ある日のバレンタイン準備日記 (前編) 番外編
本日二話更新します。こちら一話目です。
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「ちょこ、たべちゃいにぇ~」
サーヤが突然言い出しました。
『チョコ?そうだな。いいかもな。ちびっこ多いしな。みんな魔法の練習とか畑とか頑張ってくれてるしな。お菓子のレパートリー格段に増えるしな』
突然のサーヤの言葉だったけど、おいちゃんも乗り気のようです。
「きっちょ、みんにゃ、よりょこびゅ。あちょ、びっくり?」
『そうだな。間違いなく、食ったことないだろうしな。それにドリンクにもなるし、間違いなく驚くよな』
「ちょこふぉん、ふぉん、ぢゅう?」
『チョコフォンデュな』
「しょうちょもゆう」
『そうとしか言わないだろ』
「ぶー」
サーヤとおいちゃんが、隅っこでこそこそしてると
『あらあらまあまあ、二人で何コソコソ話してるの?』
おばあちゃんが気がついてやって来ました。
おばあちゃんも、コソコソしたい?
「ちょこ」
『サーヤがチョコ食べたいって言い出してな?みんな喜ぶだろうし、いいんじゃないか?って話してたんだよ』
そうそう。
『チョコ?そうね。カカオから育てるのよね?そうするとココアも出来るわよね。ココアは体にもいいっていうし。日本のバレンタインじゃないけど、日頃お世話になってる皆さんにお礼をするのにもいいんじゃないかしら?』
おばあちゃんにも好感触のようです。
『バレンタインかぁ。そうだな。でも、カカオからなんか作ったことないぞ。凛さん作り方知ってるか?』
『テレビで見たことあるけど、作ったことはないわね』
『だよな~』
チョコ、さすがに湯煎するところからくらいだもんね。でもね?
「いしぇかいじしょ、ありゅ」
調べれば大丈夫!
『そうか、異世界辞書か。忘れてたぞ。作り方はそれで何とかなるな』
『でも、問題があるわよ~』チッチッチッ
『なんだ?』
「うにゅ?」
おばあちゃん、問題って?
『カカオ豆は発酵させなきゃいけないはずよ~。そのまま食べる?甘くて美味しくて、栄養もあるらしいけど、チョコには程遠いわよね』
『発酵かあ。匂いだよな。問題は』
「はくちゃち、にゃいちゃう」
『泣いちゃうか』
『そうよね~?諦める?』
「やっ!」
『だよなぁ』
『一度、食べたくなっちゃうとね~。なぜかしらコーヒーも欲しくなっちゃったわ』
『カカオもコーヒーも、南国だよなぁ?』
『『う~ん』』
「うにゅ~」
ん?南国?あついとこ?
「あっ!どわーふしゃんちょこ!」
暑いよ!
『そうか、ドワーフの工房の裏手に畑とチョコ専用の発酵小屋でも作らせてもらうか』
『そうね。あちらなら、あまり子供たち行かないものね』
『『「くふふふ」』』
悪い笑い?
『そうと決まれば』
「おにぇがいちに、いこー!」
『コーヒーも頼めるかしら?』
コーヒーがいいなら~
「ちょこばにゃにゃ」
『チョコバナナか!たまに食べたくなるな』
『バナナは体にいいのよ。是非欲しいわ~』
「やっちゃあ!」
採用された~!
『よし、行くか!』
『「お~!」』
『おやかちゃ~』
『ん?おう!サーヤがこっち来るの珍しいな!』
おいちゃんに抱っこされて来ました!おばあちゃん?おいちゃんの頭に張り付いてます。
「あい!あにょね~?おにぇがい、ありゅにょ~」
もじもじ
『うおっサーヤくねくねするな!』
してないよ!おいちゃん、サーヤ落とさないでね。
『お願い?なんだ?』
『あのな、俺たち育てたいもんがあるんだけどな、それが暑いところを好む植物でな?しかも、加工する時に発酵させるんで匂いが出るんだよ』
『はは~。分かったぞ。工房の裏手を使いたいんだな?』ニヤリ
『さすが親方。よく分かってるな』ニヤリ
こっちでも悪い顔?
『もちろん俺達も関わっていいんだよな?』
「うにゅ~う」
それは~どうしよう~
『なんだ?ダメなのか?』
親方のお顔がちょっと悲しくなっちゃいました。
「ちやうにょ~」
あわわわ、どうしよう~
『あらあらまあまあ、違うのよ。サーヤはね、それを日頃お世話になってる人たちにお礼として渡したかったのよ。みんな喜ぶし、驚くって。もちろん、親方たちにも。ね?サーヤ』
「あい」
こくこくこくこく
『ガハハハ!そうかそうか!そりゃ嬉しいな!そうか、じゃあ、小屋とか必要なもんは作ってやる!で、最初はサーヤたちに頑張って作ってもらって、二度目からは俺達も参加させてもらうってのはどうだ?』
「あいっ!」
それならいいよ!
『そうかそうか!ガハハハ』
わしわしわしって頭されちゃいました。
『あらあらまあまあ、ぼさぼさねぇ』
すかさず、おばあちゃんがクシで整えてくれます。
『おお、わりぃわりぃ』
『じゃあ、どの辺、使っていいか教えてくれ』
『おうよ!じゃあ、行くか!』
『「おー!」』
いよいよバレンタインの準備開始です!
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