8話 前に共闘した奴のメイドさんが関西弁ですごくいやらしかった件について
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俺は着替えを済ませると、すぐに向かった。食堂には、ライトや、他の兵士たちがいた。
隊長たちはまだ来ていない。
俺は、金髪の少年ライトの横に座った。
「あ?なんでてめえ俺様の横に座りやがるんだゴラ?」
「おはよう。いや、だって俺お前意外に話し相手いないんだもん。いいでしょ?」
「ああ、別に構わねえけどよ・・・。」
「そっか!ありがとう!」
俺は嬉しかった。正直、一人だと寂しいしな。
「おう・・・・お前はどこの隊に入ったんだ?」
「俺は1番隊。リリス隊長のとこに入ることになった・・。」
それを聞くと、ライトの表情が険しくなった。
「あそこの隊の奴らはみんな死に物狂いで昇進を狙ってやがる・・。副隊長や班長など全部だ・・。だから、手段を選ばねえ奴らが多い。気をつけろよ・・。」
「え?でも、それってみんな修行とかに励んでるってことでしょ。競争相手ができていいことじゃないの?」
正直、俺は昇進とかどうでもいい。適当に魔王軍滅ぼして、元の世界に帰りたいしな。まぁ、そんなスムーズにいけばいいけど。
だが、ライトはさらに目つきを鋭くした。
「そうじゃねえよ。あいつらは修行して正々堂々上を目指すようなやつらじゃねえ・・。汚い手だ。ライバルを蹴落として昇格を狙ってるやつらばかりだ・・。だから、お前は消されないように気をつけろよ・・。」
それは一番怖え・・。俺みたいな新入りはとくに警戒されそうだ・・。リリス隊長はそれを見過ごしているのか・・?
「お・・おう気をつけるよ。ありがとう。」
今日の朝食のメニューは、パンとスープだった。俺は食べながら考えていた。どうやったら強くなれるかなぁーと。
正直、なぜ少林寺拳法だけでここまで戦えているのかが分からない。
俺が考え込んでいると、ライトが話しかけてきた。
「おい、てめえ何考えてんだよ?」
「いや、強くなるにはどうしたらいいかなって。」
すると、ライトはパンを食いちぎって答えた。
「まぁ、前のあの殺人鬼との戦いでは、お前は無意識で体のMP操作はできていたぞ。あとは、技の習得じゃねえか?まぁ、お前の武術のことはよくわからねえけど。魔法タイプじゃなさそうだよな。」
意外とライトは修行にストイックなんだな。俺の疑問にもちゃんと答えてくれる。
「ありがとな・。ライト。今日の修行でいろいろ試してみるよ。あと、質問なんだけどさ。ライトにもメイドさんついてるの?」
すると、ライトのスプーンを動かす手が止まった。
「ああ、そうだぜ。俺にもメイドさんはいる。だが、何ていうか苦手なんだよ。」
へー。どんな人なんだろ・・?
「どんな人なの?」
「う~~んとな。なんていうか・・・すげえいやらしいと言うか・・。」
ライトは顔を赤くして恥ずかしそうにしていた・・・。こいつもこういう表情するのか・・。
「分かるぜ。俺も女性にそういうことされると刺激が強すぎてやべえんだ。俺、女性と関りが普段ほぼないから。」
「だよな!俺様もそうなんだよ。もうなんか意識しないようにするのが大変なんだよ・・・。」
俺とライトはお互いの境遇を理解し合い、意気投合した。
男相手にはいつも「俺様俺様!!」なライトでも、女性を前にすると弱くなるらしい。
そうやってくっちゃべりながら、朝食をとっていると、背後から声が聞こえた。
「さっきから何の話をしとるんなんか?もう食べ始めてから30分も立っとりますよ?そないに食べるのがどんくさいのでしたら、ウチが食べさせたげる。」
すると、ライトがビクッと反応した。
ライトのメイドさんのようだ。年齢はソフィアさんと同じくらい。関西弁を話している。この異世界にもそういうものがあるのか?緑色の髪で、色気がある。
「い・・いらねえっすよ。俺様は自分で食えるからっ・・。」
「そんな遠慮せんでええんよ?ほれ、あーんしてみぃ?」
ライトの顔がどんどん真っ赤になっていった。俺は思わず吹き出してしまった・・・。
「ぷ・・・はははははははは!!!!」
「おい、てめえ!!笑ってんじゃねえよ・・!!」
すると、そのメイドさんは次に俺の方を見てきた。
「あれ?君が噂の転移者なんですか?初めましぃ、ウチの名は『サリア』です。よろしゅうお願いいたします!」
そう言って、握手を求められた。
「あ・・・はい。よろしくお願いします。」
俺が握手を返すと、サリアさんはニッコリ笑った。
ライトが「早く食うぞ・・!!」と俺に言い。急いでパンを口に運んでいる。顔を赤くして恥ずかしそうだ。どうやら早くこの場をさりたいらしい。
しかし、サリアさんがライトの手を掴んだ。
「そないに急いだらあきませんよ。口元にパンくずがついてますよ。ほら、じっとしてくださいね。」
そして、ライトの口についているパンくずを舐めとった。
ライトはさらに顔を赤くして、口をパクパクさせている。
「おい、何すんだよ!?俺様は一人で食えるっての・・・!!」
「えぇ~。別にええやんか。減るもんでもないんやし。」
ライトは顔から湯気が出るほど赤くなっていた。
この二人を見てると、本当に面白いな・・・。
そんな様子を俺が見ていると、俺の背後から肩を捕まれた。
痛い・・!!なんだこの握力は・・。
俺の背後には、ソフィアさんがいた。
「ケイ君。いつまで時間がかかっているのですか?もう朝礼の時間ですよ?それに、何をニヤけているのです?まさかとは思いますが、あなたも私に食べさせてほしいのですか?」
俺の首根っこを掴みながら、ソフィアさんが微笑んだ。
怖い・・・。美人だけど、目が全然笑ってないよぉ・・・! 俺は慌てて否定した。
「ちっ違いますよ。ただちょっと面白かっただけで・・・!!」
すると、サリアさんがこっちを見た。
「ウフフ。ケイ君。君もやってほしかったん?ならウチがやったげようか?」
そう言うと、俺の腕を引っ張ってきた。
「いやぁ、大丈夫ですから!!俺は自分で食べられますので・・・!!」
すると、サリアさんの腕をソフィアさんが掴んだ。
「やめてください。この子のメイドは私なんです。勝手に触らないでくれますか?」
真顔で言ったものの、目はマジだ。
「ふぅん。残念やんな。まぁ、ケイ君もウチが欲しくなったらいつでも来てええんで?相手したげるわ。」
俺は自分の顔が熱くなっているのが分かる。それと同じくらい背後のソフィアさんが怖い。
そんな朝食を乗り越え、朝礼に俺は向かった。