バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

台風の街

ー序章ー
ここは台風の街。水と風に満たされる街。そんな街に暮らす、一族がいました。
 この一族は皆、水の中でも呼吸できます。

一章「大事件の始まり」
そんなある日。大事件がおこります!
なんと、台風がいなくなり、街全体が晴れ上がってしまうからです。
 そんな状況を一早く気づいたのが 一族の中でも、最年少にあたるみみ。直ぐに、街のリーダに伝えに行きます。なぜなら、このままでは洗濯物は干せないし、食べ物も育たないからです。
 ここで、疑問が生まれます。なぜ、晴れていないのに洗濯物が乾くのだと。
それはこの街では、逆の理だから。さぁ、急いで知らせに行かなければなりません。

彼女は急いで、街の最奥にある大きい建物へ向かいました。そこに、彼が住んでいるから。
坂を上り、門の周りに煌びやかな街頭、玄関の周りに観葉植物とうさぎの置物が置いてある家がそうです。
  数分後、やっとの思いで家に着きました。さて、いるでしょうか。
門の前につき、チャイムを押してみます。
 ピンポーン ピンポーン、二回ほど呼び鈴が鳴ります。
「はい。どちら様でしょうか。」
すると、リーダのチェルシーが出てきました。出て来た彼女に訪ねて来た訳を伝えます。その内容を聞くと、急いで準備を始め、こう伝えます。
 「みみも準備して。貴方は台風の街の巫女継承者なのだから」
 そう、なにを隠そう彼女は台風の巫女になる予定の子!この街は確かに台風の街と呼ばれていますが、特に彼女の家系が代々巫女の家系であり恵みを守ってきたのもあります。

しかし、継承の準備をしている一瞬の隙を見て台風さんはいなくなってしまったのです。
 もう何十年もこのような事は起きていませんでした。けれど、起きてしまった。
何とかしなくてはなりません。

第二章「神殿へ」
 リーダの家から神殿までは一直線。周りに灯る明かりの中、巫女服に着替えた彼女と
支度をすませた彼が走りながら神殿へ向かいました。
 そうして、神殿に着いた二人。
中は普段、祭事以外あまり使用されていないのもあり、煤や埃だらけです。本来なら、大掃除と言いたいところですが、そんな時間はありません。

「第3章儀式」
使用するスペースのみ、少しだけ綺麗にして儀式を進めていきます。
 その儀式とは、先代から受け継いだ魔力を具現化し、契約獣を創造し作る事。
その契約獣は、巫女と共に協力し、作業を進めていきます。
 リーダーはこう言います。
「さぁ、ここに魔力を注いで、創造するの」
神殿の机の上にある杯に魔力を注いで、満杯すると次は形を頭の中で想像し、具現化していきます。さて、彼女は何を創造するのでしょうか。翼の生えたドラゴンか将又、精霊さんか。
 そうして巫女は、一番大好きな子熊を創造し、具現化していきます。現れたのは、耳と手足が茶色いカラーを纏っていて目はオッドアイ、手には蜂蜜の飴が入った小さい壺を抱えていている子熊。とても眠そうです。名前はないので付けなければなりません。
  なんとつけるのでしょうか。
 その時、外でワーワーという声が聞こえて来ました。干からびて地面が割れだしてしまったのです。もう本当に時間がありません。急いで契約し、向かわなければ、街は崩壊してしまします。
  リーダーが言います。
「さぁ、名前を決めて早く移動しましょう」
巫女になる覚悟が決まった彼女は、子熊に向かって名前を言います。
「貴方の名前は弦(つる)。」
その言葉に反応し、子熊の体が光始め、周りは淡い光に包まれました。
そうして光が収まったあと。ようやく喋り出しました。
 「君が僕の主だね。ふむ、名前は・・・みみというのか。で。僕の名前は弦(つる)か・・・・。いい名前だ。よし、主 皆を救いにいこう」

「第4章 儀式完了」

彼女はうなずき、外に出ました。周りは建物が崩れていたり、地面にヒビが入っていたりで危険が伴いますが、リーダ、契約獣の弦と力を合わせて、台風を呼ぶための最終儀式場となる高台へ進んで行きます。
 高台に着くと、まず周りを見渡し、全体を見ます。

これから台風を呼ぶため、安全確認を含め、儀式に関わる人以外いないかどうか確認する為です。
「よし、主!こっちにはいないようだ」
「こちらにもいませんね。みみ様、最終儀式を」
チェルシーと弦(つる)は彼女にそう伝えます。
手を空にかざし、台風を呼ぶ呪文を唱えます。
 「キオラ・ミ・クライハ」
(台風よ、舞い戻れ)という意味です。
呪文を唱えている間、計約獣は主に力を注ぎ、魔力を高めます。
そうして、呪文を唱えて一刻が過ぎたころ周りに風が起き始めたのです。

「最終章 台風到着」
 ―そう、街の人達が待ち望んでいた台風による風です。
台風は此方に来て巫女にこう言いました
「まっていたぞ。巫女よ。この街を空けていたのは前職がいなくなったのを
周りの小台風に伝えに行っていたんだ。代替わりの件だな」
 
「そうなのですね」と言うみみは
この数刻ですっかり巫女らしくなり、言葉を返しました。

そうして、台風が戻ってきたことにより街に平和が訪れました。
 
その後はといいますと、
台風さんと街の皆、巫女達の総出で連日祝賀会をひらいたのでした。

しおり