k-63
昨晩はほとんど眠れなかった。
横になっているだけでも大分疲れはとれたが、眠りにはつけていない。当然だ。大蛇が逃げた俺たちを追って、襲ってくるかもしれないのだ。
目の下のクマを作りながら、アッシュや家畜にエサと水をやり、冷たい水で顔を洗う。
シャキっとしたところで、朝飯を作って食べていると、アッシュがうなり声を上げ始めた。
「何だ……? 」
俺は朝飯を中断し、武器防具を装備。家の周りを巡視する。
キシャーーーーー!
ぎゃああああ。
例の大蛇が現在進行形で、こちらへ爆進中だ。俺はアッシュを小屋に入れてドアを閉めた。
「おとなしくしてるんだぞ、アッシュ」
……うん。死んだなこれは。
俺は小屋を出て、ヤツの方向へ向け弓矢を構える。丁度アンクルスネアがある辺りを通過する辺りが射程圏内だ。
キシャーーーーー!
ヤツがウネウネしながら、こちらを威嚇している。
うん。無理。
アンクルスネアの所に到達するも、バキバキと踏み潰され効果はないようだ。俺は麻痺矢を使い、チャージアローをヤツの喉元に向かって放つ。
バシュッ! ドカッ!
一応ヒットし、ヤツは動きを止めた。やったか?
しかし、すぐにヤツは動きだしてブレスのモーションに入る。
これまでか。すると……。
「「「○×▼□~◆! 」」」
見知らぬ冒険者パーティが颯爽と現れた、強そうな冒険者パーティは、三人だった。
大きな盾をもった屈強そうなタンク風の男。魔法使い風の女にヒーラー風の女。
ヒーラー風の女が男に補助魔法っぽい魔法をかけ、男は盾を構えながらブレス攻撃をするため、鎌首をもたげたヤツに突撃をする。ヤツは猛毒のブレスを吐くが、何とか男は耐え抜いた。ヒーラー風の女はすかさず回復魔法を男にかける。
その間、ずっと詠唱をしていた魔法使い風の女が何かを叫ぶと、竜巻が巻き起こり、タンク風の男が横に飛ぶと同時に、大蛇にヒット。竜巻は大蛇をズタズタに引き裂いた。
――俺の風前の灯だった命は、首の皮一枚でつながったのだった。
その三人のパーティに俺は「アリガトウ」とお礼を言った。タンク風の男にはパルナ解毒ポーションを渡してあげた。そして、三人はレスタの町へと引き上げていった。
時刻は正午。完全に寝不足の俺は、アッシュがいる小屋で、今度こそ深い眠りについたのだった。
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