは絶命し、ぐったりと動かなくなる。
戦闘員は、動かなくなったロブの遺体を床の上に捨てる。
「ロブ!! ロブゥ!! ウウッ!!」
キャシーは、血まみれのロブの遺体を見て泣き叫ぶ。
ジェファーソンは、手下の男達に指示する。
「お前ら。女の方で楽しんだら、遺体と一緒に孤児院の前に捨てて来い」
「「ヘイ!」」
「へへへ・・・」
「盗んだ金は、体で払って貰わないとなぁ」
ジェファーソンの命令で、男達は虫の息のキャシーをレイプし始める。
「嫌ぁああああ!!」
キャシーの悲鳴は、深夜の倉庫街に響き続けた。