487 ドワーフさんたちのお名前探し
サーヤはもふもふとん(ギン様)に包まれて幸せにお昼寝していた。⋯はずでした。
ぶるるっ
「ふにゅうぅぅ⋯」ぶるっ
おかしいな?もふもふなのに、なんか、寒い?お布団(しっぽ)ちゃんと掛けよう。もぞもぞ
『ん?サーヤ、起きたか?』
ギン様がサーヤが動いたことに気づきました。
『サーヤ、どうした?トイレか?』
「うにゅうぅぅ」
おいちゃん、違う~
「にゃんか、しゃむ?」ぶるる
どうしてかな?まあいっか!もふもふにくるまってもう一度ねんねしよ⋯
『あらあらまあまあ、残念だけど二度寝はダメよ。サーヤ』ぬっ
『サーヤ起きる』にゅっ
「うにゅにゅうぅ」
ねんねしたいのに、目の前におばあちゃんとみあちゃんが出てきて、起きろといいます。ひどいです。
『サーヤ、大変なのよ。あのね?ドワーフさんたちの名前を決めないといけないの。それでね?今回はサーヤの異世界辞書が必要なの』
『サーヤ必要。お願い』
「うにゅう~?」
また、お名前~?
『サーヤは調べてくれるだけでいいわ。ね?お願い』
『みあと凛の命の危機。サーヤ助ける』
「ふにゅう?」
なんで命の危機?
『⋯サーヤ、いいから起きた方がいいぞ』
『⋯そうだな。最早、我らの危機と言っても過言ではないだろうな』
「ふにゅう~?」
サーヤも危機?おいちゃんもギン様も?なんで?
「ふにょっ!?」びくぅっ
やっとサーヤが目を開けると、おばあちゃんとみあちゃんのお顔が、サーヤのお鼻とごっつんこしそうなくらい目の前にドアップ!そのすぐ後ろにたくさんのドワーフさんたちが!
『頼むよ!サーヤちゃん』
『さすがにヒヒ・イロ・カネは嫌だよ!』
『何とかしとくれよ!』
『おれたちもさすがに』
『オリ・ハル・コンやらアダ・マン・タイトは勘弁だ』
『頼む!』
「ふおおお?」
なんのはなしですか?
『あのね、サーヤちゃん、このままだとね』
『結葉様が考えた名前になっちまうんだよ』
『聞いたろ?さっきの名前候補』
「ふえ?」
さっきのお名前だったの?じゃあ、鉄・鉱・石でも⋯
『鉄鉱石もひーふーみーも勘弁だからな?』
あ、あれ?なんでわかったのかな?
『顔に出てたぞ』
ええ?そんなことは
『出てたぞ』
そうですか⋯
『あらあらまあまあ、とにかくね?今回は石の意味の方が重要なんですって』
そうなの?
『そうなのよ。だからね?私にもいくつか心当たりがあるんだけど、確かじゃなくてね?サーヤの異世界辞書で確認して欲しいのよ』
「あ、あい」
そういうことなら分かったよ。
『ありがとう。それじゃ、早速調べて欲しい石があるんだけどいいかしら?』
「あい」
分かったよ。異世界辞書~
『いや、待て。とりあえず、サーヤ、せめて起き上がって座れ。ギン様に寝っ転がったままじゃまずいだろ』
「あっ」
もふもふとんが気持ちよすぎて忘れてました。
「ぎんしゃま、あいがちょ」
『いや。気にするな』
ありがとう~
『おし。んじゃ、クゥ頼むな』
「う?」ぷら~ん
あれ?おいちゃんに持ち上げれちゃいました。もふもふが~
『はい。分かりました』
『名付けの定位置と言えば、クゥの膝の上みたいだからな』
「あい」
たしかに~落ち着きます。
『じゃあ、凛さんとみあちゃんは私ですね』
「ふぅ~」
『あらあらまあまあ、よろしくね』
『よろしく』
『はい』
フゥもお隣にスタンバイです。
『じゃあ、俺はこっちな』
おいちゃんもお隣にスタンバイです。
『じゃあね、日本名で『天』から始まる石がね、三つか四つあったと思うのよ。たとえば、天河石とか。調べてみてくれる?』
「あい」
おばあちゃんが教えてくれた石を調べてみます。改めまして、異世界辞書~えっと、石の名前で、てんてん⋯あっ
「あっちゃ。てんがしぇき、てんがんしぇき、てんせいしぇき、てんらんしぇき」
こんな感じかな?
『そうそう。天河石、天眼石、天青石、天藍石。どれも浄化とか魔除けの石だった気がするのよ。意味まで詳しく分かるかしら?』
さすがおばあちゃんです。物知りです。
「あい。えっちょ、てんがしぇき、あまじょないちょ、きぼうにょいち?」
希望?
『アマゾナイトか。青緑と白の縞模様だったか?』
うん。綺麗な川みたいだね。
『そうね。希望の石とも言われていて、持ち主の心に寄り添って正しい道へと導いてくれるのだったかしら』
「ほえ~」
そうなんだ~
『それじゃあ、次は?』
次?次はぁ
「てんがんしぇき、あいあげーちょ、ふお?かみにょいち、だいさんにょめ、やくよけ、まよけ」
神の石だって。なんかすごいね~
『天眼石、眼みたいな模様の、アゲートだから瑪瑙の一種だよな?結構強力な石だよな。俺の数珠これだったよ。黒に白い眼のな。こっちに持ってこられたら良かったな』
『そうね。邪悪から身を護り、怨念を祓う石で、神の石とか、第三の眼、厄除け魔除けとか言われてるわね。だから数珠にも使われるのよね。サーヤのおかげで大分思い出してきたわ』
「えへ~?」
そう?それは良かった!
『神の石かい?それはまた、随分と』
『うん。名前に頂くには恐れ多いような』
『だよね。まだ他にもあったよね?サーヤちゃん』
奥様たち震えてる?大丈夫?あれ?後ろで旦那さんたちも固まってるね。
「てんせいしぇき、せれすたいちょ、てんしにょいち」
今度は天使だって。綺麗なお空の色だね~。
『天青石、セレスタイトか。名前通りの空の青の石だったよな?』
『そうね、天空の色とも言われるわね。石言葉は確か、清浄・博愛・休息。これも強い浄化効果と、癒しの力があったはずよ。別名、天使の石』
「ほえ~」
これもすごかった?それじゃ、もうひとつは
「てんらんしぇき、らずらいちょ、てんごくにょいち」
なんか、天がつく石すごい名前ばっかりだね。
『あ~、瑠璃の仲間だか親戚みたいな石だったか?天藍石、ラズライト、藍染の青みたいな、濃さは色々あったよな?』
『そうね。淡い青から濃い青まで綺麗な石ね。この石は確かちょっと変わった意味だったわよね。静寂、心を落ち着かせ直感を研ぎ澄ませる。問題を大きくなる前に鎮静させたり、解決させたりする。未来を予知させる。あ、あと、邪気をしりぞけ、幸運を呼び寄せる。だったかしら?』
「ほえ~しゅご~」
やっぱりこれもすごかったんだね。みんなもそう思うよね?⋯あれ?
しーん
あれれぇ?みんな静か?
「みんにゃ?」
どうしたの?
『あっ、な、なんか、俺、鳥肌たったんだけど』
『奇遇だな。俺もだよ』
『なんか、俺たちのこの前の行動?』
サーヤが声をかけたら、ようやくドワーフさんたちが動きだしました。みんな揃って自分の腕を摩ってます。
〖そうですね。さすがに私もゾワッとしましたよ〗
『我もだ。話に聞いたドワーフたちの行動と一致しすぎだ』
エル様とアルコン様まで同じことしてます。
みんなもそう思ったみたいで、まだ、しーんとしてます。
〖じゃあ、その四つは決まりでいいんじゃない?〗
ジーニ様がそう言うと
『『『いやいやいやいや』』』
『か、神の石だけは』
『勘弁してくれ』
『胃に穴が空いちまう』
ドワーフさんたちが全力で拒否してます。
〖あら、私たちは別に気にしませんよ?ですよね?お母様、医神〗
〖もちろんよ。何だか強力そうだったしね〗
〖はい。むしろ目的にピッタリな名前ですよね?〗
神様はあっけらかんとしてます。だけど
『『『いやいやいやいや』』』
『本当に』
『勘弁してください』
『頼みます』
うわぁ~泣きそう?
〖そこまで?〗
〖神の私たちが良いと言ってるのに〗
〖そう言えば、アルコンの背中で気絶するほどのびびりでしたね〗
『『『うぐっ』』』
〖〖そうなの?〗〗
〖はい〗
『そう言えば』
『そうだったにゃ』
『⋯気の毒に』
みんなの前で、思わぬ暴露をされたドワーフさんたち。アルコン様だけ同情してます。
とりあえず、天河石、天青石、天藍石、三つの候補は上がったみたいです。あと三つ!