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白井凜子と凍夜の関係?

 教室がざわつく。特に女子が。学校でいやこの県内で一と言ってもいいぐらいの
イケメンが入って来たので女子達がさわいで当然だった。

 その凍夜が瑠衣の所に行く。

「先輩!めずらしいですね先輩の方からくるなんて。もしかしてこくは」
「飯持ってきただけだ」
「飯?もしかしてお昼のですか?」
「ああ。お前が店以外でも食いたいっていったからな。いらんなら自分で
食うが」
「いりますいります。ああ、先輩の手料理。早く食べたい」
「昼まで待ってな。じゃぁな」
「もう戻るんですか?」
「これ以外用はないからな」
「用がなくてもいてください。いるだけでいいです」
「それは俺になんの得もない」
「先輩」

 凍夜はあっさり教室を出た。瑠衣は寂しそうな表情をしたが、凍夜の弁当を
見てまた笑顔に戻る。

 昼休みになり、瑠衣は凍夜からもらった弁当を開ける。するとそこには
男が作ったとは思えないぐらいに綺麗にかざられたものが並ばれていた。

「すごい。さすが先輩」

 それを見ていたクラスメイト達が集まって来た。凍夜が作ったという事を
知り、ますます彼の評価が上がる。
 放課後、お店に向かう瑠衣。凍夜を探すが見当たらない。先輩だからか
下校時間が同じじゃない時もある。あるいはもうすでに向かっているか。

 この日は先に凍夜が店にいた。着替えて凍夜の所に行く瑠衣。

「先輩、お弁当おいしかったです。箱は洗って返しますね」
「ああ。なら仕事終わったらもらう。ここでも洗えるからな」
「いいんですか?そんな事しても」
「かまわん。俺はな」
「それは職権乱用だな」
「白井先輩!」
「あんたここにいていいのか?」
「今は暇だからね。たまにはここも見て見たいもんでね。それと伊月ちゃんに
お弁当作ったんでしょ。私にも作ってほしいわね」
「あんたは自分で作れるだろ」
「たまには誰かの手料理がほしいもんだよ。特に異性からわね」
「なら他の奴に頼むんだな。俺のは高いぞ」
「伊月ちゃんからも取ったのかい?」
「そいつからはとらん。どうせないだろうからな」
「せ、先輩私だって働いてるんですよ。少しぐらいあります」
「伊月ちゃん。あまり言わない方がいいよ。こいつは容赦なしに取るから」
「その通りだ。それをわかったうえでいいならあんたにも作るが?」
「ああ。それならデート一回でどうだい?もちろん、最後までつけてね」

 凜子は豊満な胸を持ち上げ谷間を見せる。凜子は美人でスタイルが良いので
よく男連中を挑発してからかっているが、凍夜はそういう事には一ミリも
興味がなかった。
 なので0秒で返事をした。

「断る。ちゃんと物でよこせ」
「一応あるんだがな。性欲より食欲か。それとも物欲かな」
「し、白井先輩。あのもしかして」
「ふふっ安心して伊月ちゃん。私はないから。まぁ容姿は完璧だけどね。やっぱ
大事なのは性格だから」
「そ、それはそれでなんか」
「ごめん。でも、今は本当にないからね。まぁ彼が真面目になるならありかもだけどね」

 瑠衣は少し気づいた。凜子の目が凍夜を見る目が自分と少し同じなのを。

 時間になり先に瑠衣は帰る。凍夜は残り店の作業をする。閉店時間は深夜の
十二時だが、凍夜は仕事をしている。もちろんセルフでだ。閉店作業が
終わったら普通は全員帰るのだが、一人誰かが残っていた。
 その残っていた人が凍夜のいる事務室にやってきた。

「お疲れ。早く終わりな。明日も学校だろ」
「それはあんたもだろ白井先輩」
「私は午後からだから平気よ。大人だしね」
「そうか。じゃぁもうすぐ終わるから早く帰れ」
「本当につまらないわね。あの子を救ったとは思えないわ」
「そんな風に思った事は一度もない」
「絶対そんな事あの子の前で言うんじゃないよ。言ったら私がお仕置き
するから」
「そんな事は知らん。さっさと帰りな。時給減らすぞ」
「どうぞお好きに。人に嫌なことをしたら必ずしっぺ返しが来るわよ。たとえ
あなたからしたらどうでもいいことでもね」
「どうでもいいことなら問題ない」
「隙がないわね。ま、本当の悪人じゃないだけましか。もう終わるなら送って
あげるけど。私車だから」
「いらんお世話だ。歩いて行ける」
「本当にかわいくない。ま、同情はするけどね。でも、あんたが生きる方を
選んだならそんなんじゃ死んでるのと同じだからね。楽しくない人生なら
死んでるのと同じだから」
「そうか」

 凍夜はそれ以上返事をしなかった。ひたすらパソコンに向かい凜子の
方を向くこともなかった。

 その凜子もすぐに振り向き、車に乗り家に帰る。凜子は一人暮らしで
大学の近くのマンションに住んでいる。
 シャワーを浴び、ベッドに横たわる。寝るときはシャツ一枚だ。

「あいつがあの子を救ったなら今度はあんたが救われないとね。それが
できるのは私じゃない。伊月ちゃんかな。だらしない大人だ私は」

 凜子は少なからず凍夜の事を気にかけていた。そう凍夜の事情を知る
数少ない人だからだ。その中に瑠衣はまだいない。

 朝、から昼近くになり凜子は起きる。準備をしてから大学に向かう。一応
講義を受けているがほとんど聞いていない。勉強はできるからだ。
 講義が終わり、店に向かう。バイト以外での交流はあまりしていないので
すぐに店に向かう事にしている。

 夕方から閉店まで入り、その時間が今は一番有意義に思えている凜子
だった。ただ一つ気になるのはやはり凍夜の事だった。

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